インサイダー取引規制に違反した場合の罰則

インサイダー取引規制に違反した場合、5年以下の懲役、もしくは500万円以下の罰金が刑事罰として科せられます。又、懲役と罰金の両方が科せられることもあります。 法人の場合、その行為者への罰則だけでなく、その法人に対しても5億円以下の罰金刑が科せられます。

また、インサイダー取引で得た財産は原則として没収、又は追徴されます。

インサイダー取引の規制対象者

インサイダー取引の規制対象者は、以下の通りです。

会社関係者

  • 上場会社等の役員、従業員(パート、派遣社員等も含む)
  • 上場会社等の帳簿閲覧権を有する者(帳簿閲覧権を有する株主等)
  • 上場会社等の取引先・顧問先等(取引銀行、弁護士、公認会計士、税理士など)
  • 元会社関係者

このように、会社関係者といっても上場会社の役員・従業員だけに限られるものではないことに注意しなければなりません。

また、退職等により会社関係者でなくなった後1年以内の者も、インサイダー取引規制の対象とされている点に注意が必要です。

情報受領者

さらに、会社関係者以外の人でも、上記会社関係者から未公表の重要事実を聞いた人(第一次情報受領者)もインサイダー取引規制対象になります。例えば、上場会社に勤める家族や知人から聞いた未公表の重要事実をもとに、その会社の株式を取引した場合、インサイダー取引に該当します。

インサイダー取引に該当する「重要事実」とは

インサイダー取引に該当する重要事実は「上場会社に関する事実」と、「子会社に関する事実」の2つに分けられます。取得した情報が該当するかを判断するためにも、ポイントを押さえておきましょう。

上場会社に関する重要事実

上場会社に関する重要事実は、以下の4つに分類されます。それぞれの概要は、以下の通りです。

【重要事実】 【該当する内容】
決定事実
(業務提携や新製品の開発など会社の決定事項)
業務提携・株式発行・分割・株式交換
・株式移転・合併など
発生事実
(意図せず発生した損害や行政処分など)
災害により生じた損失・訴訟・上場廃止など
決算情報
業績予想・純利益や売上など配当予想の修正など
バスケット条項
上記①②③に該当しないが、
投資判断に大きな影響を与えるもの

子会社に関する重要事実

上場会社等の子会社に関する情報も、親会社である上場会社の重要事実になります。非上場の子会社も(子会社の上場有無は関係ありません) 子会社に関する重要事実も上場会社と同様に、重要項目(一部除外項目あり)が規定されています。

参考:日本取引所グループ 別紙 重要事実一覧表