キーコーヒー柴田社長(左)と、WCRロングCEO
(画像=キーコーヒー柴田社長(左)と、WCRロングCEO)

キーコーヒーは9月25日、世界的なコーヒー研究機関であるワールド・コーヒー・リサーチ(WCR)のヴァーン・ロングCEOを都内本社に迎え、「コーヒー栽培のイノベーションの新時代」と題した講演会を開催した。キーコーヒーは、2016年にWCRと協業開始し、2017年から気候変動に適応する品種開発へつながる栽培試験を、インドネシア・トラジャにある直営農園で実施している。

今回、ロングCEOは、持続可能なコーヒー生産に向けて、世界的なコーヒー事業の課題や、WCRがコーヒー生産地で取り組んできた研究活動を話した。その上で、「私たちはコーヒーのイノベーション危機に直面している」と警鐘を鳴らす。これは、気候変動による気温や湿度の上昇で、さび病というコーヒーにとって最も深刻な病気が発生しやすくなっており、収穫量の減少や品質低下を招いていることなどを紹介したもの。

コーヒー生産者の多くは、50~100年間も更新されていない品種を使用しており、気候変動の危機は今後の技術革新がなければ対処できないという。たとえば、イチゴの品種は6640種あるが、コーヒーは111種しか登録されていない。ロングCEOは、「イチゴの育種は、コーヒーと比較してイノベーションが59倍だ」とした。

一方で、WCRは課題の解決は可能であることも紹介している。それは、品種改良を行うことで、病害や害虫に対する耐性や高い収穫量など持続可能的成長を実現するとともに、経済的安定のほか、農薬の使用量や温室効果ガスの削減などの課題まで対処できるとした。

ただ、資金面の課題があるという。コーヒー栽培の研究開発に必要な投資額は年間5億6700万ドルだが、現在の投資額は1億1500万ドルにとどまり、4億5200万ドルのギャップがあるとする。WCRは、引き続き生産者+国立研究機関のコーヒープログラムと、ロースターやコーヒー業界を橋渡しする役割を担いつつ、適切なレベルで投資を分担し、政府機関からの研究開発資金の増額を促進する計画だ。 

ロングCEOは、良いニュースとして、WCRが進めている国際他地域実証試験(IMLVT)において、全世界で改良品種のパフォーマンスが良好なことを紹介した。「イノベーション、コラボレーション、投資により、“さらに美味しい、さらに多量に生産、強靭な成長を持続”という未来のコーヒー品種を生産できる」。

また、キーコーヒーとの協働については次のように語る。「キーコーヒーがユニークなのは、消費国でロースターという立場でありながら、自社で農園を運営し、コーヒー生産をしていることだ。生産者側と消費者側のプライオリティ(優先度)は、必ずしも一致するわけではない。そのような中で、キーコーヒーは自社農園を持つので両方の立場がわかる。生産者側と消費者側の橋渡し役を務めてくれている」。

柴田社長は、「WCRと2016年に協業し、活動をする中で啓発され、当社は2022年に“コーヒーの未来部”を社内に新設している。WCRの活動にこれからも期待している」と語った。

キーコーヒー本社でWCRロングCEOが講演
(画像=キーコーヒー本社でWCRロングCEOが講演)