矢野経済研究所
(画像=ohayou!/stock.adobe.com)

2022年度のこども関連ビジネス市場(37分野計)は前年度比3.6%増の10兆3,459億円

~少子化進行の影響を受けつつも回復基調を維持し、コロナ禍前の水準に戻りつつある~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内のこども関連ビジネス市場を調査し、こども向け用品、こども向けサービスの各分野別の市場動向、参入事業者の動向、将来展望を明らかにした。

こども関連ビジネス市場(37分野計)の市場規模推移

矢野経済研究所
(画像=矢野経済研究所)

1.市場概況

2022年度のこども関連ビジネスの市場規模は、事業者売上高ベース(但し、一部は興行収入ベース)で前年度比3.6%増の10兆3,459億円と推計した。当該市場は、コロナ禍に見舞われた2020年度に10%程度の大幅な縮小となったが、その後、多くの分野において回復基調となり、2022年度も前年度並みの伸長率を維持し引き続き増加での推移となった。但し、コロナ禍前の2019年度の市場規模(10兆6,911億円)の水準までには回復していない状況にあり、2019年度を上回っている分野は、「食品分野」と「保育関連サービス分野」の2分野となっている。

当該市場を構成する6分野(娯楽用品・レジャー、教育サービス・学用品、食品、衣料品、こども関連用品・サービス、保育関連サービス)は、いずれも2021年度を上回る推移となっている。とくに、コロナ禍の影響で市場縮小幅が大きかった「娯楽用品・レジャー分野」は前年度比12.7%増となった。

2.注目トピック

こども関連ビジネス市場における主要3分野の概況

こども関連ビジネス市場を構成する各分野において市場規模の大きい3分野をみると、まず、「保育関連サービス分野」については、当該分野の大半を構成する「保育園」は、受け皿である保育施設の整備・拡充の進展と少子化進行の影響も相俟って、待機児童問題が全国的に解消しつつある中、保育園の定員充足率の低下や利用園児数の減少によって、新規開設ペースが鈍化し、市場は増加を維持するも伸長鈍化となっている。「学童保育」は、利用する児童数の増加、民営施設の増加などによって拡大しており、今後も共働き世帯を中心とする小学生の預かりニーズの高まりや、小学生の待機児童問題の解消に向けた施設数の新規開設などにより、当該市場は拡大成長していくことが予測される。

「教育サービス・学用品分野」については、「こども向けスポーツ教室・スポーツクラブ」と「こども向け習い事教室」が、2020年度の大幅な市場縮小から順調な回復を見せている。「こども向けスポーツ教室・スポーツクラブ」は、外出(外遊び)の自粛やスポーツクラブ・少年団の活動休止、スポーツ教室や習い事教室の休校などによって、子どもの運動不足や体力・運動能力の低下が問題視され、子どもの体力向上や運動機会の重要性が再認識されることとなり、スポーツ教室やスポーツクラブの活動再開に伴い、需要を取り込むことで順調な回復を見せている。「こども向け習い事教室」については、習い事教室はほぼ正常な運営状況となり、需要の回復によって市場は回復基調にある。なお、当該分野において最大の市場規模となる「学習塾・予備校」は、前年度並みでの推移となっている。

「娯楽用品・レジャー分野」では、「こども・ファミリー向け劇場用映画」、「テーマパーク・遊園地」、「ゲームセンター・アミューズメント施設」のいずれも2020年度の大幅縮小から順調に回復しており、当該分野の復調を牽引している。

3.将来展望

2023年度は、新型コロナウイルス感染症が5類に移行したことで、こども関連ビジネス市場における事業者の多くで事業活動の正常化が進み、レジャー系の事業者を中心に本格的な需要の回復が見込める上、各用品・サービスにおいて、価格(料金)改定の実施も散見されていることから、少子化進行による需要層の縮小の影響を受けつつも当該市場は拡大を維持し、コロナ禍前の市場規模の水準に達するものと期待され、2023年度のこども関連ビジネスの市場規模は、前年度比3.4%増の10兆6,926億円と予測する。

調査要綱


1.調査期間: 2023年4月~6月
2.調査対象: 子ども向けに商品・サービスを提供する事業者等
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・eメールによる取材、ならびに文献調査併用
<こども関連ビジネス市場とは>
本調査におけるこども関連ビジネス市場とは、国内の子どもに向けた商品・サービスの37分野の市場を対象として事業者売上高ベース(但し、一部は興行収入ベース)で算出した。なお、対象となる子どもの年齢は分野によって異なるが、0歳以上15歳以下としている。
<市場に含まれる商品・サービス>
1.娯楽用品・レジャー(玩具/家庭用テレビゲーム/こども向け出版物/こども向け映像ソフト(DVD・ブルーレイ)/ 幼児・こども用自転車/こども・ファミリー向け劇場用映画/テーマパーク・遊園地/ゲームセンター・アミューズメント施設/インドアプレイグラウンド)、2.教育サービス・学用品(学習塾・予備校/私立幼稚園/幼児英才教育/幼児体育指導/幼児・こども向け外国語教室/こども向け習い事教室/こども向けスポーツ教室・スポーツクラブ/幼児・学生向け通信教育/学習参考書・問題集/学童文具/学習机・椅子/ランドセル)、3.食品(育児用ミルク/ベビーフード/玩具菓子)、4.衣料品( こども・ベビー服/学生服/こども靴)、5.こども関連用品・サービス(ベビー用紙おむつ/ベビーカー/ベビーベッド・こども用寝具/チャイルドシート/こども写真館/携帯電話・スマホ(子ども利用分)/こども向け防犯用品・サービス)、6.保育関連サービス(保育園/学童保育)

出典資料について

資料名2023年版 こども市場総合マーケティング年鑑
発刊日2023年06月30日
体裁A4 397ページ
価格(税込)176,000円 (本体価格 160,000円)

お問い合わせ先

部署マーケティング本部 広報チーム
住所〒164-8620 東京都中野区本町2-46-2
電話番号03-5371-6912
メールアドレスpress@yano.co.jp

©2023 Yano Research Institute Ltd. All Rights Reserved.
本資料における著作権やその他本資料にかかる一切の権利は、株式会社矢野経済研究所に帰属します。
報道目的以外での引用・転載については上記広報チームまでお問い合わせください。
利用目的によっては事前に文章内容を確認させていただく場合がございます。