食生活改善の第一歩は調味料から 体にいい醤油の選び方
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(本記事は、中戸川 貢氏の著書『ワースト添加物 これだけは避けたい人気食品の見分け方』=ユサブル、2023年5月18日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)

ニセ物と本物の見分け方~調味料編

最近のスーパーの棚には所狭しと調味料が並んでいますね。もうどれを選んだらいいのかわからないくらい、無添加から添加物だらけのものまでたくさんの種類があります。しかし、調味料こそ大事です。

いまの時代、野菜や肉や魚のコーナーに行けば簡単、手軽な「専用たれ」「合わせ調味料」が食材の近くに置いてあります。便利でお手軽、そこそこ美味しく作れるから、添加物を気にせず買ってしまう人が多いのが残念。

伝統的製法のまともな調味料が「美味しくない」とか「味が薄い」としたら、ちょっと強すぎるうま味に舌が慣れてしまっているのかも。まともな調味料はお値段高めですが、使いこなせれば「合わせ調味料」を買うより安上がりで美味しいのです。ぜひまともな調味料を使っていただいて、ミネラル豊富で添加物の少ない食生活を楽しんでもらえたらいいなと思っています。

醤油

醤油の消費は年々減っています。みなさん、醤油ではなく「つゆ」「だし醤油」や「たれ」を買っているのです。自分では醤油を買っているつもりでも、実際は、添加物たっぷりの「だし醤油」を買っている人がすごく多いです。

醤油の中でも、九州の甘口醬油はすごく添加物が多いです。カラメル色素、化学調味料、サッカリンナトリウム、パラオキシ安息香酸などが入っています。ただ、九州の家庭で長く親しまれてきた伝統食品なので、あまり悪くいいたくありません。お気に入りの銘柄もあるでしょうから、あまりこだわらず、使い続けてもいいと思います。添加物が少ない甘口醬油もあります。例えば、大手メーカーではキッコーマン「あまくち」。福岡のミツル醤油「自然派あまくち」は、なんと無添加。甘い九州醤油の中ではもっともおすすめです。

一般的によく使われる醤油を「こいくち醤油」といいますが、選ぶときは無添加の「丸大豆醤油」がおすすめです。丸大豆とは丸い大豆という意味ではなく、丸ごとの大豆という意味です。丸ごとではない大豆を脱脂加工大豆といいます。日本では、大豆は豆腐にも納豆にも味噌にもなる農作物ですが、世界で大豆の主な用途といえば搾油です。大豆油を搾ったあとの搾りカスを脱脂加工大豆といい、主に飼料として利用されますが、醤油の原材料や大豆ミートの原材料にもなるのです。

こいくち醤油の原材料は、大豆と小麦と食塩と水です。お米は使いません。蒸した大豆と炒った小麦を暖かい部屋でカビだらけにして「麹」にして、食塩水を加えてタンクで約6か月(またはそれ以上)発酵させたのが「もろみ」。そのもろみを搾った液体が醤油です。流通する醤油の8割以上は、大豆の代わりに脱脂加工大豆を使って作られています。脱脂加工大豆の醤油も、これはこれで十分に美味しいのですが、やはり丸大豆醤油のほうが美味しくておすすめです。

次に、丸大豆醤油の中でもさらにおすすめなのが、木桶で仕込んだ醤油です。コンクリート、FRP、金属製のタンクで発酵させた醤油も、品質が安定して美味しいのですが、杉の木の桶で仕込んだ「木桶仕込み醤油」は、とても個性があって美味しいですね。木材の表面の微細な構造に醤油の発酵菌が棲みつき、その蔵の気候風土に応じて、その蔵元にしか出せない風味や味わいを醸しています。タンクで温度をコントロールせず、四季の温度変化による「天然醸造」というのが魅力です。ぜひ、丸大豆の木桶仕込み醤油を探してみてください。

ワースト添加物 これだけは避けたい人気食品の見分け方
(画像=『ワースト添加物 これだけは避けたい人気食品の見分け方』より)

スーパーで醤油を買うときには、新鮮なおいしさを保つ「やわらか密封ボトル」【113】に入った醤油がおすすめです。容器が2重構造になっていて、酸素に触れにくい構造になっています。酸素を遮断できれば、冷蔵庫に入れなくても美味しさは長持ちします。

減塩醤油は、美味しいものが少ないです。減塩したい人は、100円ショップの醬油スプレーを買って、そこにお気に入りの醤油を入れて、使う量を減らしたほうがいいと思います。減塩醤油をたっぷり使うよりも、美味しく減塩できます。

生醤油について説明します。これを「きじょうゆ」と読むと料理用語になり、だし醬油ではないという意味になります。無添加の普通の醤油のことですね。ろ過も加熱殺菌もしてあります。「なましょうゆ」と読むと、加熱殺菌していない醤油という意味になります。精密ろ過をして醤油の微生物を取り除いてあるので、加熱殺菌はしていませんが、密封ボトルで常温販売していることが多いです。

似たような名称で「生揚醤油(きあげしょうゆ)」【114】という種類があります。こちらは精密ろ過も加熱殺菌もしていないので、要冷蔵で販売されることが多いです。日本酒でいう「無濾過生原酒」みたいなもので、醤油の微生物が生きています。賞味期限も短いですし、あまり流通していません。蔵元直売所などで見かけたら買ってみてください。デリケートな醤油ですが、とても美味しいです。

醤油メーカーは全国にたくさんあるので、無添加の丸大豆醤油だけでも、とてもたくさんの種類があるわけです。その中で、自分の口に合う美味しい醤油を探したい人に利用していただきたいのが「職人醬油」です。全国の醤油を取り扱う専門店で、すべての醤油を100㎖の小瓶で統一して販売しているので、自分好みの醤油を探すのにぴったり。通販でも買えますが、店舗だと東京の松屋銀座地下2階が便利です。この味がいい!という醤油が見つかったら、蔵元から大きなサイズの醤油を買ったらいいと思います。

【醬油選びの条件】

  • 無添加
  • 丸大豆か
  • 木桶仕込みか
残念
【原材料名】
脱脂加工大豆(大豆(輸入))、小麦、食塩、ぶどう糖果糖液糖、みりん/アルコール、調味料(アミノ酸等)、甘味料(甘草、ステビア)
【原材料名】
丸大豆(国産、分別生産流通管理済み)、小麦(国産)、食塩
ワースト添加物 これだけは避けたい人気食品の見分け方
中戸川 貢
1969年生まれ神奈川県出身。食品機械メーカー、清酒メーカー、お餅メーカー、醤油メーカー勤務を経て、NPO法人食品と暮らしの安全基金で、主に加工食品のミネラル成分や食品添加物「リン酸塩」を調査。独立後は、食品企業の品質管理や販売支援を行う。また、ミネラル不足や添加物について全国各地で講演。一般社団法人ナチュラル&ミネラル食品アドバイザー協会代表理事。加工食品ジャーナリスト。

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