デキる上司のあるある “自分がやったほうが早い病”の弊害
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(本記事は、福山 敦士氏の著書『イマドキ部下を伸ばす 7つの技術』=あさ出版、2022年11月17日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)

結果ではなく機会を提供する

自分がやったほうが早い病

信頼を生み出すための最もシンプルな方法は、上司自身が結果を出すことです。

ベンチャー・スタートアップ企業ではとくに、創業当初は一緒に席を並べて働く時間があるため、個々人の結果をもとに統制をきかせることができます。

また結果を出さなければ、会社・事業が立ち行かず、部下にチャンスを与えるなんて悠長なことは言っていられません。

上下関係なく、結果を出した人が偉い、という論理は一定の規模感までは通用します。

組織の立ち上げフェーズは、結果至上主義だからです。

しかし、結果至上主義は、組織の規模を大きくする際に、阻害要素にもなり得ます。

部下を育成するための仕事を任せる過程で、「自分がやったほうが早い」という事案が続くためです。

また上司としては、「結果が出たら部下の手柄」としたい気持ちがある一方、苦労して出した結果は、自分の手柄にもしたくなってしまうものです。

上司としての自分は、結果を出してきたからこそのポジションだからです。結果にこだわってきたからこそ上司になったとも言えるでしょう。

機会(チャンス)を提供し続ける

結果がたまたま出たもので、部下に勘違いさせたくないとき、あえて部下の手柄としないこともあると思います。それは育成戦略上あってしかるべきです。

しかし、部下の機会(チャンス)を奪ってはいけません。

とはいえ、仕事を丸投げすることはできないでしょう。具体的には、業務フローを可視化し、小分けにして渡すのです。

たとえば営業活動で言えば、顧客接点の創出、商談、商談後フォロー、契約書締結、顧客フォローなど、分けた業務の1つずつを渡していき、1つずつ範囲を広げてあげるのです。

機会がないと部下は成長できません。

自分がやったほうが早いと考え、部下に機会を与えないことが続くと、部下からの信頼は獲得できないどころか、経営陣からもマネジメント能力を疑われ、信頼を獲得できないでしょう。

POINT
部下に「機会(チャンス)」を与えることが信頼と成長をもたらす。
イマドキ部下を伸ばす 7つの技術
福山 敦士(ふくやまあつし)
連続起業家
ビジネス教育研究家
香川オリーブガイナーズ球団代表取締役社長
1989年横浜生まれ。慶應義塾大学環境情報学部を卒業。新卒でサイバーエージェントに入社後、1年目からグループ会社の起ち上げに参画。25歳でグループ会社の取締役に就任。営業本部長を兼任。27歳で独立し、株式会社レーザービーム代表取締役に就任。クラウドソーシングサービスを起ち上げ、28歳で東証一部上場企業の株式会社ショーケースにM&A。29歳で同社執行役員、30歳で取締役に就任。2020年、営業支援会社のDORIRU(旧ギグセールス)をM&A。2023年、プロ野球独立リーグ香川オリーブガイナーズ球団をM&A、代表取締役社長に就任。「学問をつくる」活動として慶應義塾高校、鎌倉学園高校で講師(ビジネス講座)を務める。学生時代は野球ひと筋。高校時代は甲子園ベスト8。著書累計13万部。3児のパパ。

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