イマドキ部下をやる気にさせる問いかけ&コミュニケーション術
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(本記事は、福山 敦士氏の著書『イマドキ部下を伸ばす 7つの技術』=あさ出版、2022年11月17日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)

メリットに気づいてもらう

シンプルにメリットを提示する

前項ともつながるのですが、上司から部下へ仕事のメリットを伝えることは大切です。

僕の会社でも、「この仕事、やりたくないです……」と言うメンバーはいます。「この仕事をやれば給料上がるよ?」と説明しても、「責任が重すぎます」「○○さんを見ていると大変そうだから……」などと言います。

そんなとき、「おいおい! オレが若いときは会社のために身を粉にして……」などと話しても響きません。そこで、視点を変えて部下にとってのメリットを一緒に模索することが求められます。

例を挙げると、次の通りです。

・昇進できる→「裁量が増えて仕事を選べるようになるよ」
・新しい仲間が増える→「より大きな仕事にチャレンジできるよ」
・自分の未来につながる→「自分の市場価値が上がるよ」
・お客様のためになる→「身近な人の困りごとを解決できるようになるよ」

イマドキ部下は仕事に過度な期待をしない一方、損をしたくないという志向が比較的強いので、その点を強調するといいでしょう。

自分の言葉で気づかせてあげる

メリットを伝えても響かない人に対しては、問いかけによって気づきを促してあげましょう。こちらから押し付けるのではなく、自分の言葉で必要性を認識させるのです。

部下自身に気づいてもらうことがコツです。

どんな人にも当てはまる魔法のフレーズというものは存在しませんが、人の心を動かすある方法があります。

それは、「人は自分の言葉に説得される」という原理を利用することです

たとえば高い商品の購買など、一定のリスクをはらむ意思決定時、人は他人に説得されるたびに冷静になり疑いを持ちます。しかし、自分自身でメリットに気づく(たどり着く)と、「買おう」と決めて行動に移します。

この原理に従うと、部下に「自分のメリットに気づかせる問いを与える」だけで、部下の行動を促すことができます。

有効なのが、「もしあなたに部下がいたとして、やってもらわなくてはいけない仕事を伝えたとき、同じことを言われたら、あなたはどう対応しますか?」という問いを部下に尋ねることです。

仕事を部下に任せなければならないとき、相手をどうやって諭せばいいのか。その答えを、当人に考えさせるのです。

「『お金や出世だけでなく、マネジメント能力の獲得やメンタル面での成長、さらには経営メンバーになるなど、自分自身の可能性が広がっていくんだよ』と伝えますかね……」。

この返答こそ、本人が納得する最大の材料となります。

大事なのは、部下に自ら語らせて、気づかせること。上司は、そのための問いかけに徹します。

強制するのではなく、また押し付けるのでもなく、相手の言葉を引き出しながら導いてあげることで、部下が自走できるようになります。

POINT
部下にとってのメリットは何か常に意識する。
イマドキ部下を伸ばす 7つの技術
福山 敦士(ふくやまあつし)
連続起業家
ビジネス教育研究家
香川オリーブガイナーズ球団代表取締役社長
1989年横浜生まれ。慶應義塾大学環境情報学部を卒業。新卒でサイバーエージェントに入社後、1年目からグループ会社の起ち上げに参画。25歳でグループ会社の取締役に就任。営業本部長を兼任。27歳で独立し、株式会社レーザービーム代表取締役に就任。クラウドソーシングサービスを起ち上げ、28歳で東証一部上場企業の株式会社ショーケースにM&A。29歳で同社執行役員、30歳で取締役に就任。2020年、営業支援会社のDORIRU(旧ギグセールス)をM&A。2023年、プロ野球独立リーグ香川オリーブガイナーズ球団をM&A、代表取締役社長に就任。「学問をつくる」活動として慶應義塾高校、鎌倉学園高校で講師(ビジネス講座)を務める。学生時代は野球ひと筋。高校時代は甲子園ベスト8。著書累計13万部。3児のパパ。

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