ライオンは、整形外科医・医学博士松平浩先生(Tailor Made Back pain Clinic院長(開発当時の所属・役職:東京大学医学部附属病院22世紀医療センター・特任教授))およびTANOTECHと共同で、介護トレーニングゲーム機「TANO-LT」に機能追加した科学的運動習慣づくりサービスの「TANO-LT プラス」を開発し、6月15日から販売を開始した。「TANO-LT プラス」は、ゲーム中に骨格データや発声データを取得し、健康維持のために大切な6つの機能の状態を表す「アクティブLifeスケール」を作成、さらに個人に合った運動メニューを提案する。個人の身体機能の可視化とパーソナライズされたメニューが運動を続けるモチベーションとなり、運動の習慣化を促す。
開発に関わったHITOWAケアサービスは、運営する有料老人ホーム「イリーゼ」に「TANO-LT プラス」を先行導入し、利用者の自立支援とレクリエーションの両立に役立ててもらっており、今後オープンするホームには標準システムとして導入予定となっている。今後も同社は「データ×楽しい」を基盤とした「科学的運動習慣づくり」を推進していく考え。
現在、全国で約1600万人の高齢者が運動器機能や認知機能の低下、口腔機能の低下による嚥下障害など、日常生活に様々な課題を抱えている。同社は、この状況に対応するため、口腔・睡眠・運動器の3つの機能を「同時に」トレーニングする「健口眠体操」を昨年1月に開発した。さらに、この体操を無理なく楽しく続けてもらうために、「健口眠体操」をゲーム化して搭載した介護トレーニングゲーム機「TANO-LT」を開発し、昨年9月から販売を開始した。「楽しく運動できる」、「体操を続けたくなる」といった声が寄せられる一方で、身体機能や口腔機能には個人差があることから、集団での画一的な運動だけでは運動を継続するための十分なモチベーション維持が難しい場合があるという課題が見えてきた。そこで、より効率的にかつモチベーション高く運動を継続してもらうために、今回、利用者一人ひとりに対するレポートサービス機能を追加した科学的運動習慣づくりサービス「TANO-LT プラス」を開発した。
「TANO-LT プラス」は、「TANO-LT」に利用者一人ひとりに対するレポートサービス機能を追加した科学的運動習慣づくりサービス。データ取得用の専用トレーニングゲームを搭載し、利用者の骨格データと発声データから「アクティブ Life スケール」を作成できるほか、データの分析結果に基づきパーソナライズされた推奨運動メニューを提示する機能を備えている。同システムは、「TANO-LT」を導入した有料老人ホーム「イリーゼ」の介護現場での知見に基づき、松平浩先生およびTANOTECHと共同で開発した。
骨格データ取得用トレーニングゲーム「リズミカルポージング」では、リズミカルな音楽に合わせて、画面に表示された見本と同じポーズになるように身体を動かすと、システムのセンサーが骨格の動きを読み取り、見本の動きとの一致率を点数化する。利用者が自分の点数を見ながら楽しくトレーニングゲームをする間に、システム側では、利用者の肘の角度など、身体機能評価用のより詳細な骨格データを取得していく。なお、骨格データは、3人分同時に取得することができる。
発声データ取得用トレーニングゲーム「シラブル」では、画面上を動物が駆け抜ける間、画面に表示される言葉(「パ」または「タ」)を発声すると、システムのセンサーが声を感知して言葉の連呼回数を計測する。同時に、利用者の発声データを取得する。
取得した骨格データと発声データを分析し、健康維持のために大切な6つの機能の状態を表す「アクティブ Life スケール」を作成、個人の身体機能を可視化する。
「アクティブ Life スケール」に基づき、パーソナライズされた運動メニューを自動で提示する。松平浩先生監修のもと作成した運動メニューは130通り(6月現在の運動メニュー数。メニューは今後も随時追加していく予定)あり、システムに搭載したトレーニングゲームを用いる運動と、システムを使わずに自主的に取り組むことができる運動を、利用者の機能状態にあわせて複数提示する。
「TANO-LT プラス」専用のタブレット端末をシステムに標準装備している。トレーニングゲームに参加する利用者の登録や、ゲームコンテンツの選択などのシステム操作をより簡単に行うことができるだけでなく、レポートをタブレットに表示して利用者へのサポートを行い、施設スタッフと利用者とのコミュニケーションにも使える。
同社は、高齢化に伴う課題の解決に向けて、様々な研究機関や事業者、行政と協働し、「データ×楽しい」を基盤とした運動習慣づくりを提案することで、心と身体の健康増進を目指していく考え。
[発売日]6月15日(木)