病院・介護施設で利用されている食品、いわゆる治療食品の製造、販売を手掛ける日本メディカルニュートリション協議会と日本流動食協会、及び治療食品の卸売り企業を中心とした全国病院用食材卸売協同組合の3団体は、患者への適切な食事・栄養供給を実現することを目指し、入院時食事療養費を適切な金額に見直すことを求めた「入院時食事療養費に関する改正要望書」を各々持ち寄り、6月7日付けで厚生労働省保健局に同時提出した。
厚生労働省が2017年に実施した「入院時食事療養費の収支等に関する実態調査」では「運営形態に係わらず、病院の給食部門は赤字である」と報告されている。食材高騰が社会問題化しさらに赤字が予想される中、さる2022年6月27日には、四病院団体協議会(日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会)が給食用食材費などの値上げ傾向が続き赤字拡大は明らかであるとして、(当時)後藤茂之厚生労働大臣宛で「入院中の食事療養に必要な費用に関する改正」の要望書を提出し、入院時食事療養費の適正な金額への見直しを要望した。
今回、3団体が提出した要望書は、この四病院団体協議会の要望を後押しするため、給食用食材費の一部である、いわゆる治療食品の販売価格等の現状を調査し、値上げの現状を示すとともに、今後も値上げが避けられない状況であることを示した。
日本メディカルニュートリション協議会の要望書では、病院で利用されている病者向け加工食品270品目の販売価格の調査を行ったところ、そのうち76%の205品目が2年前に比べて値上げしており、平均値上げ率は7.4%であったと明記。その上で、「病院給食に係る多くの運用コストが今後も上昇していく可能性が高い中、現行の入院時食事療養費の設定金額では病院給食部門の支出に見合った運用ができないと言わざるを得ない」とし、患者への適切な食事・栄養供給を実現するため、入院時食事療養費を適正な金額となるよう見直しを求めている。