効率よく栄養素を摂取 “毒出し力”を高める野菜の上手な食べ方
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(本記事は、浅部 伸一氏の著書『長生きしたけりゃ肝機能を高めなさい』=アスコム、2023年4月5日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)

毒出し力を高める野菜の上手な摂り方とは

野菜は生で食べなくてもいい

レタスが山盛りになったグリーンサラダを食べて、「野菜をたくさん摂った」と思っていませんか。

残念ながら、レタスのような葉野菜は、見た目には多く見えても、実際の量は多くありません。重さを量ればわかることですが、生野菜サラダの中身の多くは空気です。見た目の量に惑わされないでください。

また、生の葉野菜をよく嚙まずに飲み込んだのでは、食物繊維の本領が発揮できません。生野菜を食べるときには、いつも以上によく嚙むことを意識しましょう。

野菜は生で食べるよりも、蒸し野菜や煮野菜にするのがおすすめです。生野菜よりも量が食べられます。レタスも、炒めたり、おでんに入れたりすると、おいしいし、量も食べられます。

伝統的な煮物では塩味が濃くなりがちなので、 出汁(だし) を濃くとるなどして、塩や醤油に頼らないように調理しましょう。濃いめの出汁で野菜を茹でれば、甘みも出ます。

温野菜にすれば、腸の中で食物繊維がよりほぐれて、ほかの栄養素に混じっていくので、脂肪もよくからめとってくれます。腸内細菌にもよい影響があるとされています。

ただし、野菜を茹でたあとで茹で汁を捨ててしまうと、汁に溶け出た水溶性ビタミン(BとC)も捨てることになってしまいます。茹で汁も使うとか、茹でるのは短時間にするなどして、ビタミンの流失をできるだけ抑えましょう。

また、芋類に含まれるビタミンCは例外ですが、たいていのビタミンCは熱で破壊されます。ですからあんまり煮込んでしまうと、そこから多くのビタミンを摂ることは期待できません。

ホウレンソウなども、お湯に入れてから長時間ぐつぐつ茹でるのではなく、1分ぐらいでサッと引き上げましょう。

効率よく栄養素を摂取するためには、こうしよう

野菜は農家が作るものですが、大量生産をするために土壌改良が進んで、土壌のミネラルが減っています。その結果、野菜に含まれる栄養素も、昔に比べるとずいぶん減っています。

ですから、なるべく効率のよい保存や調理を心がけてください。

野菜は呼吸をしています。買ってきて、そのまま冷蔵庫で長く放置していたり、切ったままにしていたりすると、それだけでビタミンは逃げていきます。それによって水分も蒸発し、野菜は劣化していきます。

また、野菜は光合成をするため、光の当たる場所でも劣化が進みます。

温度が低すぎるだけで低温障害を起こしてビタミンが減ってしまう野菜もあるので、暖かい所が原産のものは、常温保存か、冷蔵庫なら野菜室に入れます。トマトも常温で追熟させるほうがリコピンが増えるそうです。

逆に、モヤシなどはチルド室のほうが、小松菜なら冷凍室に入れるほうが、ビタミンCを保てます。

熱を加えると栄養価が落ちる野菜も少なくありません。人参やカボチャなど、中まで色の濃い緑葉野菜は、油と一緒に加熱するほうがビタミンを摂れます。

逆に、大根やカブなどの淡色野菜は、加熱しすぎるとビタミンやミネラルが減っていきます。ビタミンBやCは茹でると茹で汁に溶け出すので注意しましょう。

長生きしたけりゃ肝機能を高めなさい
浅部 伸一(あさべ・しんいち)
肝臓専門医。自治医科大学附属さいたま医療センター消化器内科元准教授。
1990年、東京大学医学部卒業後、東京大学附属病院、虎の門病院消化器科等に勤務。国立がんセンター研究所で主に肝炎ウイルス研究に従事し、自治医科大学勤務を経て、アメリカ・サンディエゴのスクリプス研究所に肝炎免疫研究のため留学。帰国後、2010年より自治医科大学附属さいたま医療センター消化器内科に勤務。現在はアッヴィ合同会社所属。 専門は肝臓病学、ウイルス学。好きな飲料はワイン、日本酒、ビール。

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