(本記事は、浅部 伸一氏の著書『長生きしたけりゃ肝機能を高めなさい』=アスコム、2023年4月5日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)
肝機能が落ちれば、体内は毒だらけになる
有害物質として挙げたアンモニアを例に、解毒力が落ちるメカニズムを説明します。
アンモニアは食べ物に含まれたタンパク質(アミノ酸)を材料にして、主に腸内細菌が作り出した「老廃物」です。
通常、エネルギー源として使われるのは糖質や脂質ですが、糖質や脂質が足りなくなると、筋肉のアミノ酸がエネルギー源として使われることがあります。アミノ酸がエネルギー源として使われると、老廃物としてアンモニアができるのです。
それでも健康な人なら、そのアンモニアも肝臓がほぼ無毒化してくれます。アンモニアに含まれていた窒素が尿素に作り替えられて、腎臓から尿と一緒に体の外に排泄されていくのです。
ところが肝臓の機能が低下して「肝硬変」にまでなると、血液中に含まれたアンモニアが体中を回ることになってしまいます。血液中のアンモニアの濃度が上がった結果、「高アンモニア血症」という病気になることがあります。脳に障害が起きてしまうこともあり、これを「肝性脳症」といいます。
どんな化学工場からも、「ゴミ」や「産業廃棄物」は出ます。日々、きちんと処分しないと、工場の敷地はゴミだらけになってしまいます。
肝臓も同じです。代謝によっていろいろな物質が作られていく過程で、不要なもの、有害なものが出ます。それらがちゃんと処理されなければ、体内に有害物質が放出されることになるでしょう。
つまり、肝臓の機能が落ちると、肝臓の仕事である「解毒」が行われず、その結果として有害物質が全身に回ってしまうことになるのです。