自覚症状のない病 「脂肪肝」発見には人間ドック
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(本記事は、浅部 伸一氏の著書『長生きしたけりゃ肝機能を高めなさい』=アスコム、2023年4月5日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)

ほうっておくと、命に関わる病気になる危険性大

症状はほとんどなく、血液検査でもわからない「肝臓がん」と聞くと深刻な印象を受けますが、「脂肪肝」と聞いてもそれほど心配する必要はなさそうだ、などと思っていませんか。とんでもありません。

確かに、脂肪肝だけでは命に関わることはありません。しかし、脂肪肝が進むと、「脂肪肝炎」になる危険があります。

「脂肪肝」と「脂肪肝炎」は1字違いですが、大違いです。脂肪肝炎は、脂肪肝が原因で、肝臓に炎症などの異常事態が起きる病気なのです。

脂肪肝から脂肪肝炎へ、脂肪肝炎から肝硬変や肝臓がんへと、命を落とすこともある病気へ進んでいく可能性があることを知ってください。

また、脂肪のたまった肝細胞は、本来の働きが鈍くなります。しかも、脂肪に乗っ取られたようになった肝細胞が、風船のように膨らむことがあります。どちらも非常によくない状態です。

脂肪肝は、ほうっておくと肝臓の機能を鈍くし、下手をすると炎症を起こして、あなたの健康な生活はもちろん、命を奪う病気に変貌を遂げる可能性があるのです。

脂肪肝になっても自覚症状はほとんどありません。肝臓の代謝・解毒などの機能がすべて落ちているのに、それを自分で感じることはできないのです。

それはつまり、「異常を感じていないからといって、脂肪肝ではない」とは言い切れないということでもあります。

では、血液検査を受ければ、脂肪肝かどうかわかるのでしょうか。

残念ながら、脂肪肝は一般的な健康診断の血液検査ではわかりません。脂肪肝を見つけるもっとも早い方法は、人間ドックの超音波検査(エコー検査)です。ただ、人間ドックは必ずしも皆が受ける検査ではありません。

自覚症状はない。
一般的な健診ではわからない。
次の段階に進む前に見つけることが難しい病気、それが脂肪肝です。

だからこそ脂肪肝になる前に、あなた自身が予防する必要があり、体型や日頃の生活から「脂肪肝かもしれない」と思い当たる節があるときは、生活を改善する必要があるのです。その最善の方法が先に紹介した「12時間肝臓ダイエット」なのです。

長生きしたけりゃ肝機能を高めなさい
浅部 伸一(あさべ・しんいち)
肝臓専門医。自治医科大学附属さいたま医療センター消化器内科元准教授。
1990年、東京大学医学部卒業後、東京大学附属病院、虎の門病院消化器科等に勤務。国立がんセンター研究所で主に肝炎ウイルス研究に従事し、自治医科大学勤務を経て、アメリカ・サンディエゴのスクリプス研究所に肝炎免疫研究のため留学。帰国後、2010年より自治医科大学附属さいたま医療センター消化器内科に勤務。現在はアッヴィ合同会社所属。 専門は肝臓病学、ウイルス学。好きな飲料はワイン、日本酒、ビール。

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