睡眠時間の世界平均は7時間超 日本人は世界「最下位」?
(画像=fizkes/stock.adobe.com)

(本記事は、白濱 龍太郎氏の著書『ぐっすり眠る習慣』=アスコム、2023年2月1日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)

私たちは世界で一番「寝不足」である

2018年にOECD(経済協力開発機構)が、加盟33カ国の平均睡眠時間の調査結果を公開しました。それによると、平均睡眠時間が最長だったのは、南アフリカの553分(9時間13分)。それに対して、日本の平均睡眠時間は442分(7時間22分)で、なんと最下位でした。

さらに、左にある心拍計などを扱う企業の調査結果をご覧ください。世界中のユーザー600万人もの睡眠データを分析すると、アジアや南米の睡眠時間の短さが目立ちますが、日本の短さは男女とも突出しています。日本の場合、起床時間は平均水準ですが、入眠時間がとにかく遅いというのが要因のようです。わたしたち日本人は、世界で一番眠れていないのです。

ぐっすり眠る習慣
(画像=『ぐっすり眠る習慣』より)

「睡眠時間を削って、仕事ややりたいことに費やす時間を増やしたい」と思う人もいるかもしれません。しかし、無理やり短時間睡眠にしていると、睡眠不足から不調をまねくだけです。睡眠不足になると疲れが取れず、かえって心身の健康を損なってしまい、日中のパフォーマンスを低下させることは目に見えています。

成功者にはショートスリーパーが多いとされていましたが、必ずしもそうとは限りません。ショートスリーパーとは、6時間未満の睡眠で自然に目が覚めて、日中もまったく眠くならずに、なんの問題もなく活動できる人のことをいいます。

19世紀にフランスの皇帝になったナポレオン・ボナパルトは、軍事独裁政権を樹立して国を率ひきいていました。睡眠時間は3時間だったそうで、ショートスリーパーとして世界的に有名な偉人です。ただ近年の調査によると、実は3時間睡眠のほかに昼寝や仮眠をとっていたという説も出てきていて、ショートスリーパーと定義づけられるのか微妙なところです。

一方で、Amazon 創業者のジェフ・ベゾスは「8時間眠ると1日ずっと調子よく過ごせる」と語っています。また、Apple のCEOであるティム・クックは7時間睡眠といわれています。さらにMicrosoft 創業者のビル・ゲイツも、7時間睡眠です。スペースX社を立ち上げた起業家として著名なイーロン・マスクは6時間とやや短めの睡眠ですが、ショートスリーパーとはいえません。世界的に有名な経営者の多くは、忙しいなかでも睡眠時間はしっかり確保しているのです

ぐっすり眠る習慣
白濱 龍太郎(しらはま・りゅうたろう)
睡眠専門医
筑波大学卒業、東京医科歯科大学大学院統合呼吸器学修了(医学博士)。公立総合病院睡眠センター長などを経て、2013年に「RESM新横浜 睡眠・呼吸メディカルケアクリニック」を設立。これまで2万人の睡眠に悩む人を救ってきた。自身がオンオフを切り替えるのが苦手だったという過去から、いかに睡眠が日中の活動に影響するかを実感し「睡眠投資」という考えを発信。マイクロソフト、PHILIPSなど世界的企業での講演や、東京オリンピックでは選手村で選手をサポートするなど、ビジネスやスポーツ界からの信頼も厚い。慶應義塾大学特任准教授、国立大学法人福井大学客員准教授、武蔵野学院大学客員教授、日本オリンピック委員会(JOC)強化スタッフ、ハーバード大学公衆衛生大学院客員研究員などを兼歴任。『誰でも簡単にぐっすり眠れるようになる方法』『いびきを自分で治す方法』(アスコム)など著作多数。「世界一受けたい授業」(日本テレビ)、「めざましテレビ」(フジテレビ)などメディアにも広く出演している。

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