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「グレート」と称される企業創りを目指す
船井総合研究所の経営コンサルタントは日々の経営支援業務を通じて、中小企業の勝ち残りの正しい姿、あるべき経営は「おそらくこういう形なのだろうな」と考えてから、企業の成長シナリオを作る思考スタイルを持っています。
それはまず最初に、経営に取り組む時、社会に貢献するために我々の事業はあるのだという哲学と強い意志を持つこと。そのうえで原理原則を大切にしながらも、自社の強みを反映した商品やサービスを時代に合わせて、さらに研ぎ澄まして、集中的な差別化を実現する。そして時流の変化を敏感につかみ取り、その時流にどう上手に乗るのかという視点でビジネスの創意工夫を考える。さらにその先には永続企業を目指し顧客、社員とその家族、社会からも愛されるグレート(とてもすごい、とっても素敵)と称される企業創りを目指すという形です。
それは本書で紹介した8つの企業の基本的な取り組み姿勢、考え方、歩いてきた道などから感じとっていただけたと思います。
当初グレートカンパニーアワードの審査にあたっては、そのような思いをベースに審査員の投票により優秀企業・ビジネスモデルを表彰していました。アワードも回を重ねるなかで多数のノミネート企業の分析を通じノウハウも蓄積され、現在では独自開発した『経営品質診断』と呼ぶツールを利用し一次審査から二次審査に進む企業を選定しています。
そのうえで二次審査では、より深く詳細にビジネスモデルの特徴と直近のビジネスの状況を説明した資料でプレゼンが実施され、理解を深めた後に審査員投票にてその年度の優秀企業を選定し表彰企業を決定する形に進化しました。
このような背景から優秀ビジネスモデルの条件を説明するにあたり、アワード審査で活用している『経営品質診断』を解説していこうと思います。
「5つの視点」は高収益化を目指すための基礎的要素
『経営品質診断』の発想は近年、金融庁が金融機関に求めている〝融資に際し、最重要で取り組むべきこととする事業性評価〞とも類似する考え方を持っています。つまり企業が稼ぐ力を有しているのか、そしてそれは正しいビジネスの姿で将来にわたっても有望なものなのかどうかを見極めるものとなっています。そのため本章の説明は経営者のみならず金融機関の融資担当者の方々にも役立てていただける内容であると思います。
船井流の『経営品質診断』は、「業績」「ビジネスモデル」「社会性」「顧客満足度」「組織力」の5視点における「現在の姿」と「今後成長するために必要なアクション」を可視化させるための診断ツールです。
この5視点はグレートカンパニーの定義とリンクしており、企業が高収益化を目指すための基礎的要素でもあります。診断内では重要項目別に細かくチェックする形式をとっています。
診断では以下の5つの視点・領域を評価しています。
- 財務評価
ビジネスモデル評価
社会性評価
顧客満足度評価
組織力評価
『経営品質診断』の5つの領域の評価点を高めていけば独自性の高いグレートカンパニー創りにつながっていきます。ただ本物のグレートカンパニーを目指すためには自社なりの哲学を持ったうえで、この5つの領域の正しい押さえ方・手順が必要であると考えています。
より狭属性マーケットで突き抜けた一番化を実現
中小企業の場合は専門化を進め、大手に飲み込まれない、包み込まれない弱者の正攻法と呼ばれる戦略を経営の中心に据えることが重要ですが、船井総合研究所では、より狭属性マーケットで突き抜けた一番化を実現することがその状態を作り上げる一番の近道の方法と考えています。
この狭属性一番化の発想は中堅・大手企業でも重要であり、グローバルニッチトップ企業の強みなどで解説される考え方とよく似ているのかもしれません。簡単には真似ができない分野での圧倒的に突き抜けた一番化を実現しビジネスモデル強化に取り組むこと、財務体質の強化に取り組むこと、それが中小企業のグレートカンパニー化を進めるうえでのファーストステップになるわけです。
そしてビジネスを発展・進化させるうえで重要なことは次に従業員満足とカスタマーサクセスを意識することです。これは常日頃から顧客満足や顧客自身のビジネス、体験を上質化させることが重要だと考えねばなりません。その考えのもと経営者・従業員が一体となり商品、サービスの品質向上に全力で取り組める環境が作られていけばよいのです。これがセカンドステップです。
そして最後のサードステップとしては、地域社会や国家の発展に貢献し、尊敬されるような行動を展開していく段階まで企業の力を高めていきます。地域社会や国家のお役に立ち続けることができる企業は、より企業の永続性が高まることは間違いありません。
そのためには高い志が求められ、企業の理念とビジョン、経営者の哲学が強く関係してくることは言うまでもありません。