「小話」はコミュニケーションの潤滑油のようなものだ。「ちょい深い」話がその場の雰囲気を温め、それがビジネス関連の酒席であれば仕事の話に入る前のアイスブレイクとして、ちょうどいい導入になるはずだ。経営者同士の酒席で使える、お酒の「ちょい深い知識」を紹介しよう。

目次

  1. 「三段仕込み」とは?
  2. 「男酒」と「女酒」とは?
  3. 「濁酒」とは?
  4. 日本酒の「3つ」の区分とは?
  5. 日本酒の「8つ」の区分とは?
  6. 「ひけらかしすぎ」には注意しよう
経営者の酒席で小話になるお酒の「ちょっと深い知識」
(画像=K/stock.adobe.com)

「三段仕込み」とは?

まず、日本酒に醸造における仕込みの手法である「三段仕込み」について説明していこう。

日本酒の醸造では醪(もろみ)を造る必要があり、もろみを仕込むための方法が三段仕込みだ。

具体的には、酒母(しゅぼ)をあらかじめ造り、3回に分けて「水」「麹(こうじ)」「蒸米(むしまい)」を加えていく。1段階目は1日に、2段階目は3日目、3段階目は4日目と、4日間かけて仕込んでいくのが一般的な方法だ。

誤解がないよう書いておくが、それぞれを別々に3回に分けて加えるのではなく、段階ごとに「水」と「こうじ」と「蒸米」を少しずつ加えて仕込んでいく。

3回に分けて原料を加えていく理由は、醪の腐敗につながる雑菌に汚染されないようにするためだ。一度に全てを加えてしまうと、酒母の中の酵母や酸が一気に薄まってしまうため、雑菌が繁殖しやくなってしまう。

なお、1日目を「添仕込み」、2日目を「踊り」、3日目を「仲仕込み」、4日目を「留仕込み」と呼ぶ。

「男酒」と「女酒」とは?

徳島県発祥の阿波踊りには「男踊り」と「女踊り」があることが有名だが、日本酒の世界でも「男酒」と「女酒」という呼び方がある。

男酒は「辛口」の酒のことを、女酒は一般的に「甘口」の酒のことを指す。一般的に男酒の代表格といえば「灘の酒」(兵庫)など、女酒といえば「伏見の酒」(京都)などがある。

日本酒の味わいに違いが生まれる理由は、仕込み水や製造工程の違いにある。男酒は仕込み水としてミネラル分が多い「硬水」が使われ、女酒ではミネラル分が少ない「軟水」が使用される。また、男酒は醸造の過程で強い発酵を伴うが、女酒は穏やかに発酵させるのが特徴だ。

「濁酒」とは?

誰でも「濁酒(どぶろく)」という言葉を耳にしたことはあるだろうが、きちんと意味を理解しているだろうか。

濁酒は、漉(こ)す前の日本酒のことで、米と米こうじと水を使って発酵させただけの状態で飲む酒のことを指し、「濁り酒」(にごりざけ)や「もろみ酒」といった呼ばれ方もする。濁酒を好んで飲む愛好家も少なくない。

日本酒の「3つ」の区分とは?

日本酒は、原料によって基本的に「吟醸酒」「純米酒」「本醸造酒」に分類される。日本酒造組合中央会の公式ウェブサイトを参考に説明すると、それぞれ原料が以下のように定義されている。

  • 吟醸酒:「水」「米こうじ」「精米歩合60%以下の白米」/「水」「米こうじ」「精米歩合60%以下の白米」「醸造アルコール」
  • 純米酒:「水」「米こうじ」「白米」
  • 本醸造酒:「水」「米こうじ」「精米歩合70%以下の白米」「醸造アルコール」

日本酒の商品のラベルに区分名が添えられているのを目にしたこともあるだろう。

日本酒の「8つ」の区分とは?

一方、製造方法や精米歩合によって、8つの「特定名称酒」に分類する区分もある。

米と米こうじを原材料として、精米歩合のパーセンテージが高まっていくにつれて、低い方から「純米大吟醸酒」「純米吟醸酒」「特別純米酒」「純米酒」と区分される。

一方、米と米こうじ、醸造アルコールを原材料とする場合は、パーセンテージが低い方から「大吟醸酒」「吟醸酒」「特別本醸造酒」「本醸造酒」と区分される。

ちなみに別な呼び方もある。もろみを搾っただけの「生酒」、長い期間にわたって貯蔵された「古酒」、そして前述の漉す前の酒である「濁り酒」「濁酒」などだ。

「ひけらかしすぎ」には注意しよう

お酒に関するうんちくは、冒頭でも触れたように酒席のムードを温めるのに一役買う。ただし、酒席の時間のほとんどを、知識をひけらかすことに費やしてしまわないようにしよう。

あくまでこうした「ちょい深い知識」は、メインディッシュにつなげるための前菜という感覚を持っておこう。お酒のうんちくばかり話していると、相手もだんだんうんざりしてくる。

この辺りのバランス感覚を持って酒席に臨めば、経営者同士の交流会などでも円滑なコミュニケーションが取れること請け合いだ。

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