36歳、男、離婚歴あり、無職。10年間勤めた会社を辞めて、日本を漂流する「バンライフ」始めました

こんにちは、はじめまして。レンタローといいます。バンの中で生活しながら、日本をひとり漂っています。いわゆる「VANLIFE(バンライフ)」ってヤツをしています。

今回から Mobility Storyで、「バンライフ」についてや暮らしの相棒である「クルマ」のこと、そして「旅」についてのアレコレと、僕が各地を旅をして目にしてきた「各地の魅力」をご紹介していきますので、どうぞ宜しくお願いします。

まずは僕がバンライフを始めたきっかけについて、少し話をさせてください。

目次

  1. 僕は『今の自分が大好きだ!』と本当に心の底から言えるのか?
  2. 今までの僕には「自分で選んだ道」はあったか?
  3. 仕事がない状態で、ゼロからはじめたバンでの生活
  4. パートナーに選んだマツダの「ボンゴブローニイバン」
  5. 僕のバンライフのはじまり

僕は『今の自分が大好きだ!』と本当に心の底から言えるのか?

2年前まで、僕はスーツを着て海外を飛び回るセールスマンでした。

当時の家にはテレビも、エアコンも、乾燥機付き洗濯機も、お掃除ロボットもありました。モノの観点で言えば「何不自由無い生活」をしていたんです。

36歳、男、離婚歴あり、無職。10年間勤めた会社を辞めて、日本を漂流する「バンライフ」始めました
セールスマンをしていた頃の僕

ただ、何不自由無い生活の中でも、自分の中に漠然としたモヤモヤはありました。

「これでいいのか?」
「このまま人生は過ぎていくのか?」
「最近、腹がよじれる程笑ったのはいつだった?」
「心が揺さぶられる程感動したのはいつだったか?」
「僕は『今の自分が大好きだ!』と本当に心の底から言えるのか…?」

自分の生き方に漠然とした「焦り」や「不安」を抱えながら過ごしていた頃、ある記事に出会った事で、僕の人生の歯車はゆっくりと逆回転を始めました。

メジャーリーガーのバンライファー

それは、当時ミニマリストについて興味を持ち、PCでネットを何気なく漁っていた時でした。

ダニエル・ノリスという契約金で2億円も稼いだメジャーリーガーが、 ウォルマートという大型スーパーマーケットでバンに寝泊まりしている、という記事(実際に僕が見た記事:http://minimarisuto.jp/vanman/)を偶然見かけました。

大金を得て豪遊するチームメイト達からパーティーに誘われても断り、狭くて不便で、時に不潔なバンでの生活を、自分の意志で選んでいる。彼と、彼の信念と、バンライフという未知のライフスタイルに、衝撃を受けたんです。

都内のマンション住まいだった僕にとって、それは思いもよらない、見つけたばかりの「憧れの生き方」でした。沸々と自分の中で込み上げるものがあり、PC画面の前で数分間、体が固まっていました。

でもまた翌朝には忘れてしまいそうな、よくある一時の夢にもなりそうで、落とし所の分からない感情になりました。ただ、

「このワクワクは霧散させたくない」

そう思ってすぐに海外のバンライフの写真を画像検索して、気に入ったものを数枚保存。スマホの待受にして、会社に向かう揺れる電車の中でいつも眺めていました。

36歳、男、離婚歴あり、無職。10年間勤めた会社を辞めて、日本を漂流する「バンライフ」始めました
※イメージ

このネットの記事が、僕がバンライフをはじめる一つ目のきっかけです。

今までの僕には「自分で選んだ道」はあったか?

もう一つのきっかけだったのが、7年間生活を共にした元妻に別れを告げて、仕事を辞めたことです。

この2つの決断は、僕が初めて周囲の反対を押し切ってまで決めた道でした。本当の意味で、初めて自分の意志で決めた道だったと思います。もう誰の責任にもできません。

レールなんてない、ただひたすら真っ白な道へ踏み出すには不安や恐れ、ちょっと後悔さえありました。でも、だからこそ、この緊張感こそ、きっと僕が感じたかった「生きている」って事だったんです。

好きなもの、幸せを感じるもの、「ワクワク」に従え

36歳、男、離婚歴あり、無職。10年間勤めた会社を辞めて、日本を漂流する「バンライフ」始めました

独身になり、仕事を辞め、「次、何しよう?」と考えた時、 自分の好きなものや、幸せと感じるもの、ワクワクするものについてノートにありったけ書き出しました。「場所や時間に縛られない事」「自然の近くに身を置く事」「好きなものだけに囲まれる事」「自分を好きだと思える事」など100個以上の事を。

そして今の僕の幸せを叶えてくれそうな唯一の答えが「バンライフ」だったんです。スマホの待受を見て、「やっぱり俺、バンライフやりたかったんだ」と。 僕の中で「直観」が「論理」を追い越した瞬間でした。

仕事がない状態で、ゼロからはじめたバンでの生活

サラリーマンを辞めて無職になった僕にとって、バンライフをしながらの稼ぎ方なんて何も分かりませんでした。

ただ貯金を切り崩して暮らしていく内にどうにかなるだろうと思い、後先も考えずに、まずはじめてみる事にしました。

36歳、男、離婚歴あり、無職。10年間勤めた会社を辞めて、日本を漂流する「バンライフ」始めました

バンを選ぶ時に条件にしていたこと

バンライフを始めるにあたって必要なのは何か?「バン」です。結論から言うと、僕が選んだのはマツダのボンゴブローニイバンという車でした。

バンライフを始める前の僕は車に全く興味が無く、知識もゼロでした。はじめは単に「見た目がかっこいい」という理由だけで、ベンツのトランスポーターやVWのヴァナゴンに注目していました。ネットで見てきた海外のバンライフらしさが詰まった車。ワクワクしか感じませんでした。

36歳、男、離婚歴あり、無職。10年間勤めた会社を辞めて、日本を漂流する「バンライフ」始めました
VWのヴァナゴン

Photo by Tobias Weinhold on Unsplash

ただ一度冷静になって、今後の旅のスタイルを考慮した結果、バンを選ぶ上で重要な条件があがりました。

  • サイズ:室内の生活スペースは極力大きくしたい反面、車幅によっては道幅や駐車場の制限を常に気にしながら旅をする事は少なからずストレスになり得る。また立体駐車場を使うこともありそうだったので高さもそこまで出せない。
  • 国産車:日本を走ることをベースに作られた国産車の信頼性。故障してもパーツがすぐに手に入るのも安心。
  • 中古車:予算が限られている事と、新車をDIYで改造する勇気はなかった。
  • 見た目:旅を共にする相棒。見ていてニヤニヤするくらい自分の好みである事。

以上を理由に最終選考に残ったのがハイエースとキャラバン、そしてボンゴブローニイでした。

ボンゴブローニイは他の2台と比較して知名度も低く、国産車ながらレア感もあって気になっていました。そして中古車販売の店舗まで、ボンゴブローニイを見に行きました。

パートナーに選んだマツダの「ボンゴブローニイバン」

36歳、男、離婚歴あり、無職。10年間勤めた会社を辞めて、日本を漂流する「バンライフ」始めました

僕が見に行ったのは千葉県白井市にあるオー・エスネットワークという中古車販売店でした。

オーナーの千葉さんが裏から引っ張り出してきてくれたのが、後に僕のパートナーとなる5MTのディーゼルエンジンのボンゴブローニイでした。正直、見かけた瞬間に「あ、コイツと旅する」と思いました。出会った瞬間から決めていました、です。

長く白いボディの「The 商用バン!」って感じと、サイドのエラみたいな排気穴が僕的にもうドンピシャでした。

36歳、男、離婚歴あり、無職。10年間勤めた会社を辞めて、日本を漂流する「バンライフ」始めました

また旅でガス代を抑えられるディーゼル車である事と、たまたま僕がMT免許を持っていた事にも運命を感じ、その場で即決しました。千葉さんからは「これ僕が改造しようと思ってたんで裏に隠してたんですけどねー!」って言われたんですけど、そこをどうにかお願いして無事買えました。

走行距離は5万km。100万円の買い物でした。

36歳、男、離婚歴あり、無職。10年間勤めた会社を辞めて、日本を漂流する「バンライフ」始めました

ちなみにですが、オー・エスネットワークは、ブローニイだけでなく男心くすぐる中古車が沢山あって、塗装や床の改造までオーダー出来るので、これからバンライフを始めたい、特に自分の手で改造したいと思っている人は是非行ってみてください。きっとワクワクすると思います。

追加したオプション

外装はとても悩みましたが、結局は元の白のままにしました。購入前から海外のバンを参考に色々と外装の妄想はしてたんですが、ブローニイは結局真っ白が一番映えていました。また旅の途中で別の色にしたくなったら、その時に変えれば良いので。

36歳、男、離婚歴あり、無職。10年間勤めた会社を辞めて、日本を漂流する「バンライフ」始めました

ちなみに出会ってからもう2年になりますが、未だに色を変える予定はありません。「商用車っぽさ」って、何か工業的で、洗練されてて、シンプルにカッコよく無いですか? 僕だけかな?

タイヤはオフロード仕様に変更。走行時は少し煩くなるけど、元々ディーゼルは煩いし、そんな事よりもゴツくてかっこいいので良いんです。あとは追加でミラーフィルムを貼ってもらいました。僕のブローニイの窓には元々少しスモークが入ってたんですが、ミラーを重ねる事で更に男らしくなりました。

36歳、男、離婚歴あり、無職。10年間勤めた会社を辞めて、日本を漂流する「バンライフ」始めました

またスモーク×ミラー仕様は外から車内が覗かれにくく、強い日差しも効果的に遮ってくれているので、見た目的にも、機能的にも大満足です。

僕のバンライフのはじまり

36歳、男、離婚歴あり、無職。10年間勤めた会社を辞めて、日本を漂流する「バンライフ」始めました

そして出来上がった、僕の、僕の為の、僕と共に旅をするバン。僕の目にはピッカピカに映りました。

「コイツと一緒にボロボロになろう」

クラッチを踏んでギアを上げる。ゆっくりと動き出すバン。久々のミッション操作で、実家の神奈川に帰るまでに3度のエンストを起こしながら、僕と僕のバンの旅は、始まったのです。

■この著者のプロフィールは、こちら