矢野経済研究所、和洋菓子・デザート類市場に関する調査、2022年度は人流回復に伴い手土産需要が回復

矢野経済研究所は、国内の和洋菓子、デザート類市場を調査し、製品セグメント別の動向、チャネル別の動向、参入企業の動向、将来展望を明らかにした。その結果、2022年度は人流回復に伴い手土産需要が回復。原料価格高騰を背景に価格改定が相次ぐも、製造小売系企業は販売回復の追い風が大きく影響は軽微になるとみられる。

和菓子、洋菓子、デザート類(ヨーグルト、プリン、ゼリー、その他チルドデザート類)、アイス類(アイスクリーム類、氷菓)を合計した2021年度の和洋菓子・デザート類市場規模(メーカー出荷金額ベース)は、前年度比0.5%減の2兆1430億円と推計した。但し、複数の企業が収益認識会計基準を適用した新会計基準に移行した影響があり、旧会計基準ベースでは同1.5%増の2兆1858億円と拡大に転じたこととなる。

2021年度はコロナ禍の長期化に伴い行動制限のある状態が続いたものの、百貨店など営業店舗の休業・営業時間短縮が実施された前年度と比較すると制約が和らいだことによって、特に製造小売系の和菓子・洋菓子は、前年度の反動で一部回復した。家庭内消費については、2020年度のような巣ごもり特需はみられなかったものの、在宅時間が長い状態が続いて旅行などの外出が制限される中で、日々のストレス解消や癒しを求めるニーズがスイーツに向けられたことで、やや単価の高い商品販売が好調に推移するなど、“プチ贅沢”は引き続き顕在化した。

矢野経済研究所、和洋菓子・デザート類市場に関する調査、2022年度は人流回復に伴い手土産需要が回復

2021年度の和洋菓子・デザート類市場における流通チャネル別構成比は、量販店が39.6%、コンビニエントストア(CVS)が22.3%、百貨店が16.0%、専門店・路面店(ショッピングセンター内専門店含む)が7.0%、通販が5.2%、駅関連(駅構内の商業施設や駅ビル等)が3.0%、SA・PA(高速道路のサービスエリア等)が0.8%、空港が0.6%、その他(法人需要等を含む)が5.4%となった。

2020年度には行動制限などで手土産需要が大きく縮小したが、2021年度は一部回復したことに伴い、関連チャネル(百貨店、駅関連、空港)が持ち直した。

2022年度の和洋菓子・デザート類市場規模(メーカー出荷金額ベース)は、前年度比2.0%増の2兆1850億円を予測する。2022年度は全国的に行動制限が解除されたことによって、それまで低調に推移していた手土産需要が回復した。特に、秋から全国旅行支援がスタートし、長距離移動を伴う旅行客も回復したことで、それに伴う観光土産需要も拡大がみられた。一方、それまで特需的な需要の高止まりが続いていた、和洋菓子・デザート類の家庭内消費は落ち着き、過去2年間の反動もあってマイナス推移が目立っている。

また、原材料価格の高騰や円安により、食品業界全体で価格改定が相次いで実施されており、和洋菓子・デザート類も例外ではないが、製造小売系の和菓子・洋菓子では手土産需要回復の勢いの方が強いことから、大きな影響はみられずに推移する見込みである。一方、スーパーやコンビニエンスストアで販売されている流通系の和菓子・洋菓子やデザート類には節約志向の影響がみられている。流通系の和菓子・洋菓子では、コロナ禍で販売が好調だった高価格帯の商品は売れ行きが悪くなり、値頃感のある商品やコストパフォーマンスの良い商品が好まれるようになっている。

[調査要綱]
調査期間:2022年11月~2023年2月
調査対象:和菓子・洋菓子・デザート・アイス類のメーカー、卸売業、小売業、その他関連団体等
調査方法:同社専門研究員における直接面接取材(オンラインを含む)および、電話取材、アンケート調査、文献調査併用
小売価格:13万2000円(税込)

矢野経済研究所=https://www.yano.co.jp/