高速道路の路線名表示のところに一緒に表示されている「E1」や「C4」のような、アルファベットと数字の表記。近年登場したもので、日頃高速道路をよく走行しているけど、実は意味がよくわかっていないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
こちらは「高速道路ナンバリング」とよばれるもので、2017年より高速道路などの高規格道路や、高規格道路から主要な空港・湾港・観光地へのアクセスとなる高速道路ネットワークを形成する道路に付与されている路線番号です。
高速道路ナンバリングが始まった理由
引用:国土交通省
“整備が進む我が国の高速道路ネットワークにおいて、路線名に併せて路線番号を用いて案内する「ナンバリング」を導入することにより、訪日外国人をはじめ、すべての利用者にわかりやすい道案内を実現します。”
インバウンド観光促進などで日本に来る外国人の方が増え外国人ドライバーも増えるなかで、「日本の高速道路はわかりづらい」という声が集まり、東京オリンピック・パラリンピックの開催も見越して、導入された経緯があります。
ナンバリングは路線ごとにアルファベットや数字に違いがあり、付け方に一定のルールが存在します。ルールを知ることで、高速道路のナンバリングを理解できるため、高速道路をより賢くより楽しく走行することができます。
高速道路のナンバリングのルールについて、詳しくみていきましょう。そして、実際、運転で活用できる場面がありますので、ぜひ活用してみていただければと思います。
目次
数字は並走する国道の番号が付与されている
ナンバリングの定義としてまずあがるのが、並走する国道の番号です。全国の主要高速道路はだいたいが、主要国道に沿って通っていることが多いです。
国道の番号の付け方は、時代により変化してきましたが、1952年(昭和27年)の新道路法改正時に決められたものがベースとなっています。この中で、1桁と2桁の国道が一級国道で3桁の国道が二級国道に分類されました。
高速道路のナンバリングでは、並走する一級国道の番号が付与されています。たとえば、「E3」の九州自動車道は国道3号線、「E17」の関越自動車道は国道17号線とほぼ並走しています。また、東名高速道路(以下 東名)と名神高速道路はともに「E1」が割り当てられるなど、路線をまたいで同じ数字が付与されるところもあります。
東名の場合、「東京IC」〜「沼津IC」は国道246号線とほぼ並走していますが、それ以降は国道1号線と並走しているので、「E1」が割り当てられています。高速道路全区間で同じ国道が並走しているわけではありませんが、あくまで全区間のうちのもっとも関わりのある路線の数字が割り当てられているということです。
なかには、東海北陸自動車道の「E41」のように高速道路と並走する国道までの距離がかなりあるところもありますが、一級国道の数字はほぼいずれかの高速道路路線に割り当てがされています。
一級国道と並走しない路線などは自治体コード順に59番以降が付与
国道の数は高速道路路線路線数よりもはるかに多いこともあり、必ずしも高速道路の路線と並走する国道が一級国道ではないところもあります。特に、地方と地方を結ぶいわゆるローカル線はそのようなところがちらほら存在します。
その場合は自治体コード順に59番以降の数字が付与されています。なぜ59番からというと、実は2桁の国道は、沖縄本島の主要道路となる国道58号線までとなっており、59〜99番は欠番となっているのです。
そのため、59番からはそもそも国道が存在しないため、並走する国道がない高速道路路線では59番以降の数字が自治体コード、ざっくり日本列島の北から順に割り当てがされています。
59番以降の路線は、ほとんどが有料道路になりますが、全国各地にある有料道路も近年の高速道路ネットワークを支える一員を担っているため、貴重な路線だといえます。
高速道路に並走する路線については主要路線のナンバリングに「A」を加えた番号
高速道路のナンバリングは基本的に「アルファベット+数字」で構成されていますが、数字の後ろにアルファベットが記載された路線もいくつか存在します。
こちらは主に、新東名高速道路(以下 新東名)や新名神高速道路(以下 新名神)のように、既存の主要高速道路に並走する高速道路に付与されています。新東名や新名神は東名・名神に並走する高速道路のため、「E1A」と表記されます。
また、中国自動車道(以下 中国道)は山陽自動車道(以下 山陽道)の並走路線という認識となっており、山陽自動車道の「E2」に「A」を加えた「E2A」で表記されます。
その他、南九州自動車道、八戸自動車道、札樽自動車道なども、主要高速道路に並走する高速道路という扱いのもと、それぞれ「E3A」「E4A」「E5A」が割り当てられています。
首都圏や中京圏の環状高速道路は「C」+番号で表記
高速道路のナンバリングのアルファベットは、基本的に「Expressway」の「E」が使用されていますが、首都圏と中京圏に存在する環状高速道路については「circle」の頭文字である「C」が付与されています。
具体的には、首都圏の外環道と中京圏の東海環状自動車道(以下 東海環状道)がそれにあたり、ともに「C3」が付与されています。また、外環道のさらに外側を通る環状高速道路である圏央道には「C4」が割り当てられています。
首都圏・中京圏ともに都市高速が存在し、都市高速内に2路線の環状高速道路が通っていることから、外環道と東海環状道は中心地から3番目の環状高速道路という位置づけとなっております。
また、東京湾アクアラインや東京湾アクアライン連絡道も首都圏の環状高速道路という位置づけになっており、圏央道と同様の「C4」が割り当てられています。
同路線内でも「区間によって」数字が変わるナンバリングも存在
高速道路1路線に対して割り当てられているナンバリングも1つかと思いきや、あるポイントを境にナンバリングの数字が変化する路線も存在します。
代表的なところでいうと、私がよく利用していて Mobility Storyでもたびたび紹介させていただいている中央自動車道(以下 中央道)は、区間別でなんと3つのナンバリングから構成されています。
中央道を並走する国道は起点の「高井戸IC」は国道20号線になっております。しばらく中央道と国道20号線の並走が続きますが、国道20号線は長野県塩尻市で終点を迎えます。その後は岐阜県中津川市まで距離が離れているものの、国道19号線が並走する形となります。
そのため、中央道は高井戸IC〜岡谷JCTが「E20」、岡谷JCT〜終点の小牧JCTに「E19」が付与されております。さらに、中央道は中央道富士吉田線とよばれる支線もあり、富士吉田線には「E68」が割り当てられているのです。
その他、阪和自動車道や徳島自動車道、高知自動車道なども複数のナンバリングが存在する路線となっております。
ナンバリングを活用するポイント
実際に高速道路のナンバリングをどのように活用していけばいいのか。普段運転していると、なかなか活用する機会がないと思うかもしれませんが、意外な活用方法がいくつかあります。
まずは、高速道路と並走する国道の関係性がざっくりとではありますが、わかることです。単純に日本地理や道路に詳しくなれる他、いざというときの迂回ルートを選択しやすくなります。
また、ナンバリング表記だけでも路線がわかるようになるため、ナンバリングがどの路線かわかっていれば、道を迷うことも少なくなります。最近は、複数な分岐も多いため道を迷わないようにする要素を少しでも増やすことは重要です。
あとは、高速道路をよりわかりやすく親しみやすくなる点が大きいかと思います。私が子どもの頃はナンバリングがありませんでしたが、今後はナンバリングから興味をもって、高速道路を好きになる子も現れるのではないでしょうか。
いろいろと活用方法があり、いろいろなところで表示されている高速道路のナンバリングにぜひ注目してみてください。きっと、新しい発見がでてくると思います。
■参照:国土交通省「高速道路ナンバリング」