キユーピー 大山寛介担当課長、綿貫智香次長、濱崎伸也取締役上席執行役員
(画像=キユーピー 大山寛介担当課長、綿貫智香次長、濱崎伸也取締役上席執行役員)

キユーピーはプラントベースフード(PBF)などサステナブルな食の新ブランド「GREENKEWPIE」を立ち上げ、第1弾として3月16日から「植物生まれのごまドレッシング」と「植物生まれのシーザーサラダドレッシング」を新発売する。

また第2弾として、既存の卵代替品「HOBOTAMA(ほぼたま)」や「プラントベースタルタルソース」のデザインを変更し、新ブランドに刷新する。第3弾は2024年春以降に発売予定だ。

濱崎伸也取締役上席執行役員市販用市場統括は「海外ではPBFが目立ってきているが、卵や調味料のプレーヤーは少なく、味も未完成な部分が多い。新ブランドは、世界中の食と健康に貢献するブランドになりうる。日本でもこのムーブメントが起きるよう、事業を推進していく」と強調し、売上目標として2025年に20億円、2030年に100億円を掲げた。

3月8日に渋谷区の本社で、PBF事業戦略発表会を開催し、濱崎取締役はPBF事業について、キユーピーグループ2030ビジョン実現に向けた取り組みの一つとした。その理由として、世界でPBFの市場規模が拡大していることを挙げ、「当社内にある調達力、加工技術、販売網を生かして、提供できる価値があると考えた」と説明する。そこから生まれたのが卵代替品の「HOBOTAMA」だといい、2021年に業務用を、2022年に市販用を発売している。

「『HOBOTAMA』の反響を通じて、PBFに取り組むことは消費者の食卓を一層豊かにできることに寄与でき、グループ2030年ビジョン実現にもつながる手応えがある」と力を込めた。また、「食と健康への貢献」など、サステナビリティ実現に向けた重点課題の多くのテーマにも紐づくことも事業化に乗り出す要因とした。PBF事業を通じ「地球と人、両方にとっての食のサステナビリティの実現を目指す」と語る。

〈新ブランドの特徴は原料選定や生産の柔軟性、持続的な生産と供給を果たしていく〉
研究開発本部グループR&D推進部の綿貫智香次長は、新ブランドのターゲットを、「環境や健康の、今と未来のためを考えている人々」とした。ブランドの特徴として、まずは食材選定や生産の柔軟性を挙げる。

「植物性素材のみでもコクを感じる味の設計技術や、マヨネーズを通じて培われた乳化技術、卵のリーディングカンパニーとして磨いてきた卵の物性や食感を作り出す卵加工技術がある。それらによって原料選定の自由度を高め、持続可能な原料調達を可能にし、持続的な生産と供給を果たしていく」と説明した。また、おいしさに調理性を加えることや、内食、中食、外食の幅広い食シーンをカバーする提案力も特徴だという。

さらに、グローバルな展開力も挙げた。サラダの食文化がない国や地域においても、マヨネーズやドレッシングを通じて新しい食生活を提案してきた提案力を生かし、新ブランドの理解を育てていくとしている。

2024年に予定する第3弾では、調味料、調理品、タマゴ素材、新規などでPBF商品を創出していくとしている。家庭用本部調味料部ドレッシングチームの大山寛介担当課長は、PBFの利用者、利用意向者へのアンケートで、今後利用したいと思うものでは調味料が最多だったことを示した上で、「特別使いから普段使いへ」「単品メニューから献立のピースへ」「原料代替から調味料へ」という3つのポイントを挙げた。「現在のPBFは、主原料やメニュー完結商品がメインだが、調味料の市場形成に先んじて目を向け、新たな商品展開を進めていく」とした。

商品特徴について、「植物性原材料を使いながら、風味、コクの再現を目指した」とする。「植物生まれのごまドレッシング」は、卵黄を使わずに独自の乳化技術を活用し、マイルドなコクとうま味を再現した。「植物生まれのシーザーサラダドレッシング」は、チーズ特有の香りと風味を再現するため、豆乳やみそといった発酵食品を使いこなして再現した。カロリー25%カットによって、「おいしさの実現と健康観を両立させた」とする。2品の売上目標は、2023年度3億円、2025年度に5億円、2027年度に10億円を目指す。

〈大豆油糧日報2023年3月9日付〉