マーケティングエキスパートが語る 不動産営業で生き残るデジタル戦略とは
(画像=Song_about_summer/stock.adobe.com)

(本記事は、森 和吉氏の著書『日本一詳しいWeb集客術「デジタル・マーケティング超入門」』=ぱる出版、2022年12月22日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)

①「お役立ち情報サイト(オウンドメディア)」の立ち上げ

不動産会社さんが獲得したい中心的な顧客像(ペルソナ)は「アパート経営で不労所得を得ながら暮らしていきたいサラリーマン」でした。なんらかの本業を続けながら、月に数十万円の家賃収入を得ることで、収入の不安を減らしたい。老後にゆとりある暮らしをしたい。そんな希望がある人たちがターゲットだったのです。

そこで、お役立ち情報サイト(オウンドメディア)経由の問い合わせを増やす施策を実行することになりました。月間のコラム制作本数は20本です。

20本の記事のうち、10本は「不動産投資 アパート経営」に関するSEOコラムを作成し、5本は時事ネタ関連のSEOコラムを作成しました。例えば1月は「不動産投資 確定申告」をキーワードに記事を作るといった具合です。残りの5本は「節税対策」や「iDeCo」など、投資に関心がある人が読みたい金融・投資関連のSEOコラムを作成しました。

この話をすると「なぜ、20本の記事のうち10本も『不動産投資 パート経営』のキーワードに関する記事を作成するのでしょうか?」と聞かれることがあります。たしかに、あまり一般的な手法ではないかもしれません。

私がこのような戦略を取った理由は、会社に問い合わせする顧客の流入元のキーワードをたどると「不動産投資 アパート経営」が一番多かったからです。「不動産投資 アパート経営」というキーワードを検索する顧客が、自社の商品をすぐに購入する可能性がある「今すぐ客」だったということです。至ってシンプルな理由でした。

このキーワードにひもづくSEOコラムで、Google検索の1ページ目の上位を占領できれば、不動産商品を購入する可能性が高い「今すぐ客」を効率よく獲得できるだろうと考えました。

この会社においては、前例のない戦略でしたが、SEOコラムが100本を超えた半年後くらいから、このキーワードで、Googleの検索エンジン上で検索1位を取得することに成功しました。10ヵ月ほど経過した頃には、この不動産会社さんによるSEOコラムが1ページ目上位を独占する状態に。その結果、不動産会社のお役立ち情報サイト(オウンドメディア)へのセッション数(訪問数)が大幅にアップしました。不動産会社さんのWeb サイトに訪問する見込み顧客が急増したということです。その結果、大幅な売上増につながりました。

②「リードマグネット」の提供

私は、SEO対策に加えて「リードマグネットの提供」も実行しました。リードマグネットとは、メールマガジンやLINE@を登録してくれた見込み顧客に対して、そのお礼にプレゼントを提供することです。

人は何か受け取ると、何かを返したくなるものです。一般的には「返報性の原理」などといわれていますが、私は「ありがとうコミュニケーション」と名付けています。ありがとうコミュニケーションによって、連絡先の獲得や申し込みされる確率を高められます。見込み顧客の連絡先を獲得するのに、もっとも効果のあるデジタルマーケティング手法の一つです。

このときは、メールマガジンに登録してくれた方に対して「不動産投資」や「アパート経営」で成功するために押さえるべきポイントをまとめた情報冊子を無償でプレゼントしました。

このリードマグネットと引き換えに得られた顧客リストは「飛び込み営業」や「無差別にかけるテレアポ営業」で得られたリストよりも格段に受注確率が高いものでした。なぜならば、リードマグネットをダウンロードする時点で、顧客は、不動産投資やアパート経営に興味があることが確定しているからです。「リードマグネットの申し込み」というアクションが、確度の高い見込み顧客を獲得するうえで、優れたフィルター効果を発揮していたのです。

この施策の結果、「不動産投資」や「アパート経営」に関心がある優良な見込み顧客のリストを効率よく獲得できるようになりました。

日本一詳しいWeb集客術「デジタル・マーケティング超入門」
森 和吉
1970年、青森県八戸市出身。大学卒業後、公務員となるも退職し音楽雑誌社の編集に転職。その後、携帯コンテンツ部門に配属。着メロ、着うたサイトを大ヒットさせ100万人以上が利用するサイトや100以上のコンテンツを立ち上げる。 その後、不動産投資のデジタルマーケティング担当としてヘッドハンティングされ、オウンドメディアでの集客や、不動産投資クラウドファンディングの事業に携わり、1年間で業界最大の20万人という会員数と通算で50億のディールを発生させる。 2019年11月、ライフワークとしてデジタルマーケティングに携わり、人の役に立ちたいたいと思い起業。コンテンツ立ち上げ後の集客や運用、コンテンツを持っている事業者との「アライアンス業務」、「Webを使った集客」を強みとするウェブ解析士マスター、チーフSNSマネージャー、提案型ウェブアナリスト。

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