「人」が育つ組織 首都圏最大規模の動物病院グループが大切にするチームマネジメント
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(本記事は、生田目 康道氏の著書『「人」が育つ組織 首都圏最大規模の動物病院グループが大切にするチームマネジメント』=アスコム、2022年11月29日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)

人の個性を活かす「いけばな型マネジメント」

チーム運営において「相互牽制」と同様に大切なのは、人と人とのバランスです。スタッフをどのように選び、組み合わせてチーム編成をすべきかについては、正直なところケースバイケースというのが実情です。

何度も頭を悩ませ、ひたすら最適解を導き出すしかありません。

とはいえ、当てずっぽうでデタラメに人を配置するわけにはいきません。これまでの経験からわたしが考えるチーム編成のコツは、個人の特性と人間性を理解することと、チームのバランスを整える「いけばな型マネジメント」です。

皆さんは自分が一緒に働くスタッフのことを、人としてどこまで理解できているでしょうか。どんな性格でどんな業務が得意なのか、なにをきっかけにして動物医療に関わるようになったのか、どんなことに喜びを感じながら仕事に取り組んでいるのか、将来のビジョンはどのようなものか……。一般的には、面談などで仕事やキャリアについてヒアリングすることが多いと思います。

では、出身地はどこか。好きな食べ物はなにか。趣味や好きなタレントは?こうしたことまで把握できているでしょうか。一見すると仕事には関係ありませんし、コンプライアンスが厳しい昨今はプライベートなことまで聞くのは難しいかもしれません。しかしわたしは、本当に人を活かすためには「どんな人なのか」をしっかり理解することが欠かせないと思っています。もっと言うと、わたし自身も人間性をできるだけ開示して、お互いに理解し合うことです。

獣医師をはじめ、グループで働くすべてのスタッフは、それぞれが多様な個性を備えています。

チームを組む際には、個性の組み合わせ方次第で、想像を超える素晴らしい仕事をしてくれるチームになることもあれば、逆に個々が持っている力がうまく発揮されないチームになることもあります。だからこそ、チーム編成は難しくも面白くもあります。

チーム編成の人事については、経営に近いマネジメント層はわたしを含めた役員が中心になって行いますが、動物病院内で診療を行うチームについては、院長が中心となり編成プランを立てることもあります。

チーム編成に関わる人間は、日頃からスタッフとの対話を重ねて、その個性を深く知るように努め、様々な角度からバランスが取れたチームを探り続けています。

世代のバランス、性格のバランス、専門性や技術の習熟度のバランス、コミュニケーション能力のバランス、堅実さとチャレンジ精神のバランス……。ありとあらゆる要素に目を向けて、どのような組み合わせにしたらパフォーマンスを最大化できるのか、地道に見出していくのです。

それはあたかも、1本1本が異なる形状をした花や草木を、バランスよくきれいに飾りつけて、いけばなを生ける作業にも似た感じがします。それがわたしの考える「いけばな型マネジメント」です。

「人」が育つ組織 首都圏最大規模の動物病院グループが大切にするチームマネジメント
生田目 康道
株式会社JPR 代表取締役社長。獣医師企業家。
日本大学生物資源科学部獣医学科卒。大学卒業後、飲食ベンチャー企業、獣医学系出版社を経て、2003年に株式会社JPRを設立。神奈川県を中心に「近所のやさしい獣医さん」をコンセプトとしたプリモ動物病院グループを展開。地域に根ざした動物病院運営を行う。ペットとペットオーナーの生活の質(Quality of Animal Life = QAL)を向上させるというビジョンのもと、ペット業界に関わる事業共創を行う株式会社QAL startups、教育事業を展開する株式会社エデュワードプレス、動物病院向けプロダクトの開発・販売や経営支援サービスを行う株式会社QIXなど、グループ各社の経営にも関わる。
著書に『「獣医師企業家」と「プリモ動物病院」の挑戦 QAL経営 人と動物の幸せを創造する』(ダイヤモンド社)。

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