新潟の丸山自動車がM&Aで東京進出した理由とは
(画像=beeboys/stock.adobe.com)

(本記事は、丸山 勇一氏の著書『なぜ、この会社に人が集まるのか』=あさ出版、2022年7月12日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)

未来は東京からやってくる

現在、丸山自動車は車を通して人を幸せにするビジョンの実現に向けて一歩一歩進んでいるところです。

2020年には、東京都品川区にあるファースト東京株式会社をM&Aして子会社化しました。同社は都会型の自動車整備工場で、2021年には「車検のコバック品川店」としてリニューアルオープンさせています。

なぜ、この会社に人が集まるのか
(画像=『なぜ、この会社に人が集まるのか』より)

新店を出しただけだと思われるかもしれませんが、東京進出には、単なる規模の拡大にとどまらない狙いがあります。未来に向けた情報収集です。

新潟では、今もガソリン車がほぼ100%です。一方、東京ではテスラを1日数台見かけるレベルで電気自動車が普及し始めています。新潟には水素ステーションはありませんが、東京にはすでに数カ所ある。次世代車のインフラは、地方と東京で別世界かと思うくらいに開きがあります。

ただ、カーボンニュートラルの世界的潮流を受けて、いずれ新潟にも電気自動車や水素自動車の波がやってくるでしょう。

そのとき「ガソリン車しか整備したことがありません」と言って、お客様は笑顔になるでしょうか。

ガソリン車と次世代車は、外側が同じでも中身がまったく異なります。時代についていくためには、私たち自身のスキルや知識を絶えずアップデートしていく必要があります。それができなければ、人を笑顔にするどころか淘汰されていくだけです。

予想される変化は、脱炭素だけではありません。5年後には無人に近い自動運転車が公道を走っているかもしれないし、10年後には自動運転に合わせた交通システムが普及して、自家用車に乗るというライフスタイルが消えかけているかもしれません。あるいは、自動車のかわりに空飛ぶ自動車の時代がくることだってありえます。私が夢に描いた車のテーマパークが古くさく感じるくらいに、自動車をめぐる環境は変わっていくでしょう。

どのような未来がやってくるとしても、大切なのは変化に対応することです。おそらく東京は新潟の4〜5年先を行っています。東京で変化の兆しをキャッチできれば、その変化が新潟にやってくる前に準備を終えて、地域のみなさんを笑顔にできる。東京の店舗は、丸山自動車が未来に向けて進化するための最前線基地なのです。

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丸山 勇一
MARUYAMA GROUP 代表
株式会社丸山自動車代表取締役
新潟県燕市出身。父が1967年に創業した整備工場を引継ぎ、2012年より現職。年間27,000台という全国屈指の車検台数を誇り、新潟県No.1企業へと成長させる。他にも7つの事業に取り組む。392名いる社員の平均年齢は34歳で、入社3年以内の定着率93%。毎年学生の応募が殺到する超人気企業。また、健康経営に力を入れ、経済産業省「健康経営優良法人ホワイト500」に4年連続認定されている。

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