(本記事は、丸山 勇一氏の著書『なぜ、この会社に人が集まるのか』=あさ出版、2022年7月12日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)
経営計画書で「考え方」を揃える
環境整備で整頓するのは物だけではありません。仕事の考え方や進め方についても整頓を行い、みんなで同じ形に揃える必要があります。
そのためのツールとして利用しているのが手帳型の「経営計画書」です。
経営計画書には経営の目標や決算の数字、さまざまな方針、年間のスケジュールなどが記載されていて、毎年新しいものをつくって社員に配っています。
形を揃えるうえでとくに重要なのは、さまざまな方針です。たとえば「環境整備に関する方針」「クレームに関する方針」「販売に関する方針」というように、仕事の考え方や進め方についての方針が具体的に書かれています。いわば丸山自動車で働くためのルールブックです。
一例として、「電話に関する方針」のごく一部を紹介しましょう。
「電話が鳴ったら、明るい声であいさつをして店舗名と自分の名前を言う」
「電話が鳴ったら3コール以内に『笑顔』で電話を取る」
「電話に出る時は、メモを取り復唱する(店舗名、電話番号、名前、日時はきちんと確認する)。
電話は首に挟んで対応しない」電話対応一つとっても、ここまできちんとルールが決まっています。
ルールなんて窮屈だと思う人がいるかもしれません。
しかし、ルールが明文化されていない職場でも、「暗黙の了解」「常識」「不文律」といった目に見えない決まりは存在しています。目に見えない決まりは厄介です。人によっていうことが変わったり、同じ人でも言うことが変わったりします。
「前の店ではこう指導されたのに、別の店舗で同じことをしたら間違いだと言われた」
「奥さんと喧嘩でもしたのか、店長の機嫌が悪い。いつもと同じことをしているのに、なぜか怒られた」
ルールブックがない会社では、こうした混乱が日常的に起きています。一方、ルールが明文化されている会社では、どの店舗、どの上司でも同じルールのもとに指導されて、社員は安心して仕事を進められます。どちらのほうが働きやすいのか、議論の余地はないと思います。