【M&A大学】北海道共創パートナーズ 背戸川 源起さんにOBインタビュー

日本M&Aセンターが行うM&A大学。 その卒業生として最前線で活躍するOB・OGバンカーに気になる情報をインタビュー。

今回は北海道共創パートナーズ  M&A事業部 マネージャー  背戸川 源起さんにインタビューした。

M&A大学とは
日本M&Aセンターが協業する地域金融機関に向けて行う、研修・出向制度。M&A大学入学者(地銀からの出向者)はM&Aシニアエキスパート研修(JMAC)、評価・概要書研修などの座学と日本M&AセンターとのコンサルタントによるOJTなどを経て、自ら顧客への提案からM&Aの成約、契約の締結までを完結できるM&Aコンサルタントとなることを目指す。

まず、就職先として北洋銀行を選ばれた理由、また入行から現在までのご経歴について教えてください。

背戸川:学生時代は消防士を目指していたのですが、父が地元の信用金庫で働いており、将来について改めて考えた時に働く父の姿はかっこいいなと感じ、金融機関を受けてみようと思い、ご縁あって当行へ入行しました。
入行後は、札幌市内の菊水上町支店に着任、その後本部の資産運用推進部に所属し石山通支店に配属され投信や保険を中心に販売するというポジションを経験、石山通支店ではその後法人渉外を担当しました。次の小樽中央支店でも法人渉外を経験し、2021年4月より日本M&Aセンターへ出向しました。1年間の出向期間を経て2022年4月に現在の北海道共創パートナーズに着任しM&A業務に従事しております。

ご出向はご自身で希望を出されたのですか?

背戸川:はい、自ら希望しました。出向経験者の先輩からM&A業務の話を聞き以前から多少関心を持っていました。小樽中央支店で担当していた会社が譲渡を決断されて、御社(日本M&Aセンター)と弊社の当時の担当者にご対応いただきました。また、成約までの一連のフローに関与させてもらった経験が大きく影響しています。対象会社はコロナの影響を受け経営環境が急激に変化したことが背中を押すカタチでM&Aによる譲渡を決断されたのですが、約半年でお相手が見つかり成約となりました。成約式にも参加させていただき、社長の安堵した表情を見た時に、これほどの満足感を与えるソリューションを提供できるのかという驚きと感動があり、この業務を通じて顧客・地域に貢献していくような仕事を私自身もやっていきたいと強く感じ、出向の希望を出しました。

それは貴重な経験でしたね。

背戸川:そうですね。想像以上に早くお相手が出てきたので、当時はM&Aのこともあまりよくわかっていなかったこともあり、もっと良いお相手もいるのではないかと思ったこともありました。しかし、色々なディールに携わらせて頂いた今振り返ると、成約した譲受側企業が相手としてもタイミングとしてもベストであったと改めて感じます。コロナ禍で先行きが見えない中で譲渡企業の社長が1日でも早い成約を望まれていたので、良いお相手と成約でき本当に良かったと思いますし、同時にM&A業務は凄くやりがいのある仕事だと感じた経験でした。

【M&A大学】北海道共創パートナーズ 背戸川 源起さんにOBインタビュー

M&Aに対するポジティブなイメージをもってご出向いただいたわけですが、ご出向頂いた際の弊社の印象はいかがでしたか?

背戸川:初めて出社した日に、東京のど真ん中にある本社ビルの1階で担当コンサルタントの佐戸さんを待っていた時の緊張感は鮮明に覚えています。一人そわそわしていました(笑)事前に日本M&Aセンターの会社HPも見ていたのですが、実際にオフィスに入ると銀行とは働いている方々の雰囲気も異なり自信に満ち溢れた人が多いなというのが最初の印象です。
実際に業務を進める中では他部署の方々とも接する機会が多くありましたが、社員が1つの案件の成約を目指すという同じベクトルを向いている一体感は素晴らしいですし、強い組織だなと感じました。出向期間はその一員(社員)という意識を強く持って過ごしていましたし、実際にチームの一員として受け入れていただけていたことがとてもありがたかったです。

本文3枚目.jpg【M&A大学】北海道共創パートナーズ 背戸川 源起さんにOBインタビュー
(写真左 北海道共創パートナーズ 背戸川源起様  写真右 日本M&Aセンター 佐戸卓也)

出向期間に一番勉強になったこと、今の業務に活かせていると感じることがあれば教えてください。

背戸川:多くのディールに携わることができたのですが、特に出向期間の後半は自分自身が担当者として直接譲渡企業オーナーと面談したり、譲受側企業の担当者と交渉したりする機会も多く、ディールの進め方や難しさを感じられた経験が今も役立っています。
その他にも、毎月一回、前月の活動の振返りと今月の活動方針を出向者同士で発表・共有する機会があり、自分自身の活動を振り返り修正していくことが出来たことも良かったと感じます。当時担当していただいていた能登部長自らそのミーティングに入っていただき、出向者一人一人に対してM&Aコンサルタントとして活動していくうえでの具体的なアドバイスをくださったので、大変勉強になりました。

反対に、もっと出向期間に経験しておくべきだったと感じることがもしあれば教えてください。

背戸川:そうですね…出向期間はディールの経験とあわせて知識面の習得にも励み、社員のコンサルタントの方々向けの研修動画やコンテンツ等も全部視聴したのですが、やはり何度も実践して反復しないと身につかないものも多いなと感じます。例えば受託の際の話法一つをとっても、M&A専門会社の方と私たち銀行系のM&A会社の立場では同じことを言おうとしても多少表現は変わります。そういった視点を持ちながらどんどん実践し自分のものにしていくような経験がもっとできたかもしれないなとは感じます。

出向期間の中で、特に印象に残っているM&Aについて教えてください。

背戸川:2つあります。一つはソフトウェア会社の譲渡案件で、上場企業と成約した案件です。初めのうちは担当コンサルタントの方と一緒に動いていたのですが、後半は担当コンサルタントの方にサポートいただきながら、譲渡企業オーナーとの面談や対応も1人で進めた初めての案件でした。上場企業を相手にM&Aの仲介をする経験はなかなか出来ないと思いますので貴重な経験になりました。
もう一つはエネルギー系の会社の譲渡案件です。9月に受託となり、出向期間満了となる3月に成約した案件なのですが、4~5社の譲受け候補企業が手を挙げ意向表明をされた競合案件でした。これだけ競合が出てくる中で約半年でクローズまでもっていくスピード感等、学ぶことが多い案件でした。 本当に多くの案件に関与させていただき貴重な経験ができました。担当の方には感謝しています。

出向期間に親しくなった他行のご出向者も多くいらっしゃると思いますが、今も親交は続いていますか?

背戸川:はい、定期的に連絡を取らせてもらっております。北陸銀行の小澤良介さんとは出向時から仲が良く、現在は北海道内においてはライバル関係にありますが、個人的に仲良くさせていただき良い刺激を受けています。
また、出向期間中に親しくなった静岡銀行の村田駿さんが先日、北海道に遊びに来るということで連絡をくれて、北海道のおすすめをいくつか紹介したところ、その通りに観光し撮影した写真を送ってくれたという一件があり、なんだかとても嬉しかったですね。エリアも年齢も異なる他行の方々と親しくなれるような機会はなかなかないので、このご縁を今後も大切にしていきたいと思っています。

【M&A大学】北海道共創パートナーズ 背戸川 源起さんにOBインタビュー

それではここからは、現在の貴社におけるM&A業務の取り組みについてお聞かせください。
現在M&Aチームは何名が在籍されていらっしゃいますか?

背戸川:管理職が3名(プレイヤーも兼務)、プレイヤー8名の11名体制です。道内は広いので、プレイヤー8名で各エリアと札幌市内の一部支店を分担しており、私自身は道央エリアと札幌市内の一部支店を担当しています。私が担当する道央エリアはは札幌市内から電車で1時間程度のためまだ担当エリアとしては近い方ですが、道内でも飛行機でなければ移動が困難なエリアも多く、冬は雪の影響でどうしても活動量が落ちてしまうことが課題です。
また管理職の方々には、プレイヤーを兼務しながら、M&Aチームの進捗管理・全体の企画に関することやファンド運営管理、新しく導入した顧客管理システムの窓口を担当いただくなど各種サポートをいただいています。

出向される前に感じていたことと、帰任後に業務に取り組む上で感じるギャップや課題はありますか?

背戸川:そうですね、出向中はとにかくディール対応が出来るようになることが重要だと考えていましたが、顧客のニーズや細かな情報をトスアップしてくれるのは支店の皆さんになりますので、情報をあげてもらうために必要なことをより考えて動くようになりました。支店と当社(北海道共創パートナーズ)との距離もまだまだあると感じますので、小さなことですが、M&Aチームのメンバー紹介を行内のシステム上に発信し、特に若手行員の方々に身近な存在に感じてもらい相談しやすい環境を整える取り組みもしています。
また、顧客と接する際には、当然ながらM&Aありきではなく事業承継全体について話をする必要がありますので、事業承継の知識ももっと身に着けていかなければと感じます。M&Aチームには元々事業承継の専門チームに在籍をされていた方もおり、レベルが高い方々が多く、本当に良い環境の中で日々勉強させていただいています。道内では他のM&Aの専門会社とバッティングすることも多いですが、「M&Aしませんか?」という話だけではなく事業承継を含めた他のソリューションを含めて顧客の課題に対応できることが当行・当社の優位性に繋がっていると思いますので、自分自身もより専門性を高めていきたいと感じています。

北海道内の経営者の特徴やM&Aに取り組む上での課題等があれば教えてください。

背戸川:道内は歴史的に開拓民の地であるため、2代目社長が多く、外部の情報を取り入れることに積極的で新しい物好きな経営者の方が多い印象です。M&Aについても比較的前向きに捉えられており、自分で積極的に情報を集めている方も多いですね。そういった土地柄も影響しているのか、M&A業務に力を入れているM&Aの専門会社や金融機関・会計事務所が多いので、最後に選んでいただける存在になることが重要だと日々感じています。

弊社の担当者とは日々どのようにやり取りされていますか?
期待すること等があれば教えてください。

背戸川:担当の佐戸さんは弊社に逆出向もして頂いており、ほぼ毎日事務所に顔を出してくれますので、ちょっとした相談を含め毎日やり取りさせてもらっています。出向中から多くの時間を一緒に過ごしたので、良き理解者であり仲間だと勝手に思っています(笑)また私の後任として日本M&Aセンターへ現在2名が出向中で勉強させてもらっておりますので、社員と同様にチームの一員として扱ってもらい鍛えてもらいたいですね(笑)
当行をメインバンクとする顧客は約25,000社あり、まだまだアプローチ出来ていない顧客、悩みを抱えている経営者の方がたくさんいらっしゃると思いますので、当行・当社の顧客網と日本M&Aセンターのマッチング力を駆使して、一社でも多くの企業の成長に貢献するような仕事を一緒にしていきたいですね。

【M&A大学】北海道共創パートナーズ 背戸川 源起さんにOBインタビュー
(写真左 北海道共創パートナーズ 背戸川源起様  写真右 日本M&Aセンター 佐戸卓也)

貴重なお話をありがとうございました。
最後に、背戸川さんの今後の目標を教えてください。

背戸川:先ほどお話しました通り、自ら希望して出向に出て現在のポジションにも就かせていただきやりがいも感じていますので、出来るだけ長くこの業務に携わり専門性を高めていきたいです。支店の行員時代にM&Aを支援した会社の社長のように、お客さまの深い悩みに向き合い一緒に最良の解決策を見つけるような仕事に一件でも多く関わっていきたいです。