プレゼンの質疑応答で信頼されるために意識すべき5つのポイント
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(本記事は、広江 朋紀氏の著書『問いかけて心をつかむ 「聞く」プレゼンの技術 緊張をほぐす・共感を得る・行動してもらうために役立つスキル30』=翔泳社、2022年6月22日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)

質疑応答(Q&A)は5つのステップで信頼を築く

プレゼン内容と同じくらい準備して質疑応答(Q&A)に臨めば、相手と深くつながることができる。

問いかけて心をつかむ 「聞く」プレゼンの技術 緊張をほぐす・共感を得る・行動してもらうために役立つスキル30
(画像=『問いかけて心をつかむ 「聞く」プレゼンの技術 緊張をほぐす・共感を得る・行動してもらうために役立つスキル30』より)

Q&Aは相手への想像をふくらませる時間

プレゼン内容については十分な準備をするものの、Q&A はその場の対応で何とかなると準備せずに臨み、失敗する人を多く見受けます。

Q&Aを相手とのつながりを強化する時間にするには、プレゼン内容と同じくらいQ&A についても準備しなければなりません。相手にこのメッセージを伝えたら「この点に疑問が生じそうだ」「あのくだりは根拠を求められそうだ」「顔ぶれを見るとこの視点からの質問もありそう」など、想像をふくらませて臨む必要があります。

相手とつながるための質疑応答を進めるステップを紹介します。

①感謝を示す

質問されるということは、相手はあなたの話に興味を持った証です。相手がプレゼンに前向きに参加しているボーナスとして捉えてみれば、脳の防御反応が和らぎます。まずは、質問をすることでつながりを示してくれた相手に心からの感謝を伝えましょう。

②集中して聴く

質問は集中して聴きましょう。聴きながらついどのように回答しようかと考えてしまいますが、自分が答える内容の前に、「聴」という字の如く、相手に耳と目と心を傾けることが重要です。

③質問を要約して繰り返す

質問を繰り返すことで「あなたの質問を確かに受け取りました」ということを伝えられます。重要なのは、相手の言葉を使って繰り返すこと。言い換えは禁物です。話し手の解釈が入った言葉で言い換えてしまうと、自分の言葉を相手の都合のいいように捉えられたと感じられてしまうので注意が必要です。

④質問に答える

質問に答えるには、自分が聞かれたら嫌な質問に対して徹底的にシミュレーションしておくことが安心材料になります。

例えば、プレゼンのメッセージ(アイデア)に対して、以下の7つの観点で決裁者から鋭い突っ込みがあることを想定します。

①なぜそれをやるのか
「当社の理念やパーパスと紐づいているの?」
「既存事業とのシナジーは?」

②それは何か
「魅力を一言で言うと?」
「今までにない新しい価値はどこ?」

③誰が使うものか
「顧客のペルソナを語ってみて?」
「市場規模は? 誰が儲かるの?」

④実現する可能性はあるか
「技術的につくれるの?」
「納期や体制はどうなってる?」

⑤競争に勝てるか
「競合と比べてどう?」
「持続的に模倣されない点は?」

⑥本当にできるか
「根拠やエビデンスはある?」

⑦本気でできるのか
「個人的な想いがあるの?」

主に、決裁者が意思決定をするときに切り込んでくる想定質問です。問答集をつくっておけば、転ばぬ先の杖になります。

⑤回答を確認し、お礼や励ましを伝える

質問に回答したら、「あなたの質問に答えることはできましたか?」と確認しましょう。この確認は相手とつながるために必須です。確認がないと質問が完了したかどうか分からず沈黙が漂います。

確認によって9割以上の確率で相手が「ありがとうございます」と返してくれるので、それに対してお礼と今後の励ましを伝えて完了させていきます。

book
広江 朋紀(ひろえ・とものり)
組織・人事領域のエキスパートとして、採用、育成、キャリア支援、風土改革に約20年従事、上場企業中心に1万5,000時間を超える研修やワークショップ、プレゼンテーションの登壇実績。最近は、経営者やリーダー向けのプレゼンスキルアップ・コーチングも大好評。育休2回。3児の父。休日の楽しみは「キャンピングカーにカヤックを積み、地方の湖で子供たちとツーリングをすること」。

資格等
■ CRR Global 認定 組織と関係性のためのシステムコーチ(ORSCC)
■ 米国 CTI 認定 プロフェッショナル・コーアクティブ・コーチ(CPCC)
■ ハーバード大学 教育大学院 ロバート・キーガン教授 認定
Immunity to Change ® ファシリテーター

主要著書
『今日から使える ワークショップのアイデア帳』、『そのまま使える オンライン場づくりのアイデア帳』(ともに翔泳社)、『場をつくる』(明日香出版社)。その他、論文寄稿、複数の大学での特別授業、NewsPicks+d、日経M J 本誌、月刊人事マネジメントへの連載寄稿等多数。

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