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(本記事は、本田直之・松尾大の著書『人生を変えるサウナ術』KADOKAWAの中から一部を抜粋・編集しています)
「サウナ→水風呂→外気浴」でワンセット
僕らが「サウナに入る」というとき、もちろん狭義には「サウナ室に入る」ということを指すのだが、基本的には「サウナ室に入り、その後水風呂に入り、その後外気浴をする、というサイクルを何度か繰り返すこと」を指す。
つまり、サウナには、それに連なる水風呂と外気浴がセットになっているというのが、まずベースとなる考え方だ。
むしろ外気浴、すなわち休憩の時間を味わい尽くすためにサウナと水風呂があるといっても過言ではない。
フィンランドに行った際に「フィンランド人は寒い冬に外気浴を楽しむためにサウナに入り、冷たいシャワーまたは湖に入るのだ」という話を聞いて、「やはり外気浴がメインだったのだ」と、とても納得がいった。
従って、サウナに入ったのに水風呂に入らない、水風呂に入ったらさっさと帰ってしまうというのでは、なんのためにサウナに入るのかわからない。あまり時間がないときは、水風呂や外気浴をスキップするのではなく、「サウナ→水風呂→外気浴」のサイクルの回数を減らすのがおすすめだ。
サウナに入るとは、「サウナ→水風呂→外気浴のセットを最低1度は経験する」ということ。
そうと決まると、自ずと良いサウナとはどういうものかという答えも見えてくる。
まずは、サウナ、水風呂、外気浴のそれぞれの環境がほどよく整っていることだ。
いくらサウナが良くても水風呂がないとすっきりしにくい。逆にサウナや水風呂がやや平凡でも、静かで眺めの良い外気浴スペースがあれば高ポイントだ。
もちろんすべての要素が完璧というサウナは多くはないが、少しずつ水風呂や外気浴スペースに力を入れる温浴施設も増えている。
また、ちょっとサウナがドライであったり、水風呂がないサウナ施設において、いかに「ととのう」術を見出すかという探求も、僕らサウナーの醍醐味でもある。
それぞれの施設の特徴をとらえ、最大限サウナを楽しむための方法を模索する。
それはさながら、どんな食材でも美味しく調理してしまう天才料理人になったかのような試みであるのだ。
それから、サウナから水風呂、水風呂から外気浴への遷移が、スムーズにできることも重要だ。
サウナと水風呂が離れていたり、外気浴に適した場所がなかったり、あったとしても混んでいて座れる椅子がなかったりしては、せっかくの効果も半減してしまう。
最近はサウナが人気になってきたことにより、混んでいるサウナも増えてきてしまったけれど、空いている穴場のサウナや時間帯を見つけて、ゆったり落ち着けるサウナを見つけることができればベストだろう。
では、それぞれの場所で何分ぐらい過ごし、何セットやればいいのかというと、あえて「このように入ってください」とは指定せず、それぞれの人の好みや体調に合わせて、最も気持ちいいところで入ってほしいと思う。
「こうやって入らなければいけない」という観念に囚われ、無理してサウナに入ることが一番もったいなく、また危険なことでもあるからだ。
ただしご参考までに僕らの時間配分をお伝えすると、サウナ4:水風呂1:外気浴5くらいの割合だ。この時間配分からも、サウナのメインはやはり外気浴である、ということがおわかり頂けると思う。
では、サウナは何分間入ればいいのかというと、それはストレスを感じる一歩手前のところまでだ。
交感神経のはたらきが十分高まってからは、それ以上無理して入り続けても効果はなく、むしろ依存性が出るリスクも高まってしまう。
「苦しいな」「熱いな」「つらいな」とストレスを感じ始めたらさっさと出てしまった方が良い。
何分入るべきかきっちりさせたい人や、健康上の不安がある場合には、心拍数に従うのが良いだろう。サウナに入るとだいたい心拍数が平常時の2倍くらいにまであがる(論文「サウナ入浴法の検討」によれば、それまでの時間の平均は8〜9分程度であるという)ので、そうなったタイミングで水風呂に移動しよう。
サウナでの時間の過ごし方
ちなみにサウナ室内では上に行けば行くほど室温が高く、床に近い方が低い。
従って、まだサウナにあまり慣れていないという方は、下の方の段から入り始めるのが良いだろう。「まだサウナを出るほどではないけど、ちょっと苦しくなってきたな」と思ったら下段に座ることで熱を緩和することもできるし、時短したければ上段で一気に温まる、という使い方もできる。
また、サウナ室内の場所によっても温度は異なる。サウナストーブの近くと壁際は蒸気が対流するため体感温度が高くなり、逆に真ん中のあたりは少しだけマイルドな感じになる。慣れてくると、サーモグラフィのようにだいたいどのあたりがどのくらいの温度かがわかるようになってくるのだが、最初のうちは少しずつ移動しながら最も快適なポジションを探してみよう。
自分のペースを保つには、適度な水分補給も欠かせない。
汗をかいた分水分は失われるので、水分を摂らないまま無理してサウナに入っていると脱水症状になってしまうこともある。ペットボトルの持ち込みが可能な場合は持ち込んで水を飲みながら、そうでない場合は休憩のタイミングで、こまめに水分を摂ることを心がけよう。
サウナ室内のテレビにも少し注意が必要だ。
退屈しのぎにはもってこいなのだが「答えはCMの後で」などと言われると、熱くてもついつい我慢してその先まで観てしまったりする。しかしながら、サウナを「大事だけれど普段後回しにしがちなことを考える場」「外界の情報をシャットアウトする空間」ととらえると、テレビが雑念そのものになることもある。何か考え事に集中したいときやひとりになりたいときは、テレビのないサウナを選ぶと良いだろう。
はじめてのロウリュ
ロウリュのできるサウナはまだ多くはないのだが、一度はこのサウナの魂・ロウリュというものを経験してほしいと思う(都内にも何箇所かロウリュのできるサウナはあり、そのうちのいくつかは巻末のサウナリストにピックアップさせて頂いた)。
「ロウリュ」とは、ストーブで熱せられたサウナストーンに水をかけて蒸気を発生させることを指す。ロウリュを行うと一気に室内の湿度があがり、体感温度も高くなる。
やり方としては、ストーブの近くにバケツに入った水と柄杓が置いてあるので、そこから水をすくって石にかけるだけである。シンプルだ。
ただし、公共のサウナ施設で室内に他のお客さんがいる場合には、「ロウリュして良いですか?」と一言断るのが無難だろう。
また、注意点としては、一気に水をかけすぎると急激に湿度があがって熱く感じてしまうこと、ストーブの真上に顔を出していると、立ち上る蒸気でやけどをする危険性があることだ。かけたそばから水が蒸発していくサウナストーンは、いくら眺めていても飽きないが、うっかり覗き込まないように注意しよう。
ちなみにフィンランドでは、みんなロウリュに慣れていて上手いので、かなり遠くの方からバシャッと投げるように水をかける。 しかし投げてロウリュできるようになるにはかなりの修業が必要だし、そもそも蒸気を発生させることが目的なので、はじめのうちは静かに少しずつ水をかけてロウリュし、「じゅーっ」というあの心癒される音を楽しんでほしい。(提供:ZUU online)