日本植物油協会(日油協)は10月20日、大阪市で10月度会員集会を開いた。記者会見で、新妻一彦会長(昭和産業社長)は業界の課題を話した上で、「サステナブルな供給責務を果たす」ことを強調した。
新妻会長は1月~9月を振り返り、「感染第7波という非常に大きな波があったが、ゴールデンウイークに続いて、夏休みも3年ぶりに行動制限がなかった。ただ、外食については大人数での会食への制限は続いており、業務用を中心に厳しい状況が続いていると思われる。歴史的な価格を記録した原料相場はピークアウトしつつあるが、依然として高値水準で推移している。為替は年初に比べて3割強の円安が進み、各社の経営へのおもしとなっている。油脂業界ではこれまで数回にわたって価格改定を行ってきたが、キャッチアップに苦労している状況」とした。
そうした状況の中で、「消費者に安全で安心な商品を、安定的に供給することが、われわれの最大のミッションとなる。現状に相応した適正価格での販売の実現・取り組みを、粘り強く継続していくことが必要だ。命を守る植物油のサステナブルな供給責務を果たしていくことが、油脂業界の役割」と強調した。
続けて、「植物油の新たな価値を創出し、業界全体を活性化していく。特にオリーブ油に加えて、ごま油、こめ油といった健康系油脂が消費者に受け入れられた。新たな価値の創出が少しずつ成果として出ている」とした。
IOC(国際オリーブ協会)との会議については、「家庭用では、オリーブ油はキャノーラに匹敵する市場規模にまで拡大してきた。IOCと情報交換をしながら、オリーブ油の需要拡大に強めたい」と話した。
また、「植物油をめぐる内外の情勢は大きく変化し、食糧安定上の課題がさまざまある。安定的な原料の供給にどのような課題があるか、関係各国と十分論議して進める」とし、米国、カナダをはじめ、国際連携に積極的に取り組む。
会の運営については、「油脂業界は、家庭用を含めて市場が大きくなってきている。厳しい環境にあるが、活性化は可能だ。競争すべきところは競争し、協調すべきところは協調しながら、業界全体で油脂の価値を上げ、市場を拡大していきたい」と強調した。
その後、感染対策を徹底した上で、会員懇親会を3年ぶりに実施した。新妻会長のあいさつに続いて、久野貴久副会長(日清オイリオグループ社長)が乾杯の発声を行った。中締めは、佐藤達也副会長(J‐オイルミルズ社長)が行った。
〈大豆油糧日報2022年10月24日付〉