大豆ミートなどのプラントベースフードが数多く市場投入され、世界中で盛り上がりを見せている。
日本では、30~40代の女性または主婦をメインターゲットにして、プロモーションを展開しているように見られる。各プラントベースフードに関する調査では、認知度が向上、味や臭いについても高評価で、継続意向を示す人数も増加傾向にある。徐々に認知度が広がっているものの、今一つ盛り上がりにかける印象だ。それは、一番元気な世代へメッセージが届いていないことも要因と考えられる。
プラントベースフードブランド「2foods」を展開するTWO(東京都渋谷区)は、「Healthy junk(ヘルシージャンク)」というブランドステートメントを提唱し、同社が繰り出すプラントベースフードを、音楽やファッション、アートなど、さまざまなコンテンツやアクティビティを展開することで、その価値観を伝えようとしている。
今回始動した「Project2」では、音楽レーベルを設立し、HIPHOPアーティスト「T-STONE」とのコラボ楽曲「Yummy(But So Healthy)feat.T-STONE」の配信を通じて、心躍るようなコンテンツで、価値観を届けている。
東義和社長は、「日本と欧米では、プラントベースフードの捉え方が違う。エシカル消費が若い世代にまで認知されていて、環境問題にも関心が高い。それは、フードテックベンチャーに対して、若い世代が興味を寄せるアーティストやセレブリティの多くが出資を行い、プラントベースフードなどに理解を示すことがかっこいいことだと認識されているためだ。日本でも音楽やファッションなどのカルチャーを媒介として、もっと彼らの身近なところからアプローチしていかないと、一部の人にしか、思いが伝わらない。プラントベースフードをもっと拡大するために、弊社ではZ世代をターゲットにプロモーションを展開する。Z世代はエシカル消費にも感度が高いが、伝え方を工夫しないといけない。より彼らに受け入れてもらいやすい形態に翻訳する必要があると考えた。それが今回の『Project2』だ。世界的にヒップホップはポップミュージックになっているので、ここを媒介とすることで、エシカル消費を若年層に伝えていきたい。彼らは音楽を通してエシカルという概念に気付く。入口がこれまでと逆でもいい」という考えを示す。
〈HIPHOPアーティスト「T-STONE」を起用して自然な形でヘルシージャンクを届ける〉
東社長は、人を惹きつけ、熱狂させる力を持つ音楽やアートといったカルチャーは時代を象徴するものとして歩んできたと強調する。カルチャーが持つ人を熱狂させる力に「2foods」というブランドを重ね合わせ、単なるプロモーションの手段として留まることなくブランドとカルチャーの融合を築いていくことを宣言する。
今回コラボするHIPHOPアーティスト「T-STONE」は、ビルボード「TikTok週間チャート」で全ジャンル総合1位を飾った注目のアーティストだ。彼自身も小学校5年生から「1型糖尿病」を患っていて、インスリン療法を行うなど長く疾患と付き合ってきた。一人でも多くの人が世界中の食糧難や環境問題に目を向けて前向きにはたらきかけてくれることを思い楽曲を届ける。
「楽曲やミュージックビデオではあからさまにプラントベースフードをPRするというよりは、映像や曲の中に自然な形で、メッセージを挿入した。楽曲や映像がかっこよくて、歌詞に込めた意味に気付いてくれればいい。ヘルシーな物を頑張って食べても続かない。しかし、ジャンクフードを食べ続ければ体を壊す。対極的な要素を取り入れていかないとサステナブルにならない。心が動かされる『信じられない組み合わせ』や『大胆なアイディア』といった『ヘルシージャンク』の精神のもと、このプロジェクトを通して新たなスタンダードを世界に発信していく」と展望を語る。Z世代を皮切りに、これからもさまざまなカルチャーを媒介として、プラントベースフードやエシカル消費といった世界観を届けていく考えだ。
〈大豆油糧日報2022年10月5日付〉