家庭用冷食新商品数推移
(画像=家庭用冷食新商品数推移)

本紙「冷食日報」編集部が集計した家庭用冷凍食品主要メーカーが2022秋に発売した新商品(リニューアル品除く、期中発売・地域限定含む)の発売点数は20社・164品と、6年ぶりに160品を超えた2021年春の21社・163品を上回る高水準となった。

これにより、春季・秋季合わせた2022年年間の新商品数は320品となり、2021年に続き2年連続で年間320品以上となり、新商品の増加傾向が続いた。

2021年の春季以降、家庭用冷凍食品の新商品数が増加傾向にあるが、その背景となる要因はいくつか考えられる。1つにコロナ禍以降、家庭用冷凍食品市場が拡大する中で、ニーズもより多様化しており、メーカー各社がそれに対応した結果、新商品点数が増えた可能性がある。

もう1つ、2022年になって顕在化してきた要因として、原材料を始めとする各種コスト増への対応が新商品数の増加に繋がった可能性が挙げられる。2021年後半以降、冷凍食品に限らず、食品各カテゴリーでコスト高を吸収できず、値上げが相次いでいることはご存知の通りだ。

こうしたコスト高への対応の中で、前述のニーズの多様化への対応とも相まって、高付加価値型の商品が増えているように見受けられる一方、仕様変更・規格変更せざるを得なくなったため「新商品」として発売する例も出てきている。若干後ろ向きな理由ではあるが、現在も続くコスト増、円安の進行など考えればやむを得ない選択に違いないだろう。

家庭用冷凍食品市場は、値上げの影響はあるとしても引き続き比較的堅調な推移が予想される。各種コスト増は収束が見えない状況ではあるが、価格上昇に見合った価値ある新商品の増加が市場のさらなる成長につながることに期待したい。

〈メーカー別新商品数最多は日清食品冷凍の33品、主力パスタ刷新と新カテゴリー増が押し上げ〉
メーカー別で今秋の新商品の発売点数が最も多かったのは、33品を投入する日清食品冷凍だった。手元にデータのある2002年以降では、1シーズン(1年間を春季・秋季の2シーズンとする)の新商品数では2014年秋、マルハニチロの36品に次いで多い発売品数となった(3位は2012年秋、テーブルマークの27品)。

主要メーカー別直近12シーズンの新商品発売品目数の推移
(画像=主要メーカー別直近12シーズンの新商品発売品目数の推移)

内訳は麺類27品(うちパスタ14品、中華4品、うどん・そば9品)、米飯3品、スナック(お好み焼)3品。日清食品冷凍に限らず、冷凍パスタ大手メーカーではブランド刷新に合わせて「新商品」として発売するため、新商品数が増加する傾向があるが、今回日清食品冷凍では主力ブランド「スパ王プレミアム」を刷新して一挙12品を発売したことが押し上げた。また、ラーメン類で濃厚スープにこだわった新ブランド「日清ごくり。」を立ち上げたほか、有名ラーメン店のスープの味わいをオリジナルの炒飯メニューとしてアレンジした「麺屋の炒飯」シリーズ3品を発売したことなども新商品増に繋がった。

次いで発売点数が多かったのは、23品を投入する日清製粉ウェルナだった。内訳は調理品(パスタソース)2品、麺類18品(うちパスタ16品、中華2品)、スナック(チュロス等)3品。同社も大盛りタイプのパスタ「マ・マー 大盛りスパゲティ」を刷新し5品を新商品として発売したほか、主力の「マ・マー THE PASTA」に新シリーズ「贅沢野菜」を投入。また、短時間調理を打ち出した新ブランド「マ・マー レンジで3分スパゲティ」を投入するなど、パスタのバリエーションを強化している。そのことが新商品数の増加に繋がった。

新商品数が3番目に多かったのは、15品を投入するテーブルマークだった。内訳は調理品4品、麺類6品(うち中華4品、そば・うどん2品)、米飯2品、スナック(冷凍パン)3品。新たに冷凍具付ラーメン3品を発売したほか、短時間調理の食卓惣菜「速攻」シリーズ、冷凍パンの新シリーズ「ここCafe」を投入したことなどが新商品の増加に繋がった。

なお、春季・秋季を合計した年間の新商品数は日清食品冷凍、日清製粉ウェルナが42品ずつで並び首位で、2016年マルハニチロの41品以来、40品を超えた。

〈冷食日報2022年9月21日付〉