矢野経済研究所
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アンケート調査結果によると、女性若年層の約4割は自身のBMI値と体形認識に齟齬があり、そのうち「実際より肥満傾向と認識」が約9割を占める

~低体重の女性若年層には、健康のためにカロリーも意識した栄養摂取を心がけるように働きかける必要がある~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は消費者アンケート調査を実施し、AI(機械学習)による分析や多変量解析を用いて、消費者の健康意識と食品消費行動の関係などを明らかにした。

実際のBMI値と体形の認識状況

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女性若年層(20~34歳) BMI値別の「13食品群」・「嗜好品」喫食日数推定値

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1.調査結果概要

本調査では、全国の20~79歳の男女を対象に消費者アンケート調査を実施した。ここでは、回答者の身長と体重の回答から実際のBMI値を算出した。また、回答者自身の体形について、「肥満」の設問で「問題ない」「ややあてはまる」「あてはまる」の3つの選択肢から選んでもらうとともに、「痩せている」の設問でも同様に3つの選択肢から選んでもらい、回答を得た。

「BMI値と体形の認識が正しい人」にあてはまるのは、実際のBMI値が18.5未満の回答者で自身の体形について「痩せている」の設問に「ややあてはまる」または「あてはまる」と回答している人、BMI値が18.5以上25未満の回答者では、自身の体形について「痩せている」「肥満」それぞれの設問に対していずれも「問題ない」と回答している人、BMI値が25以上の回答者は、自身の体形について「肥満」の設問に「ややあてはまる」または「あてはまる」と回答している人とした。回答者全体(n=2,137)のうち、「BMI値と体形の認識が正しい人」の比率は68.2%(n=1,458)で、男女共に年齢層が高くなるにつれてBMI値を正しく認識できている割合が高くなる傾向が確認できた。
一方で「BMI値と体形の認識が正しくない人」(n=679)のうち、「実際より肥満傾向と認識」にあてはまるのは、実際のBMI値が18.5未満の回答者で自身の体形について「痩せている」の設問に「問題ない」、または「肥満」の設問に「ややあてはまる」「あてはまる」と回答した人、あるいはBMI値が18.5以上25未満で自身の体形について「肥満」の設問に「ややあてはまる」「あてはまる」と回答した人であり、69.7%(n=473)を占めた。
性別年齢別にみると、女性若年層(20~34歳、n=262)は「BMI値と体形の認識が正しい人」の比率が59.2%(n=155)と最も低く、40.8%(n=107)の人が実際のBMI値と体形の認識に齟齬がある。なお、「実際より肥満傾向と認識」が90.7%(n=97)を占め、他の性別・年齢層に比べても最も高い結果となった。厚生労働省は健康づくり計画「健康日本21(第2次)」において、健康などに影響が出やすいやせ形の若年女性を減らす目標を設定しているが、本アンケート調査から、先ずは自身の体形が正しく認識される必要があると考察する。

2.注目トピック

低体重の女性若年層には健康のためにカロリーも意識した栄養摂取を心がけるように働きかける必要がある

本調査では、肉類や魚介類、緑黄色野菜などの「13食品群」の1週間あたりの喫食日数を「あまり食べない(週0~1日)」、「ときどき食べる(週2~4日)」、「ほぼ毎日食べる(週5日以上)」の3つの選択肢から選ぶ設問と、酒類や和・洋菓子、スナック菓子などの「嗜好品」の1週間あたりの喫食日数を、「ほとんど口にしない(週に0回)」、「ときどき口にする(週に1~4回程度)」、「よく口にする(週5回以上)」の3つの選択肢から選ぶ設問を設けた。

ここでは、回答者自身のBMI値を説明変数、「13食品群」と「嗜好品」の1週間あたりの喫食日数の調査結果を目的変数として、機械学習(アルゴリズムはディープラーニングを使用)を実施した。機械学習させた結果に、任意の5つのBMI値[17(低体重)、18.5(低体重と普通体重の境)、22(普通体重)、25(普通体重と肥満1度の境)、30(肥満1度と2度の境)]を設定することで、各BMI値の人の平均的な「13食品群」と「嗜好品」の1週間あたりの喫食日数を推定した。

なお、BMI値22(普通体重)の人の「13食品群」と「嗜好品」の1週間あたりの喫食日数はバランス良く適量が保たれていると仮定し、BMI値17(低体重)やBMI値30(肥満1度と2度の境)の人の喫食日数との差を算出してみた。

女性若年層(20~34歳)の「13食品群」喫食日数をみると、BMI値17(低体重)の人はBMI値22(普通体重)の人よりも「大豆・大豆製品」「海藻類」「菌類・きのこ類」などを多く食べているという結果になった。また、「嗜好品」喫食日数ではBMI値が低い人と高い人で大きな差を確認できないが、「ビール」はBMI値が低い人ほど1週間あたりの飲酒日数が多い結果となった。
本調査では食事量については言及できないものの、BMI値が17.0の低体重である女性若年層は、1週間あたりに喫食している日数が「海藻類」や「菌類・きのこ類」、「緑黄色野菜」、「淡色野菜」など低カロリーな食品群で、BMI値が22.0の普通体重である女性若年層に比べて多い傾向が確認できる。低体重の女性若年層には、健康のためにカロリーも意識した栄養摂取を心がけるように働きかける必要があると考察する。

調査要綱

1.調査期間: 2022年6月
2.調査対象: 全国の20歳から79歳までの男女2,137人
3.調査方法: インターネットモニターによる消費者アンケート調査
<本調査について>
本調査では、全国の20~79歳の男女を対象にインターネット消費者アンケート調査を実施した。健康状態、13食品群や健康効果を期待して良く食べる食品、健康効果が謳われる食品、嗜好品などの喫食状況、食料品の購入場所、よく利用するSNS、良く見るテレビ番組、健康と食品に関する情報収集、運動状況などを調査し、2,137人の回答を得た。
なお調査結果は、男性若年層(20歳~34歳、n=237)、男性中年層(35歳~49歳、n=283)、男性ポストシニア層(50歳~64歳、n=267)、男性シニア層(65歳~79歳、n=282)、女性若年層(20歳~34歳、n=262)、女性中年層(35歳~49歳、n=257)、女性ポストシニア層(50歳~64歳、n=280)、女性シニア層(65歳~79歳、n=269)の男女・年齢別の8区分に分類した。

※BMI(Body Mass Index)は、体重(kg)を身長(m)の二乗で割って算出した。 ※実際のBMI値と体形の認識状況の分析に用いた、BMI値18.5未満、18.5以上25未満、25以上の区分は、一般財団法人日本肥満学会が定める「肥満度分類」判定を参考とした。 ※本調査の「13食品群」は、地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターが開発した食品摂取の多様性スコアを構成する10の食品群の「魚、油、肉、牛乳・乳製品、緑黄色野菜、海藻、芋、卵、大豆製品、果物」に、本調査で3つの食品群の「淡色野菜、菌類・きのこ、穀類」を追加した、合計13食品群である。
<市場に含まれる商品・サービス>
全国の20歳から79歳までの男女2,137人

出典資料について

資料名健康意識と食品消費行動のAI分析 ~ディープラーニングによる需要予測・マーケティング戦略の最適化~
発刊日2022年08月22日
体裁A4 734ページ
価格(税込)385,000円 (本体価格 350,000円)

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