9月7日にくら寿司が価格改定を発表したことで、主要回転寿司チェーン4社の価格戦略の方針が出そろった。
1皿税抜100円を維持するのは、「はま寿司」「かっぱ寿司」のみとなる。これまでに発表している各社の動向を見ていく。
〈スシロー 1皿10~30円値上げ/10月から〉
スシローは10月1日から値上げし、1皿税抜100円の商品はなくなる。税込価格で、現行価格110円の皿は新価格120円、165円は180円、330円は360円に変更する。なお、この価格は「郊外型」に区分される店舗に限る。準都市型・都市型の価格改定詳細は、9月初旬に発表を予定している。
〈くら寿司 値上げ&値下げ/10月から〉
くら寿司は10月1日から価格改定を行い、1皿税抜100円の商品はなくなる。現行価格で税込110円の皿は115円に値上げする一方、220円の皿は165円に値下げする。約2週間ごとに開催するフェアでは、250円や300円の商品も展開予定だという。
〈はま寿司 高価格商品を値上げ/5月〉
はま寿司は5月に値上げを実施。その際、1皿税抜100円と税抜150円の商品は価格を据え置いた。一方で、高価格帯である税込308円の商品は、税込319円に変更した。なお、「平日寿司一皿90円キャンペーン」は6月に終了している。
〈かっぱ寿司 「1皿税抜100円」に30商品を追加/9月から〉
かっぱ寿司は9月14日から、1皿税抜100円の商品を拡充する。1皿110円(以下税込)の商品に30種類を追加することで、110円商品は合計84品(西日本エリアでは83商品)になるという。既存商品の価格改定については、今のところ発表していない。
食品産業や外食産業では2022年、ロシアのウクライナ侵攻を要因とした仕入価格の急激な上昇、エネルギー費・物流費・包材費の高騰、円安の影響などにより、厳しいコスト環境に置かれている。
また、世界での日本食ブームなどにより水産物の需要は増えており、ある寿司チェーンの担当者は、「円安やインフレなどの要因から、日本企業が海外市場で買い負けるケースが増えてきている」と話す。
少し前の回転寿司では当たり前だった「1皿税抜き100円」が近い将来、完全に過去のものとなってしまう可能性も、現実的になってきているのではないだろうか。