日本豆乳協会・藤村公苗会長
(画像=日本豆乳協会・藤村公苗会長)

〈他の植物性乳参入は市場活性化に寄与、豆乳はその柱であり続ける〉
日本豆乳協会は7月26日、2022年度活動方針に関する記者会見を、都内会場とオンラインで開催した。

冒頭、藤村公苗会長(キッコーマンソイフーズ社長)が、2021年度の豆乳市場をふり返り、「2021年度生産量は約42万4,000klと、13年ぶりに前年実績を下回った。2020年にコロナ禍が始まり、夏場にかけて巣ごもり需要が大きく、その後、巣ごもりがひと段落した中で、販促や店頭活動、商談に制約があり、またネット関係が好調となるなど買い物回数が減少した。そのような中で2021年度は前年を割るも、上期と下期では状況が異なった。上期は厳しい状況だったが、下期は9月に豆乳の効果効能がメディア取り上げられ、成長軌道に乗った。豆乳の健康価値が再認識され、関心が高いことも確認できた。市場の可能性に期待感が持てる状況だ」と説明した。

豆乳市場は2009年から伸長を続け倍に成長した。藤村会長は、「ただ飲むだけでなくコーヒーや紅茶で割ったり、動物性乳の替わりに料理に使う需要が広まってきている。調製豆乳が中心だが、近年は無調整が非常に伸びている。各メーカーの活動の努力、品質改善の賜物」だと讃えた。

加えて、「アーモンドなどを原料とした他の植物性乳は、輸入品を含めて店頭でかなり見かけるようになった。食文化が由来していると思うが、米国ではアーモンドを中心に豆乳を逆転し、ヨーロッパではオーツを中心に豆乳が逆転されている。一方、国内は豆乳の親しみが食文化として大きく、(植物性乳の中で)豆乳は大きな柱であり、それは変わらないと確信している。他の植物性飲料の参入は肯定的に捉えており、動物性と比べ植物性乳は規模が小さく、選択肢が増え啓発活動を行うことで、植物性乳市場の活性化に寄与するのではないか」と、植物性乳の盛り上がりにも期待を示した。

コロナ禍に加えロシア・ウクライナ情勢など外的要因によって、とりわけ今年に入り、原料調達や為替の問題が大きいと懸念を示し、「豆乳を含め食品メーカーが価格改定を行った。さらに、為替やコロナ第7波など不透明な中、消費者は価格に敏感なところがある」と、市場を取り巻く外的要因を懸念した上で、中期的に若年層含めた啓発活動を行い、新規ユーザーを増やす活動に注力する考えを示した。

続いて、加藤一郎副会長(マルサンアイ取締役)は、「飲用の消費喚起はもとより、業務用、外食、加工食品への原料供給など販売チャネルの拡大、ヨーグルトやチーズなど豆乳派生商品といった『食べる』豆乳としての用途拡大も進めていきたい」と話した。

〈「いつでも、どこでも豆乳生活」テーマに普及活動、若年層に向けた施策を推進〉
杉谷智博事務局長は、直近2022年4~6月期の豆乳類生産量(速報値)を報告し、前年比0.5%減の10万6,920klと、ほぼ前年並だったとした。1~6月累計では、前年をわずかに上回った。

2021年度総括では、「豆乳レシピ甲子園」に1,500人を超える応募があったほか、「豆乳資格検定」では累計1,000人を超える豆乳マイスターを輩出し、学生に豆乳の正しい知識を啓発する「豆乳食育移動教室」は5校で実施したことを報告。

また、体育関連イベントを行う高等学校に豆乳サンプリングなど行う「豆乳×スポーツ応援キャンペーン」では、1万件以上のアンケート回収があり、それによれば、豆乳を飲んだことがない・ほとんど飲まない割合は約6割も、たん白質の重要性などを説明した上で、摂取意向は約75%となり、「若年層に向けた活動を展開することで、市場は更に伸びていくのではないか」との見方を示した。

2022年度は、前年に続き「いつでも、どこでも豆乳生活」をテーマに、豆乳普及のための活動を展開し、「第9回豆乳レシピ甲子園」(6月10日から応募受付中)、「第10回豆乳資格検定」(12月実施予定)のほか、「豆乳食育移動教室」は過去最高の7校で実施する。「スポーツ豆乳キャンペーン」も開催する。

〈大豆油糧日報2022年7月28日付〉