現代アートギャラリー「NANZUKA」がキュレーションを務める、スペイン人アーティスト、ハビア・カジェハの展覧会「MR.GÜNTER, THE CAT SHOW」(ミスター・ギュンター 、ザ・キャット・ショー)がPARCO MUSEUM TOKYO(渋谷)でスタートした。
![中央 Javier Calleja《Thinking Boy》(2019)](https://cdn.the-owner.jp/1024/691/MEwKeYzuoTBQFkmvqNqeAygBVzIxGjxr/b8bd6a19-48d4-4c8c-8856-a0f3d8460286.jpg)
ハビア・カジェハ(Javier Calleja)は1971年スペイン・マラガ生まれ。日常のさまざまな出来事に工夫を凝らし、驚きとユーモアを与える作品を創り出している。今回の展覧会は、カジェハとカジェハのパートナーであるアリシア・マルモルの愛猫「MR.GÜNTER(ギュンター)」が主人公だ。ギュンターが自由に会場を歩き回り、日本未発表の大型の木彫立体作品や新作のペンティング、ドローイングなどを案内してくれるようなインスタレーションとして会場が構成されている。
![Javier Calleja《MR.GÜNTER》(2022)](https://cdn.the-owner.jp/1024/683/KcobqdRQXKYHrQksYhwoQEtbGBCeQFhQ/90784d98-9f96-4bd4-8c3c-d0fa3b661ddd.jpg)
コミックの要素が反映された遊び心のある作品が展示空間を華やかに飾る。大きな目をしてかわいらしい無邪気な顔でこちらに語りかける人物と、そんな人物に反するかのような「YOU HAVE NO CHOICE」や「NO ART HERE」などといった皮肉めいたメッセージが添えられている。シュルレアリスムの巨匠ルネ・マグリットや奈良美智などの影響を受けているカジェハは、その手法を参考にしながら鑑賞者を作品に引き込み、作品と対話をさせるようにトリックを仕掛けている。
![Javier Calleja《You have no choice》(2018)](https://cdn.the-owner.jp/1024/683/TRwGAvMlqrxWjtcPPCFmpTCVLVAWRJoO/2f60ddf3-8ecc-47af-a65b-0d0a5cbe828a.jpg)
![Javier Calleja《No art here》(2019) / 奥《No art here》(2020)](https://cdn.the-owner.jp/1024/683/HpbmiQwAHFydWXSjsXLKsnyoTjEwMHty/3839d57f-4206-49f4-91d0-fc5e8afcc8f0.jpg)
![Javier Calleja《No art here》(2019) / 奥《No art here》(2020)](https://cdn.the-owner.jp/1024/683/IhifghDbyYVXDRXbgOAfRRseKJLESenf/b0f1666e-e893-43ee-ab9d-b3b105e7c8bf.jpg)
作品を近くで見ると、キャンバスにのせられたアクリル絵の具が非常に軽く、なめらかな質感であることが分かる。人物の輪郭線は淡くぼやけていて、まるで色鉛筆で優しく描いたかのような印象を受ける。多くの子どもにとって、初めて触れる画材が色鉛筆やクレヨンであるように、どこか子ども時代を想い出させるような表現だ。
![Javier Calleja《Just hear me out》(2022)](https://cdn.the-owner.jp/1024/683/HdlZBmXgqifdmriXeAuJopgNyVqlsNMO/d747f140-3a7d-4eb0-b773-0f27df8cacb8.jpg)
![Javier Calleja《There’s nothing like you》(2022)](https://cdn.the-owner.jp/1024/683/WEZjikhkHWhcRDtkAMkVJgdxlkFunGHc/aaa50393-3215-4476-903c-964a52d25ce0.jpg)
そして一際目を引く作品が、入り口からすぐの空間にあるインスタレーション。青い目をした少年が手に色鉛筆を持ち、ビーチサンダルは片方脱げ、スケッチブックの前に立っている。背後にはくしゃくしゃに丸められた紙、壁にランダムに貼られたドローイングが並び、色鉛筆が転がる。子どもが絵を描いて遊んでいる日常のワンシーンがありありと浮かぶ作品だ。また、作品の構想段階のドローイングもあわせて展示されている。カジェハの頭の中を覗けるようなラフなスケッチをゆっくり眺めたい。
![Javier Calleja《Do no Touch》(2018)](https://cdn.the-owner.jp/600/400/ZvLKuQlEZstuKLfKcQctgiHlFCvRogKa/94680c90-d473-412e-9ff7-0d5ea9e0a868.png)
![Javier Calleja《Do no Touch》(2018)](https://cdn.the-owner.jp/1024/683/HisdKikntXOtOLHSWTWBbtHwTdkktlbK/6e222f4e-6f27-43f8-9ae3-0e755de48ac7.jpg)
![Javier Calleja, MR.GÜNTER, THE CAT SHOW, PARCO MUSEUM TOKYO,Tokyo, 2022](https://cdn.the-owner.jp/1024/683/UbSSBCzjyBUqHnuxLqKeyXBAtCsXIvMF/d796e1ae-0928-4ffd-a7d6-a11a5c0ef70c.jpg)
気になるのは会場奥にある、なにやら真っ暗な空間。ギュンターの足跡を追ってみると、グレー一色の少年と「DO NOT TOUCH」と描かれたキャンバス、そしてギュンターの姿が現れる。
![Javier Calleja, MR.GÜNTER, THE CAT SHOW, PARCO MUSEUM TOKYO,Tokyo, 2022](https://cdn.the-owner.jp/1024/683/FsOpxsPCtjQyKjKJnQdXIfdEzHlSEXXc/5a296438-c8a2-4037-afb7-6dfa2a2af925.jpg)
会場内からその黒い空間を見ている分には何も見えないが、その空間に足を入れた途端にカジェハのキャラクター達が目に映り、鑑賞者を驚かせる。これも日常の些細な出来事に驚きを与えてくれるカジェハのマジックだ。
![Javier Calleja《Do not Touch》(2018) / 右《MR.GÜNTER》(2021)](https://cdn.the-owner.jp/1024/683/LDdWSnMwnLiewpXblGvfYuDVkqCcCpEP/97d92e69-dfca-4574-96c5-772a3517f560.jpg)
自由でエッジが効いていて、見ていて楽しく、ノスタルジーも感じさせてくれるのがハビア・カジェハの魅力だ。今回の展覧会では、渋谷PARCOの1F(公園通り側)でギュンターのパブリックアートが出迎えてくれるのも見どころ。カジェハの作品を存分に楽しめる展覧会「MR.GÜNTER, THE CAT SHOW」へ、是非足を運んでみてほしい。
![Javier Calleja《MR.GÜNTER》(2022)](https://cdn.the-owner.jp/1024/683/qUCDqIjZWXaUPLhBJjVVWaPYgEEDTFqf/e9f19af6-e548-464b-a5d5-3bfc89ddbf73.jpg)
【Information】
ハビア・カジェハ「MR.GÜNTER, THE CAT SHOW」
![ハビア・カジェハPR](https://cdn.the-owner.jp/819/1024/pdxVKiictoRXasOAdHZKZKoRwHhNWmHJ/87baf0bc-58cc-45fc-b08f-2cce450edbd3.jpg)
期間:2022年6月25日(土)〜7月18日(月祝)11:00-20:00
※入場は閉場の30分前まで、最終日は18時閉場
※営業日時は感染症拡大防止の観点から変更となる場合あり
会場:PARCO MUSEUM TOKYO(渋谷PARCO 4F 東京都渋谷区宇田川町15-1)
入場料:一般 800円(税込)、小学生以下無料
渋谷PARCO公式サイト【https://shibuya.parco.jp/】
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文・写真:千葉ナツミ