注目のオークション情報から、​​NFTのトピックまで。先週1週間のアートトピックを振り返ります。(1ドル=135円, 1ポンド165円で換算)

目次

  1. オークション
  2. NFT
  3. アートフェア
  4. 海外の展覧会
  5. 国内の展覧会

オークション

2022年6月14日のフォーラムオークション「Only Banksy」で落札額4位にランクインしたバンクシーの《Pulp Fiction》
(画像=2022年6月14日のフォーラムオークション「Only Banksy」で落札額4位にランクインしたバンクシーの《Pulp Fiction》)

画像出典:https://www.forumauctions.co.uk/

▍バンクシーのプリント作品のみのオークション、フォーラムオークション「Only Banksy」開催 2022年6月14日、ロンドンにてバンクシーのプリント作品のみを集めたフォーラムオークション「Only Banksy」が開催された。《Very Little Helps》、《Pulp Fiction》と、ANDARTで取り扱う作品もTOP5にランクイン。1位は《Girl with Balloon》で、サイン無しのプリントながら£117,000(約1,900万円)での落札。バンクシー作品の中でも人気のあるモチーフであることがうかがえる。

▍アメリカ人アーティストが上位独占、フィリップスオークション「Evening & Day Editions」 2022年6月14〜15日、ロンドンにて、フィリップスオークション「Evening & Day Editions」が開催。近現代のアーティストを中心に、平面作品や彫刻作品などのエディション作品303点が出品された。上位をアレックス・カッツ、アンディ・ウォーホル、キース・へリングら、アメリカ人アーティストたちが独占している。アンディ・ウォーホルがエリザベス女王2世を描いた《Queen Elizabeth II of the United Kingdom, from Reigning Queens (F. & S. 336)》は、予想落札価格の倍以上の£352,800(約5,800万円)となり、勢いを見せた。

▍約60年間未公開だったフランシス・ベーコンによるルシアン・フロイトの肖像画がオークションへ。新記録の可能性 20世紀を代表する英国人アーティスト、フランシス・ベーコンがもう一人の代表的な英国のアーティスト ルシアン・フロイトを描いた肖像画が、この夏のロンドンのオークションに出品される。《Study for Portrait of Lucian Freud》は、60年近く公開されることなく、無名の存在となっていた作品。3,500万ポンド(約58億円)を超える見積もりとなっている。ベーコンとフロイトは、1964年から1971年の間非常に親密に過ごしていたが、フロイトが批評家として認められるようになる直前の1970年代に仲違いし、ほとんど言葉を交わさなくなった。本作は最も親密な時期に描かれた作品だ。(artnet news)

NFT

▍ビル・ゲイツがNFTを非難。BeepleもSNSで反応 2022年6月14日、ビル・ゲイツはTechCrunchの講演で、NFTについて「100%非常に馬鹿げた理論に基づいている」と意見を述べた。彼は、業界全体を「本質的に税金を回避するための精巧な方法」と説明。有名なNFT作品「Bored Ape Yacht Club」については「高価な猿のデジタル画像が世界を大きく変えることは確かですね」と笑いながら述べた。NFTブームのきっかけとなったアーティストのBeepleは、この講演に関するCNNの記事のスクリーンショットを、多数の「疑問」の絵文字と共にツイート。NFT界隈ではゲイツを揶揄する声も聞かれている。(ARTnews)

アートフェア

アートバーゼル2022の「ハウザー&ワース」ブースの様子。中央はルイーズ・ブルジョワの彫刻作品≪Spider 1996≫
(画像=アートバーゼル2022の「ハウザー&ワース」ブースの様子。中央はルイーズ・ブルジョワの彫刻作品≪Spider 1996≫)

画像出典:https://news.artnet.com/

▍アートバーゼルが3年ぶりに通常通りの開催。コロナ禍以前の活況が戻る スイスで開催される世界最大級の現代アートフェア「アートバーゼル」が2022年6月16日から19日まで開催された。昨年まではCovid-19の影響があったため、例年通りの夏シーズンに開催されるのは3年ぶりとなった。プライベートジェット機がバーゼルの空域を埋め尽くし、会場に群衆が押し寄せるなど、コロナ禍以前の活況が戻った。一方、現在の経済情勢を考え、堅実な投資先を求めて高額作品が買い求められる様子も報じられている。(artnet news)

▍再発見されたリヒターのドローイングがアート・バーゼルに登場 「アート・バーゼル」で、最近発見され、初公開された1986年のゲルハルト・リヒターの21枚のスケッチが販売された。これらのドローイングは、リヒターが同年に制作した巨大な絵画「SDI」の準備段階での習作であり、「現存する唯一の抽象絵画のための習作」と考えられている。価格は65万ドル(約8,800万円)。リヒターは絵画の制作過程をあまり明らかにしてこなかったが、本習作からは「絵画と格闘しながら制作する」過程の一部がうかがえるという。同ギャラリーによると、リヒターのドローイングの市場は「ゆっくりと発展」しており、リヒターの作品価値は2021年には全体で27%上昇。2000年以降は平均で13倍になっている。(THE ART NEWSPAPER)

▍アート・バーゼルでルイーズ・ブルジョワの蜘蛛の彫刻が4,000万ドルで売却。作家として最高額 「アート・バーゼル」において、メガギャラリーの「ハウザー&ワース」がルイーズ・ブルジョワの《Spider 1996》を4,000万ドル(約54億円)で売却した。同作家の作品としては最高額。今回の「アート・バーゼル」の中でも最も高価な作品のひとつとなった。女性アーティストの作品は、男性アーティストの作品に比べて価格が低く設定されることが多いことからも、今回の高額売却は大きな意味を持つ。女性の作品として価格が明確となっているものとしては、2014年にサザビーズ・オークションで落札されたジョージア・オキーフの《Jimson Weed / White Flower No.1》の4,400万ドル (約59億円) に次ぐものとなる。(ARTnews)

海外の展覧会

「ドクメンタ15」のオープニング記者会見でパフォーマンスをするアート・コレクティブ「ルアンルパ」のメンバー
(画像=「ドクメンタ15」のオープニング記者会見でパフォーマンスをするアート・コレクティブ「ルアンルパ」のメンバー)

画像出典:https://news.artnet.com/

▍「ドクメンタ15」が開幕。史上最多の1,500人のアーティストが参加 ドイツのカッセルで5年に一度行われる現代美術の大型グループ展「ドクメンタ」が2022年6月18日に開幕した。今回の芸術監督はインドネシアのアート・コレクティブ「ルアンルパ」で、彼らが招聘した14のコアメンバーが約50のアート・コレクティブとともに活動し、それぞれのコレクティブがさらにアーティストを招聘するという斬新なスキームで開催される。このため、1,500人を超えるアーティストが展覧会に参加し、史上最多の参加人数となっている。(artnet news)

国内の展覧会

「ゲルハルト・リヒター展」の展示風景:《8枚のガラス》/ ゲルハルト・リヒター(2012) (ワコウ・ワークス・オブ・アート蔵 © Gerhard Richter 2022 (07062022))  画
(画像=「ゲルハルト・リヒター展」の展示風景:《8枚のガラス》/ ゲルハルト・リヒター(2012) (ワコウ・ワークス・オブ・アート蔵 © Gerhard Richter 2022 (07062022)) 画)

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▍日本では16年ぶり。ゲルハルト・リヒターの大個展が開幕 2022年6月7日より、東京の国立近代美術館で「ゲルハルト・リヒター展」が開幕した。初期のフォト・ペインティングからカラーチャート、アブストラクト・ペインティングなど、リヒターの画業をテーマでたどれるほか、ホロコーストをテーマにしたリヒター近年の最重要作品《ビルケナウ》が日本で初公開される。10月2日まで。ANDARTでは、内覧会の様子をレポートしている。(ゲルハルト・リヒター展)

▍名和晃平の最新作を公開「名和晃平 生成する表皮」展が青森でスタート 青森県十和田市の「十和田市現代美術館」で名和晃平の個展「生成する表皮」が2022年6月18日より開幕した。素材の探求を通じて彫刻の概念を拡張してきた名和の活動の変遷を、大学院生時代のドローイングシリーズ「Esquisse」と代表作の「PixCell」、そして新作「White Code」を含む多様な作品シリーズから紹介する。なお、10月1日からは(仮称)地域交流センターと2会場に拡張して展開される。(十和田市現代美術館)

▍山口歴が設立した「GOLDWOOD ARTWORKS」のアートショーをビームスT 原宿で開催 アーティスト山口歴が2019年に米国ニューヨークにて設立した「GOLDWOOD ARTWORKS」のアートショーが、2022年6月17日より「ビームスT 原宿」で開幕した。今回のアートショーでは、山口歴をはじめ様々なかたちで山口歴と密接な繋がりを持つアーティスト(中西伶、irie、サトウリホミ、中 Kush)も参加。アートの展示・販売に加え、アートワークを落とし込んだウエアも販売する。(BEAMS)

▍国内外22組のアーティストがコロナ禍で発した声を届けるエキシビション「VOICE – nero 10th anniversary」に五木田智央らが参加 展覧会「VOICE – nero 10th anniversary」 が2022年6月17日より「伊勢丹新宿店 本館2階 イセタン ザ・スペース」でスタートした。2020年に創刊10周年を迎えたカルチャーブック「nero」によるキュレーションのもと、国内外の多種多様な世代・キャリアのアーティストによる作品が一堂に会する。五⽊⽥智央、TIDE、ウィスット・ポンニミットらが参加。展覧会と連動し、アートブック「nero vol.14 VOICE」も販売。スペシャルな特典が付属する限定セットも限定数量で先行発売される。(プレスリリース)

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文:ANDART編集部