2022年6月14〜15日、ロンドンでフィリップスオークション「Evening & Day Editions」が開催。近現代のアーティストを中心に、平面作品や彫刻作品などのエディション作品303点が出品された。本オークションより、落札価格の高かったTOP5の作品とANDART取扱い作品の落札情報をご紹介。1GBP=163.29円で計算、落札価格は手数料込み。
5)アレックス・カッツ《Flowers》(2021)
落札価格:約1,687万円 (£103,320)
アレックス・カッツは、1927年ニューヨーク生まれの画家。家族や友人をモデルに描いた肖像画や風景画を平面的な表現で描くことで知られている。カッツが「花」描き始めたのは、1960年代にアメリカ・メイン州での夏季滞在中の時のことで、ハナミズキやチューリップ、ユリなどを多く描いている。本作は7枚組、それぞれ100枚・サインありの作品。(予想落札価格:約1,143万〜1,470万円 / £70,000 – 90,000)
現在、ANDARTではブラックドレスを着た女性の肖像画シリーズ「ブラックドレス」の《Black Dress 6 (Yvonne)》を取扱い中。
4)キース・ヘリング《Dog (L. 48-49)》(1986-87)
落札価格:約1,749万円 (£107,100)
キース・ヘリング(1958-1990)はアンディ・ウォーホルやジェン=ミシェル・バスキアと並んで1980年代のアメリカを代表するアーティスト。ヘリングの「吠える犬(Barking Dog)」は、1980年から85年にかけての地下鉄でのドローイングシリーズで登場した。犬と、本作のような犬と人間のハイブリッドはヘリングを代表するモチーフの一つであり、バンクシーの《Choose your weapon》にも描かれている。
1970〜80年代のアメリカでは、エイズの流行が世間での同性愛嫌悪を強めており、ゲイだったヘリングは犬を「抵抗と保護」の象徴として使い、不平等な社会へ作品を通して反抗していた。(予想落札価格:約653〜980万円 / £40,000 – 60,000)
3)アンディ・ウォーホル《Mick Jagger (F & S. 139)》(1975)
落札価格:約1,934万円 (£118,440)
先日、マリリン・モンローの作品で自身のオークション最高額を更新したポップ・アーティストのアンディ・ウォーホル(1928-1987)のセレブリティを描いた肖像画シリーズ。本作に描かれているのは、イギリスのロックバンド「ローリング・ストーンズ」のヴォーカル、ミック・ジャガー。見え隠れするドローイングと色をのせた部分を大胆に構成することによってコラージュのような表現がされている。今回落札されたのは、50枚のアーティスト・プルーフからの1点。(予想落札価格:約816〜1,143万円 / £50,000 – 70,000)
2)キース・ヘリング《Totem (Concrete)》(1989)
落札価格:約2,263万円 (£138,600)
「トーテム(totem)」とは、特定の集団や人物の象徴となる神聖な物のことで、よく知られている木造彫刻の「トーテムポール」をトーテムと呼ぶこともある。ヘリングは古代・原始文化に惹かれており、石棺の形をした「トーテム」は繰り返し作品に登場するモチーフである。本作は179.5×54.5cm、25体限定のコンクリートの作品で、ヘリングがエイズと診断されたのと同じ年に制作された。(予想落札価格:約980〜1,306万円 / £60,000 – 80,000)
1)アンディ・ウォーホル
《Queen Elizabeth II of the United Kingdom, from Reigning Queens (F. & S. 336)》(1985)
落札価格:約5,760万円 (£352,800)
本作はウォーホルの「Reigning Queens(統治する女王)」シリーズより、エリザベス女王2世を描いたもので、1977年の銀婚式のために撮影された公式ポートレートをもとに制作されている。「名声」や「有名であること」はウォーホルの強い関心事の一つであり、ウォーホルは「I want to be as famous as the Queen of England.(イギリス女王と同じくらい有名になりたい)」という言葉を残している。本作はエディション40のサインありの作品。(予想落札価格:約1,633万〜2,450万円 / £100,000 – 150,000)
ANDARTではセレブリティの肖像画シリーズからエリザベス・テイラーを描いた《Liz》を取扱い中。
【ANDART取り扱い作品落札情報】
アンディ・ウォーホル《Campbell’s Soup I (Pepper Pot)》(1968)
落札価格:約782万円 (£47,880)
ウォーホルの代表作である「キャンベル・スープ」をシルクスクリーンで制作した作品。1968年のシリーズと69年のものに分かれていて、それぞれ10枚組250枚ずつ展開されている。大衆文化や大量生産・消費をテーマとするポップアートにおいて、当時新しい題材を探していたウォーホルは、友人のディーラーに「キャンベル・スープのような誰もが知っているものを描いたらどうだろう」と提案されたのをきっかけに制作した。実際、ウォーホルも金銭的余裕のなかった時代はキャンベル・スープを毎日食べていたそう。今回、ANDARTで取り扱う《Campbell’s Soup I (Pepper Pot)》より高額で落札される結果となった。(予想落札価格:約327〜490万円 / £20,000 – 30,000)
ANDARTでも《Campbell’s Soup I (Pepper Pot)》を取扱い中。
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無料会員登録 文:ANDART編集部