矢野経済研究所
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2021年度の国内受託臨床検査市場は前年度比23.6%増の7,750億円

~新型コロナウイルスのPCR検査特需受け、次なる設備投資等にも前向き~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、2021年度の国内受託臨床検査市場を調査し、参入企業動向、将来展望を明らかにした。

1.市場概況

主要臨床検査センター各社の決算状況や中小センターの経営状況などから、2021年度の国内受託臨床検査市場規模(受託事業者売上高ベース)を前年度比23.6%増の7,750億円と推計した。
2021年度は、2020年度同様に新型コロナウイルス感染症の流行が継続し、同ウイルスのPCR(核酸検出)検査数は前年度を大きく上回る規模となった。2021年からは一部医療機関等で院内PCR検査体制の整備も進んだが、検査全体としては臨床検査センターへの委託割合、検査数は高いままで推移した。2021年度も新型コロナウイルス一項目の検査のみで受託臨床検査市場全体を大きく押し上げる結果となった。
※市場規模は、基本的には新型コロナウイルスのPCR自費検査(自由診療)分は含まない。

2.注目トピック

大手臨床検査センター主体に新たな設備投資意欲高まる

受託臨床検査業界では、2020年度からの新型コロナウイルスのPCR検査特需を受け、多くの企業で売上拡大を実現したが、同時に利益金額の増加が目立った。大手臨床検査センター経営企業を中心に、計画していた設備投資を確実に行うほか、新たな投資意欲等も高まりつつある。従来使用してきた既存検査ライン等における検査装置などを更新する動きが今後、加速するのではないかと考える。

3.将来展望

新型コロナウイルスのPCR検査需要は、2022年度も続くものと見られる。検査件数自体は一定規模が行われると予測されるが、2022年度から同PCR検査の診療報酬点数が引き下げられていることから、臨床検査センター各社に対しては受託検査単価の減額が求められている。そのため、2022年度の受託臨床検査市場は金額ベースでは2021年度比で減少に向かう見込みである。
また、新型コロナウイルスのPCR検査を除いた受託臨床検査市場規模は、患者の受診控えも改善されつつあり、コロナ禍前の状況に近づいてきている。既存検査項目の受託臨床検査市場は、中期的には微増推移傾向をとり戻す見通しである。

調査要綱

1.調査期間: 2022年3月~5月
2.調査対象: 受託臨床検査事業者
3.調査方法: 当社専門研究員による直接取材・オンライン面接取材・電話取材ならびに郵送アンケート調査併用
<受託臨床検査とは>
本調査における受託臨床検査とは、医療機関等で行う検体検査(血液、尿、組織などの検体)を受託代行するサービスを指す。受託事業者が開設した検査センター等に検体を運び、検査を実施するタイプと、病院内にある検査設備を活用して行う院内対応タイプに大別され、いずれも対象とした。
<市場に含まれる商品・サービス>
臨床検査の受託代行サービス

出典資料について

資料名2022年版 臨床検査センター経営総鑑
発刊日2022年05月30日
体裁A4 233ページ
価格(税込)143,000円 (本体価格 130,000円)

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