矢野経済研究所
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建設現場において実装し得るハードウェア面の建設テック技術は実証実験が進む

~建設テック(ConTech)市場では建設労働人口の減少対策のみならず、施工プロセス自体の変革に期待~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内における建設現場に直接実装されるハードウェア等を中心とした建設テック技術等の市場動向を調査し、現状や将来展望、課題を明らかにした。

1.調査結果概要

 「建設テック」とは、建設業におけるIT技術の活用を表す言葉であり、「建設(Construction)」と「テクノロジー(Technology)」を合わせた造語として「コンテック(ConTech)」と呼ぶこともある。
その中身としては、一般的にはプロジェクトマネジメントやコストマネジメント、工程管理、ドキュメント作成・管理、工事写真管理、図面管理、コミュニケーションツールなどを指すことが多く、これらは主にソフトウェア面での技術やサービスである。
一方で、建設業界の現場において、現場を直接的にアシストするテクノロジーも必要となっている。特に、労働集約型の産業と指摘される建設業界においては、人材の高齢化、人手不足、技術継承などの課題を抱えている。また、コロナ禍においては密状態を回避するための省人化や非対面などの技術も求められるなど、近年における建設現場ではソフトウェア面のみならずハードウェア面で物理的に現場をサポートする技術やサービスを活用することにより、生産性を向上させることが求められている。

本調査では、建設現場に直接実装するようなハードウェア面に関するテクノロジーを対象とした。実装に向けた開発や実証実験が進められている建設テック技術の事例としては、建設機械や建設工事用ロボットなどの「自動化技術」、建設機械の遠隔操作技術や遠隔地から映像・音声を共有する遠隔臨場技術などの「遠隔技術」、建設現場にドローンを活用した「ドローン技術」、セメント材料などを活用し建設用に適応させた「建設用3Dプリンター」、建設作業員の動作をサポート・アシストする「パワーアシストスーツ」などがある。
これらの技術の多くは実証実験段階にあり、建設現場における実装という点ではこれからとなるが、大手ゼネコンを始め、建設機械メーカー、ロボットメーカー、システムインテグレーターなどによって取組みが進められており、今後の建設市場において欠かせない技術・サービスとなっていくと考えられる。

2.注目トピック

建設テック技術がもたらす建設現場の変化

 建設現場に実装され得るテクノロジーがもたらす建設現場の変化としては、建設機械の自動化や遠隔化、作業ロボットの活用などにより、一人あたり生産量の向上が図れる点や現場に直接赴くことなく作業が行える点、また作業環境などが許せば24時間の作業も可能になる点などであり、総じて建設業の人材不足解消に寄与するものである。

加えて、こうしたテクノロジーの導入により、建設現場における施工プロセスそのものが大きく変化することも期待できる。ソフトウェア面におけるテクノロジーは、例えばこれまで人の手で行ってきた台帳管理や記録の整理などを効率化するという点に主眼が置かれているが、ハードウェア面におけるテクノロジーは、既存の建設方法や工法を機械などに置き換えるだけでなく、建設現場のオペレーションや、建設業の性質そのものを変化させることが可能となる。

建設機械の遠隔操作技術を例に取ると、操縦者が直接現場に行かなくても建設機械の操作が可能ということに加えて、1つの操作室から日本全国の複数現場における作業も可能になるなど、建設業における地場産業型の体質からの脱却を図ることも考えられる。

その他にも、テクノロジーの活用により、これまで人の手で直接行ってきた作業を機械等が代替するという点においては、重労働や過酷作業の解放に繋がり、建設業における3K(きつい、汚い、危険)の解消や、それに伴う労働環境の改善、人材流入の増加などの建設業が長らく抱える課題の解決にも寄与することが期待できる。

調査要綱

1.調査期間: 2022年1月~3月
2.調査対象: ゼネコン、建設機械事業者、ロボット事業者、ドローン事業者、システムインテグレーター、その他建設テック事業者等
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・e-mailによるヒアリング、ならびに文献調査併用
<建設テックとは>
「建設テック」とは、建設業におけるIT技術の活用を表す言葉であり、「建設(Construction)」と「テクノロジー(Technology)」を合わせた造語として「コンテック(ConTech)」と呼ぶこともある。
本調査における建設テックでは、建設現場に直接実装するようなハードウェア面に関するテクノロジーを対象としており、①自動化技術(建設機械の自動化、建設工事用ロボット)、②遠隔技術(建設機械等の遠隔操作技術、ウェアラブルカメラ等を活用した遠隔臨場技術)、③ドローン技術(ドローンを活用した屋内建設現場の進捗管理、建築物点検、物資輸送等)、④セメント材料などを活用し建設用に適応させた建設用3Dプリンター、⑤建設作業員の動作をサポート・アシストするパワーアシストスーツの5分野の技術等の市場動向調査を行った。
<市場に含まれる商品・サービス>
建設機械の自動化、建設工事用ロボット、遠隔操作技術、遠隔臨場技術、ドローン、建設用3Dプリンター、パワーアシストスーツ

出典資料について

資料名2022年版 建設テック市場(施工現場編) ~施工現場における自動化・省力化技術の実態と展望~
発刊日2022年03月30日
体裁A4 216ページ
価格(税込)165,000円 (本体価格 150,000円)

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