「第17回総務・人事・経理Week【春】」が5月11日~13日の3日間、東京ビックサイトで開催された。

約500社が出展する日本最大のバックオフィス向け専門展示会となる。会計・財務や人事労務、広報・IR などテーマは幅広いが、そのうち「福利厚生EXPO」には社食関連の出展が見られた。コロナ禍において働き方の多様化が進む中、オフィスに設置した冷蔵庫に常備して社員に低価格で利用してもらう、常備型社食サービスがその中心となっている。

常備型社食サービスは毎月プランに応じた惣菜が事務所に届き、事務所内に設置した冷蔵庫や冷凍庫から社員が好きな商品を選んで、電子レンジで加熱するなどして食べることができる仕組みだ。

月額は定額のサービス利用料金と商品代で構成され、サービス料金は3、4万円~が中心と見られるが、各社またプランによっても差がある。従業員の商品購入代金は1個100円、200円の設定が多い。

会社としては厨房や調理員が要らず専用冷蔵庫を置くだけ、自社配送エリア内ならサービス提供会社が補充や処分までしてくれ、集金管理もサービス会社が行う。他方、従業員にとっては24時間いつでも、健康に配慮した食事をとれ、しかも低価格(1品100円など)に利用することができる利点がある。

導入している事業所は大小さまざま、近隣に昼食を買える場所がないような立地に限らない。社食のある事業所であっても、食事を簡単に済ませたいニーズもあり、時間外の食事、家族の夕食への利用など多様な従業員のニーズをくみ取る福利厚生サービスとして活用されている。

〈チルドか冷凍か、生鮮を扱うサービスも〉
最大手とされるOKAN(東京都豊島区)が展開する「オフィスおかん」は同社登録商標の“置き型社食”として、大手企業を含め3000拠点に導入実績があるという。栄養管理士が監修した健康的な惣菜を、肉や魚、野菜を使った副菜まで、毎月20種類をそろえる。旬の品揃えも心掛け、製造委託先は10社ほどあるという。

「オフィスおかん」は首都圏で自社配送を行っているサービスの名称。エリア外には「オフィスおかん便」としてクール便で届けている。オフィスおかんの特徴は温度帯がチルドであること。商品はチルド製造、チルド配送だが、個包装されており賞味期限は1カ月以上となる。

KOMPEITO(渋谷区)が運営する「OFFICE DE YASAI(オフィスで野菜)」もオフィスおかんに並ぶ導入実績をもつ。東京23区内は自社配送で補充まで行い、エリア外はクール便で届ける。

KOMPEITOが展開する「OFFICE DE YASAI(オフィスで野菜)」/第17回総務・人事・経理Week【春】
(画像=KOMPEITOが展開する「OFFICE DE YASAI(オフィスで野菜)」/第17回総務・人事・経理Week【春】)

オフィスで野菜では冷蔵の「オフィスでやさいプラン」と冷凍の「オフィスでごはんプラン」の2つを展開。やさいプランはサラダやカットフルーツなど生鮮品を扱い、他社との差別化になっている。ただし週1回配送となるため、サービス利用料金は約5万8000円からと高めだ。一方、冷凍のごはんプランはオリジナルメニューのほか、NB(ナショナルブランド)のパスタなど仕入れ販売も行っているのが他社にはない特徴。サービス利用料金は2万9000円からとなる。

SL Creations(大田区)が展開するOffice Premium Frozen(O.P.F)は、初期費用なしで専用冷凍庫と電子レンジを貸し出し、月額3万6000円で始められる常備型社食サービス。

KOMPEITOが展開する「OFFICE DE YASAI(オフィスで野菜)」/第17回総務・人事・経理Week【春】
(画像=KOMPEITOが展開する「OFFICE DE YASAI(オフィスで野菜)」/第17回総務・人事・経理Week【春】)

450件の導入実績がある。独自の宅配網をもつSL Creationsの強みを生かし、自社配送エリアは関東から関西地区まで広範囲をカバー、月2回商品の補充を行う。エリア外には宅配便で対応。長年こだわりを貫いてきた同社の商品力も差別化ポイントだ。

事業所内などで社食に代わる弁当の販売を行う「社食DELI」など法人向け弁当サービスを展開するワオ(渋谷区)も5月から、月極の冷凍弁当配送サービス「ANYME(エニミー)」を始めた。社員向け弁当販売で長年培ってきた商品開発力が強みだ。

〈冷食日報2022年5月17日付〉