自動運転や生成AIなどの先進技術の登場・実用化により、さらに半導体の重要は今後高まっていくことが予想される。それに伴い、ますます業界内での設備投資は活発になり、シェア争いも加速することは確実だ。現時点での売上ランキングとともに、業界の今後を展望していこう。
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2023年上半期の半導体企業売上高ランキング
半導体関連のリサーチ・調査事業を展開する中国のCINNO Researchはこのほど、2023年上半期の半導体装置企業の売上ランキングを発表した。
1位はオランダ企業のASMLで、売上高は148億ドルで1位となった。日本企業としては3位に東京エレクトロンがランクインし、日本企業の中では最も高い順位・売上高となっている。
ちなみに、売上高が100億ドルを超えているのはASML(1位)とApplied Materials(2位)の2社で、東京エレクトロン(3位)とLam Research(4位)は50億ドルを超えた。以下、上位5社の事業概要を簡単に触れていく。
なお半導体関連企業は一括りに「半導体装置メーカー」などと呼ばれることが多いが、実際に製造している装置の用途はそれぞれ異なっている点に注目してほしい。例年、各装置でトップシェアを誇る企業が売上高ランキングで上位にランクインしている。
1位:ASML
オランダ企業のASMLは、チップ製造に欠かすことができない半導体露光装置で世界最大のシェアを誇る企業だ。多くの半導体メーカーが同社の露光装置を採用しており、業界における影響力は非常に大きい。
2位:Applied Materials
Applied Materialsは、半導体製造装置で世界トップシェアを誇る企業だ。シリコンバレーに本社を置き、公式サイトでは「ほぼ全ての半導体チップや先進ディスプレイの製造に寄与します」と説明されており、Applied Materialsの社名は知らなくても、実は多くの人が同社の技術を使った半導体に日常的に接している。
3位:東京エレクトロン
東京エレクトロンは日本を代表する半導体企業の1社で、半導体を製造する際に使うコータ/デベロッパや、半導体の製造過程でちりなどの不純物を洗浄する装置などを手掛けている。フラットパネルディスプレイにおいても注目されている企業だ。
4位:Lam Research
Lam Researchは半導体製造プロセスにおける成膜やエッチング、洗浄などに関する装置を製造している企業だ。特にエッチングでは世界トップシェアを誇る。
5位:KLA
KLAは、欠陥の検出など半導体製造プロセスにおける検査・測定の分野に強いメーカーだ。半導体検査装置では世界シェア1位となっている。
日本企業の大手半導体企業の売上高は?
日本企業はTOP10に5社ランクインした。3位の東京エレクトロン、7位のアドバンテスト、8位のSCREEN、9位の日立ハイテク、10位のディスコだ。それぞれの企業における直近の通期での売上高は次の通りだ。
2023年3月期(2022年4月〜2023年3月)の売上高は円ベースで、東京エレクトロンが2兆2,090億円、アドバンテストは5,601億円、SCREENが4,608億円となっている。日立ハイテクは4,622億円、ディスコは2,841億円だ。
半導体市場の今後の見通しは?
半導体市場は今後市場規模がさらに拡大していくことは確実だ。
半導体は「産業のコメ」と呼ばれ、先進技術のプロダクト化の際やサービス維持に欠かすことのできないものとなっており、実用化が加速しつつある「自動運転技術」や、ChatGPTのような「生成AI」の利用が拡大するにつれ、半導体のニーズも増えていく。
そんな中、業界内での設備投資やシェア争いは今後一層激しさを増すと考えられ、その状況は民間企業vs民間企業という構図を超え、国vs国の様相も濃くなってきた。
今回紹介したランキングから分かるように、現在は欧米や日本の企業が上位だが、中国政府・企業の動向が今後気になるところだ。
投資マーケットでも注目される半導体分野
こうした成長期待度から、投資マーケットにおいても半導体分野への注目度は非常に高い。投資マネーは今後ますます半導体企業に流入するとみられる。上場各社の株価の動きにも注目していきたいところだ。