国内の診断・診療支援AIシステム市場は2022年以降に拡大を予測
~国内の医療機関向けAI・XR技術を利用したシステムの導入は拡大する見通し~
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内のMedTech動向を調査し、関連する各医療機器の普及動向、参入企業の事業展開、今後の方向性などを明らかにした。
ここでは、診断・診療支援AIシステムの市場予測について、公表する。
診断・診療支援AIシステム市場規模予測
1.市場概況
MedTech(Medical×Technology・メドテック)とは、診療・診断・治療支援領域などの医療分野に対して、AI、IoT、XR(VR:Virtual Reality/仮想現実、AR:Augmented Reality/拡張現実、MR:Mixed Reality/複合現実)、5G、4K/8Kなどの最新技術を取り込み、新たな価値を提供する製品やサービス、またはその取り組みである。
医療分野では、診療・診断・治療支援領域のそれぞれに最新のICT技術を活用した新たな価値を提供する製品やサービス、およびその取り組みが進められている。AI等を搭載した診断支援システム、4K/8K内視鏡手術システム、XRを活用した手術支援サービス等の技術を活用した製品の上市が引き続きみられる。
2.注目トピック
AI医療機器は増加し、制度面の整備が進められ、AIの利活用は活発化
医療分野での、AIをはじめとするデジタル技術の活用は不可欠であり、これまでの医療の在り方から大きく変革することが期待されている。AI技術が重点戦略として政策の中で掲げられ、データ基盤の整備およびデータの利活用に向けた取り組みが進められている。医療分野のAI技術の活用として、特に医用画像を用いた診断支援が注目される。
日本では、2018年以前は研究・実証研究の取り組みが中心であり、AIを搭載した医療機器として、初めて内視鏡画像診断支援AIシステムが薬事承認を取得したことを皮切りに、製品・サービスの上市が進められる。2022年2月時点で、放射線画像分野を中心に20品目以上の製品で薬事承認・認証を取得している。
規制面では、新型コロナウイルス感染対策としてAI製品の早期承認、IDATEN(医療機器の特性に応じた変更計画の事前確認)制度の導入、DASH for SaMD(プログラム医療機器実用化促進パッケージ戦略)の策定などAI医療機器に対する規制の枠組み構築に向けた動きがみられた。
また、AI製品・サービスを取りまとめる医療AIプラットフォームの構築がモダリティメーカーを中心に進みつつあり、社会実装に向けた取り組みが加速している。デジタル技術を活用した医用画像機器には、データが必要不可欠であり、国策として医療公的データベースの構築などデジタル基盤の整備が進展している。
3.将来展望
診断支援AIシステムおよび診療支援AIシステム市場は黎明期にあり、現状では放射線科領域を中心にAI製品の展開がみられ、2022年度の診療報酬改定では、AI技術が画像診断管理加算3の施設要件として加えられ、臨床現場でのAIの運用・管理体制の整備が求められる。医師のAIに対する関心は高まるなか、大・中規模病院やクリニック、健診施設などで診断支援AIシステムの導入が進みつつあり、 ”利用” から ”普及” に向けた動きが活発化している。
さらに、医療従事者の人材不足に加え、働き方改革の本格的に推進を背景に、AIを利用した業務支援システムの早期の社会実装が期待される。特に非接触へのニーズが高まりから、音声認識技術は注目される。
また、画像検査や血液検査、生体情報、看護記録、電子カルテ、健診データなどの様々なデータを解析することにより、個々の患者の状態や予後を予測する診察支援AIシステムの開発が行われている。近年では、スタートアップ企業に加え、大手IT企業・製薬メーカーでも心電図データから不整脈や心不全などの疾患リスクを予測するAIソリューションへの市場参入がみられる。
このように将来的なAI搭載型の医療機器製品数の増加とともに、AIアプリケーションの多様化が見込まれる。AI等を搭載した診断支援システムおよび診療支援システムは医療機関での利用が浸透していき、2026年の診断・診療支援AIシステム市場規模は、事業者売上高ベースで160億円に拡大すると予測する。
調査要綱
1.調査期間: 2021年12月~2022年3月 2.調査対象: 医療機器メーカー、医療IT関連企業、製薬企業、その他関連企業 3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、ならびに文献調査併用 |
<MedTech(メドテック)市場とは> MedTech(Medical×Technology・メドテック)とは、診療・診断・治療支援領域などの医療分野に対して、AI(人工知能)、IoT、XR(VR、AR、MR)、5G(第5世代移動通信システム)、4K/8Kなどの最新技術を取り込み、新たな価値を提供する製品やサービス、またはその取り組みである。今後、医療分野においてもAIをはじめとするデジタル技術の活用は不可欠であり、これまでの医療の在り方から大きく変革することが期待されている。 本調査では、特に近年社会実装が進みつつある、AI等を搭載した診断支援システムと診療支援システムのソフトウェアを対象として、市場規模を算出した。 |
<市場に含まれる商品・サービス> AI等を搭載した診断支援システム、AI等を搭載した診療支援システム、XR(VR、AR、MR)を使った医療機器、医療AIプラットフォーム |
出典資料について
資料名 | 2022年版 MedTech市場調査レポート |
発刊日 | 2022年03月22日 |
体裁 | A4 195ページ |
価格(税込) | 165,000円 (本体価格 150,000円) |
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