連続増配している企業は? 3位は三菱HCと小林製薬、2位はSPK、1位は?
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株式投資の楽しみは「配当をもらうこと」と考える方も多いだろう。銘柄探しでもなるべく高配当、または配当利回りが高いものがいいと思いがちだ。しかし、本当にそれだけで銘柄を選定していいのだろうか。銘柄選定時に注目したいのが「配当が続いているか」「配当が上昇し続けているか」という点である。連続増配する銘柄の特徴について解説する。

連続増配とは

連続増配とは、毎年配当金が継続して増えていくことを指す。1円ずつなど上昇率はそれほど多くなくとも、何年にもわたって配当金を増やし続けている銘柄であれば「連続増配銘柄」となる。

連続増配をする企業の特徴とは?

連続増配となる企業には、以下のような傾向がある。

  • 業績が安定している企業
  • 利益を蓄積できている企業
  • 株主への還元に力を入れている企業

配当が上昇し続けるのは業績が安定しているからだ。業績が急激に上昇する企業よりも少しずつでも業績が上がり続ける企業、業績が安定している企業のほうが連続増配銘柄となりやすい。

連続増配銘柄に投資するメリットとは?

連続増配銘柄に投資することで安定的な資産づくりが期待できる点は大きなメリットである。超低金利時代において、銀行の定期預金に預けても金利は年0.002%程度しかつかない。これは、1年間100万円預けても増えるのは20円程度ということだ。しかし上場株式の配当利回りは、2%程度の銘柄もたくさんある。

しかも、連続増配銘柄であれば毎期配当金額が上昇し続けるため、企業の業績が上昇し株価が上昇した場合でも配当利回りは下がりにくい傾向だ。

株式投資には当然値下がりリスクもあるが、連続増配ができるほどの企業であれば業績が安定しているため、株価が大きく下落するリスクは低く抑えられているだろう。この点からも連続増配銘柄は、長期間保有して配当を受け取り続けたい投資家に向いているといえる。

配当利回りは、以下の計算式で算出する。

  • 1株あたりの年間配当金額÷1株の購入価額×100で算出

配当金額が同額の場合、株価が低いほうが配当利回りは高くなり、株価が高いほうが配当利回りは低くなる。

では、次章から連続増配銘柄を具体的に見ていこう。

3位は三菱HCキャピタル<8593>と小林製薬<4967> 22年 連続増配

リース事業を展開する三菱HCキャピタル<8593>は、三菱UFJグループの企業である。2021年4月に日立キャピタルと統合した。米国などでの主力事業の成長、また不動産売却益の計上の予定がある点も今後の業績見通しが好感とされている理由だ。三菱HCキャピタルは、2000年3月期より22年連続で増配を行っている。

2022年3月期の1株配当(1株あたりの現金配当の金額)予想は26円だ。2022年4月21日の終値は586円と100株購入しても6万円ほどで比較的投資しやすい銘柄といえる。

※取引手数料は含まず(以下同様)

連続増配している企業は? 3位は三菱HCと小林製薬、2位はSPK、1位は?

同じく、芳香消臭剤などの家庭用品製造販売で有名な小林製薬<4967>も22年連続増配中の銘柄だ。上場後の初決算期である2000年3月期の年間配当額は5円であったが、その後、増配を続け、2021年12月期の配当は83円と22年で配当が16.6倍も増加している。なお、2022年12月期の予想は85円となっており、これが実現すれば、23年で配当が17倍も増加することになる。

2022年4月21日の終値は9,450円であるため、株主になるには95万円ほど必要だが、連続増配中である点や、業績も順調に伸びている点から考えると、投資を検討する価値は十分にあるといえるだろう。

連続増配している企業は? 3位は三菱HCと小林製薬、2位はSPK、1位は?

2位はSPK<7466>で23年連続増配

SPK<7466>は、自動車用補修・車検部品の卸売業である。連続増配期数は、全上場企業の中で2位だ。財務状況もよく投資に値する企業といえる。2022年4月21日時点の終値は1,321円で、最低投資金額は約13万円だ。SPKは1999年3月期より増配を開始し、23年連続で連続増配している。直近3年間の増配率は1.13%、年平均4.4%の増配だ。

連続増配している企業は? 3位は三菱HCと小林製薬、2位はSPK、1位は?

気になる1位は花王<4452>で32年

花王は、トイレタリー用品の売上が国内トップクラスで知名度も抜群の企業だ。トイレタリー用品以外にも産業用の機能性材料製品などの製造・販売も行う。花王は1991年3月期から増配を開始し32年連続増配している。2021年12月期は売上高が上昇したが、原材料価格の高騰の影響もあり営業利益は下落した。しかし、株主還元として配当は4円増配の148円となることが決定している。

2022年4月21日時点の終値は5,235円で、最低投資金額は約52万円となる。

連続増配している企業は? 3位は三菱HCと小林製薬、2位はSPK、1位は?

株を買えば配当金は必ずもらえる?

株式の配当金についての疑問を解決しておこう。

配当金は必ずもらえる?

配当金は、株を買えば必ず受け取れるわけではない。株主は、持ち株数(出資比率)に応じて利益の還元を受ける権利がある。これは「利益配当請求権」というものだ。配当金は、企業の利益に応じて支払いの有無や金額を決定する。もし、企業の利益が出ない場合は、利益の還元である「配当金」もない可能性が高くなるため、株主側は利益配当請求権の行使はできない。

つまり、配当金を受け取れないこともあるのだ。なお、企業によっては、利益が出ていても配当金を出さないケースもあり、この場合も株主は配当金を受け取る権利がない。反対に、利益が出なかったにもかかわらず配当金を出す会社もある。この場合は、配当金が受け取れる。堅実に配当金を受け取りたいのならば連続増配企業を探して投資するのがベストだろう。

いつ株を購入しても配当はもらえる?

配当金は、各企業の株式を権利付最終日時点で保有している場合に受け取れる。なぜなら、配当は「権利確定日」(決算日と同日になることが多い)時点で株主名簿に登録された株主が受け取れるからだ。そのため、権利確定日時点で株主名簿に登録されていない株主に配当は支払われない。また、権利確定日当日に株式を購入しても株主名簿には登録されないため、注意が必要だ。

権利確定日に株主名簿へ登録しておきたい場合は、権利確定日の2営業日前までに株式を保有しておくかねばならない。この権利確定日2営業日前のことを「権利付最終日」と呼ぶ。権利確定日1営業日前は「権利落ち日」となり、権利落ち日以降に株を購入した場合は、当期の配当はない。権利確定日は、企業ごとに異なるため、配当目的の投資を考える際は必ず権利確定日を確認して投資に踏み切ろう。

配当金の受取方法について

配当金の受取方法についても確認しておくとよい。配当金の受け取りは、次の3つから選択できる。
※証券会社によって若干異なる場合もあり

連続増配している企業は? 3位は三菱HCと小林製薬、2位はSPK、1位は?

ネット証券会社の場合、配当金受取方法はインターネット上の「会員ページ」などから変更手続きも可能だ。

配当金目的で投資をするならば、連続増配企業を探そう

配当金目的で投資をしたい場合は、どうしても高配当企業に目が向きがちだ。高配当企業の場合、配当金受取時に非常に得をした気分となるかもしれない。しかしよくチェックしてほしいのは、その配当が継続しているかどうかである。高配当企業の中には一時的なニュースで業績が上がり、スポット的に高配当を出した可能性もあるかもしれないのだ。

もし、継続して配当を受け取りたい場合は、毎期配当金を増やし続ける「連続増配企業」を探そう。連続増配企業は、安定性が高く株主還元に力を入れている企業であることが多い。また、株価の面からも大幅な下落リスクを抑えることが期待できる。経営の安定性も高く配当金を継続的に受け取れる企業ならば、長期間株式を保有し続けたい投資家にも向いているだろう。

※リコーリースも26期連続ではあるが、2000年3月期に株式分割をしている。以降の年数は21年連続となり、この記事では3位までには含めていない。

著:田尻 宏子
2級ファイナンシャル・プランニング技能士。証券外務員第一種資格保有。証券会社・生命保険会社・銀行等複数の金融機関勤務の後、2016年末からライターとして活動を開始。株式投資・生命保険の加入や見直し・クレジットカードの解説記事や家計管理についての記事、金融用語解説などの分野を中心に多数執筆。また、学生時代に取得した博物館学芸員資格をもとに日本各地の文化・歴史についての記事も執筆する。「とっつきにくい金融情報を分かりやすく正確に読者にお伝えする」「どんな分野でも誰もが読みやすい記事を書く」をモットーとする。
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