「2021年のアートオークション市場の特徴は？7つのポイントで解説」でお届けしたように、3月には昨年度のアートマーケットを総括するレポートが複数公開されました。
今年度も、4月のサザビーズ（パリ）でイヴ・クラインの領収書がオークションに出品され、予想を大きく上回る価格で落札されるなど、すでに盛り上がりを見せています。これから市場がどんな動きを見せるのか楽しみですね。
この記事では2022年5月の注目オークションを紹介します。ANDARTでも取り扱いのあるアンディ・ウォーホルやジャン＝ミシェル・バスキアの大作も登場予定なので、ぜひチェックしてみてください。
目次
サザビーズ
Modern Evening Auction
パブロ・ピカソが、彼の恋人でありミューズでもあったマリー＝テレーズ・ワルターを描いた珍しい肖像画 ≪Femme nue couchée≫ がオークションに初登場する。ピカソが画家のキャリアで最も多作だった時期である1932年に描かれたもの。約74.4億円 (6,000万ドル) を超える価格で落札されると予想されている。サザビーズによれば、作品が「海」を連想させるのは、ピカソの妻と息子が家族で海水浴に出かけた際、その目を盗んでピカソとマリー＝テレーズは関係を持ったことに起因しているという。
会場：ニューヨーク
公式サイト：https://www.sothebys.com/en/digital-catalogues/modern-evening-auction-1?locale=en
Contemporary Evening Auction
画像出典：https://www.sothebys.com/
20世紀後半、人物を中心とした具象画で有名になったイギリスの画家フランシス・ベーコン。「赤い教皇の習作」と題した本作は、向かって右側にベーコンの恋人であったジョージ・ダイアーが描かれている。1971年にグラン・パレで開催された回顧展で発表された作品で、その後45年にわたり一般公開されていなかった。2017年にクリスティーズ・ロンドンに出品され、100億円を超える価格での落札が予想されていたものの、不落。今回の結果が注目されている。 本オークションには、アレックス・カッツの油彩画2点《Rackstraw and Pamela》、《East Interior》も出品予定。
会場：ニューヨーク
公式サイト：https://www.sothebys.com/en/buy/auction/2022/contemporary-art-evening-sale-2?locale=en
クリスティーズ
Art Contemporain – Online
フランスのクリスチャン・ボルタンスキー、オリヴィエ・デュブレから、日本の加藤泉やロッカクアヤコまで、戦後から今日までの多彩な作品が登場する。ほか、ANDART取り扱いアーティストでは、アンディ・ウォーホルの自画像、ダミアン・ハーストのスポット・ペインティングシリーズなどが出品される予定。
日時：2022年4月26日〜5月3日
会場：パリ
公式サイト：https://www.christies.com/en/auction/art-contemporain-online-21261-par/
The Collection of Thomas and Doris Ammann Evening Sale
画像出典：https://artpro.com/
生涯を通して情熱的に芸術活動をリードしてきたスイスのコレクター、トーマス＆ドリス・アマン兄妹のコレクションがオークションに登場する。収益は、世界の子どもたちの生活向上のために設立されたトーマス＆ドリス・アマン財団に全額寄付されるという。
特に注目されているのは、アンディ・ウォーホルによるマリリン・モンローの肖像画《Shot Stage Blue Marilyn》。色違いで5作品が存在し、「撮影する(shoot)」と「銃を撃つ(shoot)」の言葉遊びによって4枚に銃が撃ち込まれた。こうしたハプニング的要素も影響し、同じマリリンのモチーフの中でも高額になると予想されている。
会場：ニューヨーク
公式サイト：https://www.christies.com/en/auction/the-collection-of-thomas-and-doris-ammann-evening-sale-21508-nyr/
21st Century Evening Sale
1982年に制作されたジャン＝ミシェル・バスキアの 《Portrait of an Artist as a Young Derelict》は、三連画として構成された大作。10枚の木製の扉やパネルなどのパーツが組み合わされ、祭壇画のように作られている。少なくとも20年間、同じ匿名の個人コレクションに所蔵され市場には出回っておらず、落札予想額は約35億円となっている。昨年からバスキア作品は高騰が続いており、今回も結果が注目される。
本オークションには、他にも奈良美智やクリストファー・ウールら21世紀を代表する現代アーティストや、ジョナス・ウッドやマシュー・ウッドといった近年マーケットに出回り始めたパイオニアたちの作品も出品予定。
会場：ニューヨーク
公式サイト：https://www.christies.com/en/auction/21st-century-evening-sale-20975-nyr/
フィリップス
20th Century Evening Sale
ZOZO創業者の前澤友作が所蔵するバスキアの絵画《Untitled》が出品される。本作は、2016年5月にクリスティーズから5,730万ドル(当時のレートで約62億円) で入手したもの。当時、バスキアのオークションレコードでもトップ3に入る高額を記録して話題になった。6年近い保有期間を経て、7,000万ドル(約81億円)以上となる可能性が示唆されている。
ボナムズ
Laurel Foundation Online
デイヴィッド・ホックニーは、現存するアーティストとして、ジェフ・クーンズに次ぐ作品落札価格レコード第2位を保持している。代表的なモチーフはスイミングプールで、マーケットでも特に人気が高い。色鉛筆からiPadまで、さまざまなメディアを駆使するホックニーだが、本オークションに出品されるのは「chromogenic print（発色現象方式印画）」と呼ばれる、いわゆるCプリントの写真作品。
画像出典：https://timesofmalta.com/
▼4月の注目オークションの結果をチェック
https://media.and-art.jp/art-market/phillips_220422_top5/?utm_source=&utm_medium=&utm_campaign=
https://media.and-art.jp/art-market/christies_220422_top5/?utm_source=&utm_medium=&utm_campaign=
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文：ANDART編集部
