日本とマレーシアをつなぐクロスボーダーなM&Aが脚光を浴びました。中小企業庁が策定する2022年版「中小企業白書」に、日本M&AセンターがFA(ファイナンシャルアドバイザー)として支援した海外M&A案件が事例として紹介されました。新型コロナウイルスの世界的な蔓延を受けた渡航制限下で、M&Aの全交渉をフルリモートで完結したウィズコロナ時代に即した先進的なクロスボーダー案件です。
中小企業経営のバイブル
中小企業白書は閣議決定後の2022年4月26日に公表されました。中小企業の動向を報告する今年の白書は「事業者の自己変革」がテーマになりました。新型コロナや原材料価格の高騰などに揺れる中小企業の経営環境を調査、分析した内容となっています。中小企業の経営者や関係団体にとって必読書で、今夏には出版も予定されています。
M&A交渉をフルリモート
白書第2部「新たな時代へ向けた自己変革力」における第2章「企業の成長を促す経営力と組織力」の事例として掲載された海外案件は、大阪府八尾市の非鉄金属製造業「STG」が2021年にマレーシア・ジョホールバルの同じく非鉄金属製造業「STX」社の株式を取得したM&Aです。コロナ禍の渡航制限下で約半年間という異例のスピードで完結した海外M&A交渉は、日本とマレーシアを行き来することなく、ウェブ会議を活用しました。中国やタイなど海外展開を積極的に推し進めてきた佐藤輝明社長の決断力や同社の情報収集力、M&A支援機関などのバックアップ態勢などが成功の大きな要因になりました。ウェブ面談や交渉は数十回を数えました。
中小企業がクロスボーダーM&Aに取り組む時代に
M&Aをサポートした日本M&Aセンターマレーシア現地法人の尾島悠介マネージングダイレクターは「現状、海外M&Aの買い手は上場企業や中堅企業が多い中で本件は日本の中小企業がM&Aで海外進出する成功事例となりました。これからも本件のように日本の中小企業がM&Aで海外進出と事業拡大ができるように貢献していきます」と話しました。