拡大するスポーツ・ボディメイクサプリメント、2018年度の市場規模は前年度比2.2%増の484億6,000万円
~たんぱく質補給の啓蒙が市場拡大を後押し~
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、スポーツサプリメント、ボディメイクサプリメント、及び関連食品市場を調査し、セグメント別の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。
スポーツサプリメント・ボディメイクサプリメントの市場規模推移
主要形状別プロテイン含有食品(ドリンク、ゼリー飲料、バー)の市場規模推移
1.市場概況
スポーツサプリメント・ボディメイクサプリメントの2018年度市場規模は前年度比2.2%増の484億6,000万円と推計した。2015~2017年度に見られた高い成長率は落ち着きを見せたものの、市場は引き続き拡大基調である。
当該市場の近年の成長は、主力ユーザー層であるアスリート(スポーツ競技者)、スポーツ愛好家におけるプロテインやその他サプリメントの利用拡大に加え、SNSを背景に、若年層を中心とした引き締まった身体づくりへの関心の高さが挙げられる。また、‘筋肉’がブームとなり、筋肉トレーニング(筋トレ)に取り組む層が増加しているとみられ、一般層における身体づくりへの取り組みとともに、サプリメントの利用も拡大の一因である。特にプロテインは、ドリンクやバー、ゼリー飲料など、手軽にプロテインを摂取出来る商品が拡充し、これらの商品を入り口にプロテインパウダーへと移行する、または併用する傾向が見られ、市場拡大に寄与している。
また、スポーツニュートリション研究に取り組む企業が増加し、アスリートの体調コントロールや、持久力向上などのパフォーマンス維持・向上、疲労軽減など、運動に関連する様々な機能を持った素材が配合されたサプリメントが開発・展開されており、従来のスポーツサプリメントメーカーのほか、食品・医薬品メーカーの参入も増加し、アスリートやスポーツ愛好家の選択肢が拡大したことも市場に好影響を与えている。
2.注目トピック
拡大するプロテイン含有食品
アスリート(スポーツ競技者)層から一般層にまでプロテイン(たんぱく質)補給の関心が高まるなかで、近年、市場が急速に拡大しているのが、プロテイン(たんぱく質)を配合・強化した一般食品である。
特に近年、手軽に摂取出来るプロテインドリンクや含有ゼリー飲料、菓子感覚で美味しくたんぱく質が補給できるプロテインバーなどが支持され、市場が拡大し、参入企業も増加している。
これらのプロテイン含有食品は、コンビニエンスストアや食品スーパー、ドラッグストアなど、生活者の身近な販売チャネルで展開した点が奏功し、プロテインのライトユーザーや、プロテインユーザーの間食や外出時の摂取需要を獲得している。プロテイン含有食品の摂取を契機に、プロテインパウダーへの移行が見られるなど、プロテインユーザー層の裾野拡大に寄与している。
3.将来展望
スポーツサプリメント・ボディメイクサプリメントの2019年度の市場規模は前年度比2.7%増の497億7,000万円を見込む。
アスリート(スポーツ競技者)や部活動を行う学生などの主力ユーザーにおけるサプリメントの利用拡大に加え、引き続き、引き締まった身体づくりへの関心が続くと見られることから、市場規模は緩やかな拡大が続くと予測する。ただし、特にライトユーザー層は、プロテインドリンクやバーなど、手軽に摂取できる一般食品形状のものを多く利用することも予想され、サプリメント形状よりも一般食品形状の成長性が高いと考える。
今後も食品と食品成分が身体機能に与える影響の解明が進むと見られ、現在、市場の多くを占めるプロテインやアミノ酸以外の素材・成分の利用が進むことが市場拡大の鍵とみる。
また、身体づくりへの関心と中高年齢層における健康維持・増進、趣味としての運動を取り入れる動きは今後も続くと予想され、さらに、生活者における嗜好やライフスタイルの多様化、働き方改革による時間の使い方の変化に伴い、運動を提供するサービスも多様化するとみる。運動と共に摂取することで効果が期待されるサプリメント、運動中や運動直後に取り入れやすい形のサプリメントの需要は今後更に高まると考えられることから、素材・成分の研究開発とともに、形状や味覚など、摂取しやすい形のサプリメントの開発が期待される。