2022年シーズンは、ロッテ・佐々木朗希選手の完全試合や阪神タイガースの予想外の苦戦など開幕直後からさまざまな話題で盛り上がる日本プロ野球。コロナ禍の影響で過去2年間は、観客の入場制限で各球団とも厳しい経営を強いられた。しかし2022年シーズンは、3年ぶりに入場制限がなくなり業績回復に期待がかかるところだ。
本記事では、直近の12球団の収支を振り返るとともに観客動員やSNSの登録人数などから見た人気度について解説していく。
経営面ではDeNAがコロナ禍で奮闘
プロ野球球団の収支を比較するために官報で開示されている貸借対照表の売上高や純利益を確認していく。ただし12球団中、読売ジャイアンツ(巨人)を運営する株式会社読売巨人軍と中日ドラゴンズを運営する株式会社中日ドラゴンズは、球団単体での決算公告を出していない。そのため貸借対照表を公表している10球団について直近公開されている売上高や純利益の金額を比較していく。
10球団が決算公告を開示しているが売上高を開示しているのは、ソフトバンクだけだった。またオリックスは、売上高・純利益ともに貸借対照表で公開していない。各球団で決算日が異なるため、2020年シーズンの業績を反映した数字となっている。
2020年シーズンは、新型コロナの影響で開幕が6月にずれ込んだうえに無観客試合や観客の入場制限が行われ、楽天とDeNA以外は赤字となった。
DeNAは、表には記載していないが2019年シーズン(2019年12月期)においても、15億2,500万円の利益を上げており2020年シーズンの純利益は約65%減となった。2021年シーズンも黒字であり、新型コロナの影響を受ける中、3シーズンとも黒字で乗り切った点は評価されるべきだろう。
観客動員・SNSフォロワーから探るプロ野球12球団の人気
プロ野球球団にとってお客さんが球場に足を運び、飲食や買い物をすることは大きな収益をもたらす。そのため観客動員数は、即収益に結びつくものといってもよいだろう。さらに各球団は、YouTubeチャンネルやTwitter、InstagramなどのSNSを活用してマスコミなどのメディアに頼らず情報を発信している。
そこでここでは、各球団の2021年シーズンの観客動員数・YouTubeチャンネルの登録者数、SNS(Twitter、Instagram)のフォロワー数を調べて人気度を測る基準とした。
観客動員数
2021年シーズンは、入場制限がかかり平均入場者数はコロナ禍前である2019年の約3分の1まで落ち込んだ。セ・リーグでは広島、パ・リーグではロッテがそれぞれリーグ最多の観客動員数を記録。この年優勝を果たしたヤクルトは観客動員では5位、オリックスは6位と苦しい数字となった。
ただし2021年シーズンは、各球場とも入場者数に制限がかけられたほか、球場によっては無観客試合の期間があったところもあった。そのためこの年に限っては、観客動員からだけで単純に人気度を測ることはできないだろう。
YouTubeチャンネル登録者数
各球団ともネットコンテンツに力を入れている中、YouTubeの球団公式チャンネルの登録者数はセ・リーグでは巨人、パ・リーグでは日本ハムが1位。なかでも巨人は、12球団唯一となる登録者数50万人超である。パ・リーグは、セ・リーグほど各球団の登録者数に大きな差は見られなかった。
SNSフォロワー数
TwitterとInstagramといったSNSのフォロワー数を見るとセ・リーグは阪神、パ・リーグはソフトバンクの強さが際立った。巨人は、Instagramのフォロワー数は1位だったもののTwitterのフォロワー数ではリーグ4位にとどまり巨人ファン層にTwitterのユーザー層がマッチしないのか興味深いところだ。
気になるのは、セ・リーグでは広島、パ・リーグでは西武がネットを活かしたファン層拡大という意味では苦戦している印象があること。YouTubeやInstagramといった画像・動画の配信や投稿は手間がかかるうえコンスタントにアップしなければなかなか成果が出ない。球団の方針もあるのかもしれないが新たなファンの開拓にもつながるのでぜひ充実させてほしい。
ウィズコロナ時代、プロ野球はどのように収益を上げるのか
2020~2021年のコロナ禍の中、日本のプロ野球は厳しい経営を強いられ、特に2020年シーズンは、前年に黒字を確保していた球団も多くが赤字を出した。しかし2021年には改善に向かい、観客の入場制限がなくなった2022年シーズンは収益面で期待ができそうだ。各球団ともネットコンテンツに力を入れ、ファンとのコミュニケーションを図ったり新たなファンの開拓に力を入れたりしている。
これらの取り組みは、すぐに成果が出るものではないが数年後に実を結ぶだろう。ウィズコロナの時代、プロ野球がどのようにビジネスを展開し収益を上げていくのか今後も注目だ。