【時価総額ランキング】トヨタがトップ独走、半導体関連&金融関連が急伸
(画像=oka/stock.adobe.com)

時価総額は、現時点での企業価値を表す指標だ。基本的には株価に発行済株式数をかけて計算されるが単に業績のみではなく将来における成長性への期待を示すものとされている。時価総額が高いほど企業としての価値も大きく社会への影響力も強い。2022年4月現在の日本国内の時価総額ランキングから各企業の位置づけを見ていこう。

※本文中の時価総額の数字は2022年4月20日時点

時価総額ランキング3位はNTT

NTTの時価総額は、約13.7兆円で第3位。NTTの正式名称は、日本電信電話株式会社である。NTTグループ持株会社で主力事業はドコモ。また固定電話独占企業であり光回線でも高いシェアを誇る。近年は海外市場の開拓に取り組み、現地との提携に注力している。また主軸のドコモは値下げの影響が続き、海外通信機器販売では半導体不足が響いている。

一方で銀行との協業やデータ活用サービスといった非通信事業を拡大し連続増益を記録している。セキュリティやエネルギー関連事業の集約や海外通信機器販売の立て直し策を講じており、将来に向けた構造改革を加速している点が注目される。

時価総額ランキング2位はソニーG

ソニーグループの時価総額は約14.4兆円で第2位につけている。AV機器大手メーカーとして世界的に有名であり、特に海外でのブランド力は絶大だ。近年は、イメージセンサーやゲームをはじめ音楽・映画分野にも特に重点を置いている。IFRS(国際会計基準/国際財務報告基準)への移行を進め、日本が誇る世界企業としての積極的な姿勢を示している。

事業内容では、映画関連の一部事業売却を行う一方で、米国の大手動画配信サービスとの提携などビジネスモデルの進化が目覚ましい。ゲーム利用者の伸びやソフト販売増も成長への好ましい材料となっている。またEV開発において本田技研工業株式会社と歴史的提携が実現。2025年には、両社の開発による製品の販売が予定されている。

ソニーが提供するのは、モビリティ向けサービスプラットフォーム。EVの販売に伴いセンサー類やソフト拡販が期待される。

時価総額ランキング1位はトヨタ

時価総額第1位は、トヨタ自動車の約36.8兆円。4輪車における販売の世界首位を誇り、国内シェアは3割超という巨大企業だ。日野、ダイハツといった歴代の老舗メーカーを傘下とし、SUBARU、マツダ、スズキと技術提携を行う。2022年に入って世界生産を下方修正したが、グループ総販売台数1,100万台の見通しについては変更していない。

コロナ禍や世界情勢の変化を受け資材高とはなっているが、円安や販促費の抑制により今のところ影響を最小限に抑制できている。トヨタの生産現場におけるカンバン方式など創意工夫に富んだ企業姿勢は世界的にも高い評価を受けている。自動車メーカーにとっても厳しい状況が続いているが、将来へ向けた事業戦略には抜かりがない。

また、需要が急速に増している新興国市場の開拓を重視し、ダイハツやスズキとの連携強化を進めている。トヨタの強さの秘訣となっているのがハイブリット車をはじめとしたエコカー、ブランドとして確立する高級車といった幅広いラインナップだ。今後は、さらに水素エンジンや燃料電池車、デバイス連携など新技術の開発による未来を見据えている。

時価総額ランキング上位10社(2022年4月20日時点)

下記は時価総額ランキングの上位10社だ。いずれも誰もが知る大手企業である。

【時価総額ランキング】トヨタがトップ独走、半導体関連&金融関連が急伸

1年前から急増した会社は?

コロナ禍の影響を受け、企業の時価総額も変動が見られる。「会社四季報」2022年春号に掲載された記事をもとに時価総額増加率の高い企業を見ていこう。トップは、ここでもトヨタ自動車。順調な業績回復とEV車戦略の評価により株価が上昇。揺るぎない強さを見せている。

2位は、時価総額ランキング9位の東京エレクトロン。半導体製造装置が急伸を見せ、特にDRAM向けの商品が想定を超える好調ぶりとなっているのが要因だ。半導体関連銘柄では、そのほかレーザーテックや新光電気工業なども増加額トップ50にランクインしている。流通の制限で打撃を受けていた海運関連の日本郵船や商船三井は、それぞれ6位、15位と健闘。大幅増配の見通しとなっている。

自動車関連では、デンソーが5位、ホンダが8位、いすゞ自動車も38位に入り、業界全体の復調も見えているが、世界情勢の問題から部品調達の遅れが気になるところだ。一般消費者と直接的な関わりが深い分野では、セブン&アイ・ホールディングス、味の素などが上位にきている。

また銀行、保険をはじめとする金融関連銘柄も注目だ。三菱UFJの3位を筆頭に東京海上ホールディングス11位、第一生命26位、三菱HCキャピタル30位といった顔ぶれがそろう。金融緩和政策の終了に従い高配当の銘柄への評価と人気の高まりが感じられる。

時価総額は企業価値のひとつの指標

時価総額は、株価が基本となってはいるが、企業全体の価値を確認できる指標だ。時価総額の変化から市場の企業評価も見えてくる。将来性や事業戦略の動きなど思わぬ気づきが得られることも多い。気になる企業がある時には、株価と合わせて時価総額を確認してみてはいかがだろうか。

著:千葉 悦子
MOS(マスター)、統計士、着付け技能士、スペイン語検定2級、生涯学習インストラクター、アドラー心理学講師、プロカウンセリング、対人魅力コーチ、データベースインストラクター、PC講師、キャリアカウンセリング、心理カウンセリングなど多くの資格を所有。現在はビジネス系、IT系、転職・求人系、人事管理などの記事を多く執筆。アドラー心理学をベースとしたメンタル記事も得意。
無料会員登録はこちら