食品産業新聞社
(画像=食品産業新聞社)

「まん延防止等重点措置」が適用されるなか始まった3月の豚枝肉相場は、東京市場の上物税抜きで469円(税込み507円)と前年同月比で25円高となった。

その中身は、輸入チルドポークの供給不安から、「春分の日」の3連休までは同480円前後と比較的高値で推移していた。しかし、連休が明けて以降、相場は下落傾向となり、28日には同412円(税込み445円)まで値を下げた。

例年であっても決算期となる企業が多いことから、月末にかけて在庫調整のため投げ玉がみられるが、ことしは、入船スケジュールの遅れで賞味期限の短くなった輸入チルドで投げ玉が多く出回った結果、実需を超える供給となり、当初の想定以上の下落となったようだ。ただ、28日の相場を底に回復基調で推移している。

4月は例年、春の行楽需要などが見込まれるが、ことしはまん延防止措置が解除されたとはいえ、ゴールデンウィークに感染再拡大の警戒もあるなかで需要は不透明感が強まっている。さらに、4月からの食料品や生活用品の相次ぐ値上げを受け、全体的に消費マインドが冷え込んでいることから盛り上がりには期待できない。

一方で、少なめの出荷頭数や豚熱などの疾病への懸念に加え、輸入品においてもチルド・フローズンともに先高が確実視されているため、4月は在庫確保のため凍結回しの動きが強まるとみられる。これらを勘案すると相場の下げ要因は少なく、月間平均では480円前後(税込み520円)の相場展開が予想される。

〈供給動向〉
農水省が3月14日に発表した肉豚生産出荷予測によると、4月の出荷頭数は138.6万頭と予測している。例年、夏にかけて出荷が落ち込む時期となるが、予想どおりの頭数となれば、4月の出荷が140万t を割るのは2018年以来、4年ぶりとなる。また前年のと畜頭数(144.9万頭)が多かったこともあり、前年同月比では4%減少する見込みだ。

3月25日には栃木県の養豚農場で豚熱(CSF)が確認され、この農場が養豚団地に位置していることからも、近隣農場へのまん延が懸念されている。こうした状況からも、今後、疾病の発生状況によっては相場に影響を及ぼす可能性もある。

農畜産業振興機構の需給予測によると、4月のチルド豚肉の輸入量は同12.5%減の3万5,500tと前年から1割以上減少すると予測している。カナダ産をはじめ、北米を中心に入船スケジュールが不安定にあることに加え、飼料価格など生産コスト上昇による現地相場高を受け、前年割れのボリュームとなる見通しだ。

〈需要見通し〉
3月の後半にかけては前述の通り、輸入チルドで投げられた安い玉との競合もあり、荷動きは全般的に鈍っている。ただ、バラは輸入チルドのコスト高から比較的堅調な引合いがみられ、春めいた気候に伴って焼材関連にも引合いがでてきた。

春休みの学校給食の停止もあってウデやモモは落ち着いているものの、4月からの再開で徐々に動きがでてくるものとみられる。引き続き不需要期であることは変わりないが、輸入品の不安定さや牛肉など他畜種の価格も上昇するなか、量販店などではゴールデンウィークに向けて、安定した調達ができる国産豚肉の構成比を高める向きも多いようだ。

〈価格見通し〉
4月1日の枝肉相場は東京市場で上物税抜き463円(税込み500円)でスタートした。需要動向は決して芳しくないが、前年を下回る出荷頭数や輸入品の不安定さも踏まえると、基本的には前月相場から下げることは考えにくい。さらに、国内での豚熱問題といった懸念材料もあり、いつ相場が高騰してもおかしくはない状況だ。

不確定要素が多いものの、月替わりから前半にかけて相場は緩やかな回復にとどまると予想されるが、ゴールデンウィークの手当てが始まる月後半には500円を超える可能性もあり、そこがひとつのポイントとなりそうだ。このため、月間平均では480円前後(税込み520円前後)と予想する。

〈畜産日報2022年4月4日付〉