学校を卒業して初めて受け取る給料、すなわち「初任給」は、誰にとっても忘れがたいものだ。そんな初任給について、都道府県別に集計したデータがある。初任給の平均額が、最も高い都道府県、逆に最も低い都道府県はどこだろうか。また、その差はどれぐらいあるのだろうか。
1位は「東京」、最下位は「岩手」
参照するのは、厚生労働省が毎年発表している「賃金構造基本統計調査」の2021年版だ。この統計調査では、中学卒、高校卒、専門学校卒、高専・短大卒、大学卒、大学院卒の新卒者の初任給を都道府県別で調べている。
これらすべての新卒者を含めた都道府県別の初任給ランキングを紹介しよう。全国平均では、21万2,300円となっている。
1位が「東京」で22万7,200円、2位が「京都」で22万3,900円、3位が「神奈川」で22万3,600円だった。初任給が20万円を超えるのは、20万900円の22位「富山」までだ。
最下位の47位は「岩手」で18万1,300円、46位は「島根」で18万3,100円、45位は「宮崎」で18万5,100円となっている。首位の「東京」と最下位の「岩手」は4万5,900円もの差がある。
最低賃金のランキングと比較する
ちなみに、このランキングを、最低賃金のランキングと比べてみるとどういう結果となるのか。最低賃金が高い都道府県は初任給も高く、逆に最低賃金が低い都道府県は初任給も低い、ということになるのだろうか。
2021年10月時点で発表された最低賃金額では、1位が「東京」で1,041円となっており、初任給のランキングと一致する。しかし、初任給のデータで2位の「京都」は、最低賃金のランキングでは7位だ。
全体的に見れば、最低賃金が高い都道府県が初任給も高い傾向にあると言えるが、「京都」のように多少のブレもあるようだ。さらに付け加えると、初任給で6位だった「奈良」は、最低賃金では20位で、最低賃金はやや低いものの初任給は高い、という結果が見られた。
データを見比べて見えてくるもの
このような給料に関するデータを見比べてみると、京都や奈良のように、1つのデータでは見えない各都道府県の特徴が見えてくる。
厚生労働省の賃金構造基本統計調査では、都道府県別の「産業別の初任給」のデータもまとめられている。興味がある人はデータを参照してみてはいかがだろうか。
文・岡本一道(金融・経済ジャーナリスト)