日本において家具・生活用品の大手企業といえば「ニトリ」が思い浮かぶはずだ。一方、世界大手といえばスウェーデン発祥の「IKEA」(イケア)だろう。ではこのニトリとIKEA、売上規模などはどれほどの違いがあるのだろうか。比較していこう。
徐々に小さくなる「売上高の差」
早速両社の過去10年の売上高を比較してみる。2021年の売上高に関してはニトリが7,169億円、IKEAが5兆4,470億円だ。その差は徐々に小さくなってはいるが、約7.6倍の違いがある。
また、ニトリとIKEAはともに売上高は右肩上がりで、事業規模を順調に拡大していることが分かる。
2021年の純利益、ニトリは921億円、IKEAは2,052億円
では、「純利益」ではニトリとIKEAにはどれほどの差があるだろうか。2021年の純利益はニトリが921億円、IKEAが2,052億円だった。その差は約2.2倍。この年の売上高は約7.6倍の差があったことを考えると、売上高に占める純利益の割合ではニトリの方がはるかに優秀だ。
ちなみに、2012年の段階ではニトリの純利益は335億円、IKEAの純利益は4,162億円で、12.4倍の差があった。この差が10年間で2.2倍まで縮まったことを考えると、ニトリは日本での展開が中心ながら、世界大手企業相手にかなり善戦していることがよく分かる。
ニトリがIKEAに勝つ日は来るのか?
両社の業績を比較した結果、売上高と純利益でともにニトリがIKEAに負けているものの、徐々にその差を詰めていることが分かった。では今後、ニトリがIKEAを業績面で抜く日は来るのだろうか。
ポイントは、日本と海外を含めた世界市場でニトリがどれだけ店舗数を増やしていけるか、だろう。
現在の店舗数を比較、まずは「純利益」で勝負?
2021年2月20日時点で、ニトリは722店舗を展開している。このうち海外店舗は、台湾34店舗、中国35店舗、アメリカ2店舗だ。
一方のIKEAはどうか。公式サイトによれば2022年2月24日時点で465店舗あり、欧州地域で275店舗、アジア地域で93店舗、北米地域で68店舗、中東地域で16店舗、オセアニア地域で10店舗、アフリカ地域で3店舗を展開している。
店舗数ではニトリの方が勝っているが、IKEAは店舗サイズがニトリに比べて大きいため、売上高そして純利益の金額がニトリよりも上なのは当然だ。しかし、ニトリはまだ海外展開できていない地域が多く、展開余地がかなり大きいため、十分に勝機はある。
2021年の売上高は前述の通り約7.6倍の差があるが、純利益の差は約2.2倍しかないため、利益率の高さを維持しつつ海外事業の展開に力を入れれば、まずは純利益の金額で、IKEAを抜くことが現実味を帯びてくる。
商品の品質やEC事業の取り組み方も当然重要
この記事では単純に「数字」や「規模」の話をメインにしたが、当然ながら、販売している商品の品質やEC(電子商取引)に対する力の入れ具合なども売上高や純利益に影響してくる。事業規模を拡大しつつ、それらの面を強化していくことは非常に重要だ。
文・岡本一道(金融・経済ジャーナリスト)