すでに2022年が始まって早2ヶ月。もうすぐ今年度も終わりにさしかかり、新たな門出を迎える人も多いかもしれない。
THE OWNERでは今年度にヒットした記事を振り返る特集を企画。今年度話題を呼んだ「世界の平均給与」について振り返る記事をピックアップした。日本は世界の中で競争力が衰えつつある。バブル期以降、下がりつづける日本の給与に対して、諸外国の状況はどうなのだろうか。
今回は日本の給与と世界の平均給与の比較、そして今後日本の賃金と労働の状況はどのように変わっていくのか、過去の記事をピックアップしながら見ていこう。
1. 世界平均給与ランキング、日本は衝撃の順位に、アベノミクスが原因!?(2021/11/21配信)
世界で3番目の経済大国であるはずの日本の労働者の所得水準は、先進国の平均値より低い。今や経済協力開発機構(OECD)加盟国中22位と韓国より下位で、物価も東南アジアの国より低いというのが現状だ。なぜ、成長が横ばいの状態から抜けだせないのか。その原因として、アベノミクスの政策失敗を指摘する声も少なくない。
日本の平均給与は米国の5分の3以下
一体、日本の労働市場でなにが起きているのか。まずはOECDのデータから、日本の現状を見てみよう。以下のランキングは、2020年の平均賃金上位10ヵ国だ。
加盟35ヵ国中(*イスラエル、コロンビア、コスタリカ除く)22位の日本の平均賃金は3万8,151ドル(約447万円)である。ランキングから分かるように米国の5分の3よりも少なく、18位の韓国(4万1,960ドル/約477万円)やOECD加盟国の平均(49,165ドル/約559万円)を下回っている。
日本より順位の低い国は、スペインやイタリア、ハンガリー、チリ、メキシコなど、経済や国内情勢の安定していない国ばかりだ。
2. 地方公務員の自治体別年収ワーストランキング 1位はまさかの東京!?(2021/10/24配信)
地方公務員は、全国一律の年収だと勘違いいる人はいないだろうか。自治体によって年収は異なっており、平均年収が高い自治体と低い自治体では300万円以上の差がある。この記事では、平均年収が低い自治体をランキング形式で紹介する。
平均年収が低い自治体ランキング
今回紹介するランキングは、東洋経済オンライン編集部が作成したものだ。総務省が発表した「地方公務員給与実態調査」の2020年版を基に各自治体の平均年収が算出されている。算出された平均年収には諸手当やボーナスも含まれるが、寒冷地手当は含まれない。
早速ランキングを紹介していこう。
地方公務員の平均年収が最も低い自治体TOP3は東京都青ヶ島村の392万円、それに続くのが山梨県小菅村で433万円、3番目は大分県姫島村で443万円だった。
続いては、なぜこのような自治体では地方公務員の平均年収が低いのか考察するために、地方公務員の平均年収の決め方について説明しておく。
3. 太っているだけで給与が下がる?億万長者がスリムなワケ(2020/10/30配信)
(本記事は、内藤 誼人氏の著書『億万長者のすごい! 習慣 資産・年収1億円の人に学ぶ「勝ち組」の心理戦術』=廣済堂出版、2020年10月31日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)
先ほど、「スリム・プレミアム」という心理学用語は存在しないと述べたが、「賃金ペナルティ」という用語は存在する。同じ現象を反対に説明しているだけなのだが、太っていると、収入に関して「罰(ペナルティ)を受けやすい」のである。
スリムだと賃金増というプレミアムが受けられるのに対して、肥満だと賃金減という悲しいペナルティを受けなければならないのである。
「いやあ〜、最近、何を食べてもおいしくてつい食べすぎちゃうんですよね」
「山盛りのご飯をおかわりするのが、当たり前になっちゃいました」
「腹八分でやめておくことが、どうしてもできないんですよ」
そういう人は、特に食事に気をつけるようにしたい。食べすぎていたら、どうしても太ってしまうからである。賃金ペナルティを受けたくないのであれば、食事はほどほどにしておこう。
米国バルチモア大学のチャールズ・レジスターは、肥満の男性、女性のグループと、普通の体重の男性、女性のグループとの年収を比較したことがあるが、肥満者ほど年収が少なくなるという結果が得られた。
レジスターによると、女性にこの傾向は顕著であって、肥満の女性は、肥満でない女性よりも12%も賃金が少なかったそうである。同じ仕事をしていても、12%の賃金ペナルティを受けてしまうのだから、たまったものではない。
自分の体重が、理想とされる体重よりも10%以上も重いようなら危険信号である。賃金ペナルティが発生するようになるからだ。
似たような研究は、イタリアにあるパドヴァ大学のジョージオ・ブルネロによっても報告されている。
4. 日本の「経営者役員報酬ランキング」 1位は驚きのあの人?(2021/07/23配信)
日本の経営者の役員報酬ランキングを眺めてみると、あることに気付く。日本を代表する企業であるトヨタ自動車の豊田章男社長の役員報酬が他と比べて意外と少ないことだ。世界が注目する投資会社となったソフトバンクグループの孫正義会長の役員報酬も実は他の経営者に比べれば少ないと聞くと驚く方もいるだろう。一体なぜなのだろうか。
役員報酬とは?給与とどう違う?
この記事では最新の役員報酬ランキングを紹介していくが、その前に「給与」と「役員報酬」の違いについて説明しておきたい。
「役員報酬」とは、取締役や執行役、監査役などに対する報酬のことを指す。企業ごとに役員報酬に関するルールが設けられており、実際に各役員に支払われる報酬額は株主総会で承認を得る必要がある。
一方で「給与」は、雇用されている従業員に対して支払われる労働の対価だ。つまり、経営者の報酬は労働の対価ではないため、どれくらい報酬をもらっているかをランキング化する場合、「役員報酬」を比較することになる。「経営者の給与ランキング」はあり得ないので、念頭に置いておこう。
5. 中小企業でも賃上げできる! 高収益を実現する仕組みづくりとは(2020/12/01配信)
連合は春闘で賃上げを勝ち取る算段だ。岸田首相も企業に対し賃上げを求めている。大企業ではそれが可能でも中小企業では至難の業。しかし悲観することはない。規模は小さいながらも賃上げに取り組む企業を取材した。賃上げをする企業とできない企業。その差は何か。文=ジャーナリスト/吉田典史(『経済界』2022年3月号より加筆・転載)
賃上げにより高収益事業を可能にする人材を獲得
大手士業系コンサルティングファーム・名南経営コンサルティング副社長で、社会保険労務士法人名南経営の代表社員・大津章敬氏は「ここ数年の賃上げの相談件数は、1994年に社労士になってから最も多い」と話す。背景には、深刻な人手不足がある。初任給や特に20~30代の賃上げをしないと、欲しい人材を採用できない状況が続くという。
「政府からの要請ではなく、自社の存続のために賃上げをしている。以前は賃上げ相場は正社員100人以下の中小企業は3千円、100人以上の中小は4千円、数百人になると5千円だったが、最近はこの額を上回るケースが増えている」(大津副社長)
一方、依然として賃上げをしない、あるいはできない企業は相当数あり、今後は双方の差は大きくなる可能性が高いという。
大津氏は賃上げをする企業の1つのあり方として、高収益の事業とそれを可能にする優秀な人材の採用、育成があるとみる。
次に紹介する4社はいずれもが、事業において他社と様々な点で差別化を図っている。その場合、業界の古き慣習や不合理な構造をただすミッションや責任感を持ってビジネスモデルを構築するところに1つの特徴がある。つまり、社会的な使命を持っているとも言える。
この姿勢が注目を浴び、一定層に支持をされ、飽和した市場でもスムーズに参入し、シェアを獲得する。並行し、その事業を確実にまかなえる人材を次々と採用し、育成する。その好循環により、安定した収益構造が出来上がり、着実な賃上げが可能になる。4社の事例の特に高収益の事業とそれを可能にする優秀な人材の採用、育成に着眼し、ご覧いただきたい。
いかがだっただろうか。近年、企業に対して政府からの賃上げ圧力もあるものの、一度上げた給料は下げられないため、不確実性の高い世の中では難しいと思う日本企業も多いのかもしれない。今後賃上げのためには、日本経済全体の成長施策が、政府にも民間にも求められるだろう。
文・THE OWNER編集部