PERはその会社の株価が高いのか安いのかを判別する際に使う代表的な指標の一つだ。PERは企業の業績と株価の関係に注目して算出されるため、企業の成長性を分析するうえでも役に立つ指標といえる。今回はPERとは何か、数値の算出方法や分析方法について詳しく解説する。

目次

  1. PER(株価収益率)とは?
    1. PERは利益に対する株価の割高、割安を測る指標
    2. 投資資金を何年で回収できるか測る指標
  2. PERの計算式
  3. PERとPBRの違い
  4. PERを株価の指標として見る際のポイント
    1. PERには何倍なら妥当という水準はない
    2. 同じ企業の過去のPERと比較する
    3. 同業他社のPERと比較する
    4. PBRと合わせて分析する
  5. PERの数値をどう判断するべきか?
    1. PERの数値が大きいとき
    2. PERの数値が小さいとき
  6. PERは成長中の企業ほど高くなる傾向
  7. PERとPBRを理解して適切に評価
  8. PERに関するQ&A
    1. Q.PERで何が分かる?
    2. Q.PERは高いのと低いのではどっちがいい?
    3. Q.PERどれくらいがいい?
    4. Q.PER高いとどうなる?
PERとは? 目安となる数値や計算式について詳しく解説!
(画像=camerapapa/stock.adobe.com)

PER(株価収益率)とは?

株式投資を考え、個々の株式をいざ購入しようという場合、何を基準としてその株価が高いか安いかを判断すればよいだろうか。例えば、その企業の株価が昨日よりも上がったからといって、安易に「高い」とはいえないだろう。そんなときに役立つのがPERの指標である。算出することで業績と株価の関係から株価の高い、安いが見極められる。

PERは、Price Earnings Ratioの頭文字を取った用語で、日本語では「株価収益率」と呼ばれている。株価収益率とは、1株あたりの当期純利益に対して、1株あたりの価格(株価)が何倍であるかを示す指標である。ここでいう「当期純利益」とは一会計期間、つまり1年間の企業活動によって生み出された利益だ。

企業がビジネス活動のなかで得た全収益からすべての費用を差し引き、さらに法人税なども差し引いたうえで算出される。

PERは利益に対する株価の割高、割安を測る指標

この計算式からも分かる通り、PERは株価の値が大きくなるほど、1株あたり当期純利益の値が小さくなるほど、数値として大きくなる。つまりPERの数値が大きいということは、会社が上げている利益に対して株価が割高であることを意味する。

一方、株価の値が小さくなり、1株あたり当期純利益が大きくなると、PERの数値は小さくなる。つまり、PERの数値が小さいほど、会社の利益に対して株価が割安であることを意味するのだ。

例えばA社の株価が1,000円で1株あたり当期純利益が100円だとしよう。この場合、A社株のPERは、1,000円÷100円=10倍だ。しかし株価が1,000円のまま会社が1株あたり当期純利益の予想値を120円に上方修正したとしよう。このときのPERは、1,000円÷120円=約8.3倍となる。

同じ株価でもPERが小さいほうが「より多くの利益を望める(割安で株を買える)」というわけだ。

投資資金を何年で回収できるか測る指標

PERの計算式は「投資資金を何年で回収できるか」としても参考となる指標である。なぜなら株式会社の利益は、株主のものであるからだ。一般的に企業の利益の一部は、配当金として支払われ、残りは株主資産(純資産)として蓄えられる。しかし仮に当期利益のすべてを配当金として株主に還元すると考えてみよう。

先に見たA社の例でいうと1,000円で株を買うと毎年100円ずつの株主配当が期待できる。つまり10年(1,000円÷100円)で投資資金の回収が期待できる状態だ。一方、B社は株が1,000円と同じであるが配当金(1株あたり当期純利益)が50円だったとしよう。この場合、投資資金を回収できる年数は20年(1,000円÷50円)となり、A社よりも長い。

一般的に同じ投資をするなら投資資金を早く回収できることが望ましい。そのため早く回収できる(PERが小さい)A銘柄のほうがB銘柄よりも割安という見方ができるのだ。

PERの計算式

1株あたり当期純利益は、当期純利益を発行済み株式総数で割ることで計算できる指標だ。算出して数値を見ることで、株主が持つ1株ごとに一会計期間においてその企業がどれだけ成果を上げたかを分析できる。1株あたり当期純利益の上昇は企業が業績アップをして成長していることを意味し、株価の上昇にもつながる。

この1株あたり当期純利益で、株価を割って算出されるのがPERだ。計算式で表すと次のようになる。

PER(倍)=株価÷1株あたり当期純利益(EPS)

ただし「当期」というのは、企業が発表する「当期予想数値」を用いるのが一般的である。これは、株式投資が将来性を見据えて行うものであるためだ。

PERとPBRの違い

PERと似た言葉でPBR(Price Book-value Retio:株価純資産倍率)というのもある。PBRとは、現在の株価が1株あたり純資産の何倍であるかを示す指標だ。以下の計算式で算出できる。

PBR(倍)=株価÷1株あたりの純資産(BPS)

なお1株あたりの純資産(BPS)の計算式は、以下の通りだ。

1株当たりの純資産(BPS)=純資産÷発行済み株式総数

PBRの値が低いと株の価値よりも純資産の価値が高いことを意味し、株価が「お得(割安)」という目安となる。一方、PBRの値が高いと株の価値のほうが純資産の価値よりも高いことを意味するため、株価は割高という目安となるだろう。

PERもPBRも株価の割高・割安を測る指標であるが以下のように算出ベースが異なる点に注意が必要だ。

・PER:その企業の利益から見て株価が割高か割安かを判断する指標
・PBR:その企業の純資産(自己資本)から見て株価が割高か割安かを判断する指標

PERを株価の指標として見る際のポイント

一企業の一時点におけるPERの数値だけを見て、その企業の株価の割高感や割安感を判断するのは早計である。PERを株式投資の指標とする際に心得ておくべきポイントを紹介しよう。

PERには何倍なら妥当という水準はない

PERは絶対値としてその時点だけの数値を見ても、高いか低いかは判断できない。PERが何倍であれば高くなり、何倍だと低くなるのかは、比較を通して判断する必要がある。まず重要なのは時系列分析だ。PERの計算式で用いる「1株あたり当期純利益」は、あくまで今期予想の利益ベースの数値である。

つまり将来的な安定性や成長性、さらには過去の利益の推移を表しているわけではないのだ。一方株価は、将来的な成長期待感や失望感が瞬時に反映するものである。株価の動きに対してPERも変動するが、PERの算出ベースとなる二者の動き方は一致していない。つまり必ずしも「PERが何倍だから良い」とはいえないことが分かるだろう。

PERはあくまで直近の利益予想値に対して、株価が何倍買われているのかを計算するものであり、株価の割安感や割高感は、その企業の「これまで」と「これから」を踏まえて判断することが重要になってくる。

同じ企業の過去のPERと比較する

PERの数値から株価の割高感、割安感を判断するうえで一番簡単なのは、その企業の過去の数値と比較することである。

例えばPER値が2014年に95倍、2015年に90倍、2016年に60倍、2017年に55倍、2018年に60倍、2019年に55倍、2020年に80倍となったC企業について考えてみよう。

2016~2019年までの平均値に比べると、2020年のPER80倍は数値として大幅に上昇しており、そのまま見ると割高であると感じざるを得ない。

しかしこのとき、C企業の当期純利益が、2019~2020年にかけて、新型コロナウイルスの影響により3分の1程度に落ち込んでしまっていたとしよう。そうなると、今後ウイルスの拡大が落ち着いて再び事業活動が軌道にのれば、2014~2015年のPERは平均で90倍を超えていることも考えると、将来的にまた利益が増えて株価が上がる可能性もある。今後のことを踏まえると、80倍は必ずしも割高とはいえないとも考えられるだろう。

つまり、過去のPERの推移を踏まえ、今後の企業成長の可能性を考えると、その時点でのPER値だけでは割安、割高と明確に判断することは難しいのだ。過去と比較し、これから企業がどのように変化していくのか診断・分析することによって割高・割安を判定できるともいえる。

同業他社のPERと比較する

PER値は業種ごとによって平均値が異なる傾向がある。そのため、その企業の一時点でのPER値だけを見るのではなく、業界内の同業他社の平均値と比べて、株価が割高か割安かを判断することが必要である。例えば日本取引所グループのデータによると2022年9月期の平均PER(単体、プライム市場)は、以下の通りだ。

同業他社のPERと比較する

製造業全体では13.9倍、非製造業全体では15.6倍だ。9月期のデータを見ると建設業とサービス業とでは約2倍の数値の開きがあるように、業界によって大幅にPERの平均値は異なるわけだ。ある企業のPER値をもとに株価の割高、割安感を判断するには、一企業における時系列分析に加えて、同業他社の動向・業界の動向などとも比較して判断する必要があるといえる。

PBRと合わせて分析する

PBRと合わせて分析することで実際に株価の割高・割安を評価の精度がより高まる。なぜなら前述したようにPERは、利益をもとに評価するがPBRは純資産をもとに評価され併用することで事業活動を複数の視点から分析できるからだ。株価の分析もより適切にできるだろう。

PERの数値をどう判断するべきか?

PERは、株価の割高感、割安感を判断するうえで重要な指標であるのは間違いないが、これまで述べたように単純にその数値が高ければ割高、低ければ割安とは言い切れない。なぜならPER値が低く割安だと感じたとしても短期的な数値の変動にすぎなければ、必ずしもあてにすることはできないからだ。

そのため「その時点での利益額が一時的なものなのか」「今後も引き続き同様の利益水準が続くのか」を判断することが重要である。実際にPER値を指標として使う場合は、先述の過去の分析や同業他社との比較に加えて、以下の点に注意する。

PERの数値が大きいとき

なぜ数値が大きくなったのかを考える。株価が大きくなって数値が上がっているなら、なぜそのような現象が起こったのかを分析する。例えば企業の今後の利益アップ・成長が見込まれてのことであれば、何を根拠としてそのような判断が行われているのかを調べることが大事だ。またPERは、一時的な利益の低下によっても大きくなる。

もしそうであれば今後どのくらいの期間で利益が回復するのかを調べる必要もある。

PERの数値が小さいとき

PERの数値の低さが株価の伸び悩みによって生じているならば、「なぜ利益成長への期待が持たれないのか(株価が伸び悩んでいるのか)」を分析する。例えば利益を出していても過去のデータから業績が不安定であり、投資先として魅力を感じないのかもしれない。

実際に株価の指標として利用する場合、ただ数値の良し悪しを見るのではなく、その背景にある経済の動き、株式市場の動向、今後の企業の業績予想などを分析することが重要である。そうすることで、PERは指標としての有用性を持つことが可能となる。

PERは成長中の企業ほど高くなる傾向

先の例で見たようにPERは1株あたりの当期純利益が大きくなり、株価が変わらないままだと数値として小さくなっていく。しかし実際には、業績が上がり続けている成長中の企業の株価に対しては買い注文が殺到するため、株価も一緒に上がるのが通例だ。先のA社の例で説明しよう。A社の株価が1,000円で1株あたり当期純利益のときA社株のPERは10倍だった。

しかしA社が開発中の製品への期待感から1株あたり当期純利益の予想値を上げる前に株価が1,800円に上がったとしよう。そうするとPERは18倍(1,800円÷100円)に上がる。その後、A社が1株あたり当期純利益の予想値を120円に上方修正し、さらに株価が2,500円に上がるとPERは約20.8倍(2,500円÷120円)まで上昇する。

特に将来にわたって成長が見込まれる企業は投資先として魅力があるため、1株あたり当期純利益の上昇率よりも、株価の上昇率のほうが高くなることも多い。そのため、将来有望な企業の場合、PERは高くなる傾向がある。PERが高いと株価には割高感があるが、成長企業であればそれを補って余りあるほどの投資成果を今後得られる可能性もある。

投資家がそう考えてニーズが殺到すれば、よりPERの数値は上昇するだろう。また業界内で比較する際も同様だ。例えば現在銘柄AがPER20倍だったと仮定し、他の同業他社は平均で5倍だったとする。銘柄AのPER20倍は業界内では明らかに「割高」であるが、その企業が新規事業の成功により今後も成長し続け、10年後に今よりも数倍の利益を出すと予想されるとしよう。

この状況であれば、現在の銘柄AのPER値は、今後の業績アップを踏まえるとむしろ「割安」とさえ感じられるかもしれない。逆にPERの数値が低く、株価が割安である企業は、将来的な利益の成長性が低いと見られていると判断できる。この場合、PER値が低めで株価に割安感があっても、今後の不安定感を踏まえると必ずしも投資がお得とはいえない。

こう考えると、PERの数値が高く株価が割高だから買い控え、PERの数値が低く割安だから買うべき、とは一概にいえないわけだ。企業の業績の推移などを見ながら、総合的に判断することも必要である。

PERとPBRを理解して適切に評価

PERとは株価収益率のことで、株価の割高感、割安感を判断するうえで用いられる指標である。「株価÷1株あたり利益」で算出され、PERの値が高いと企業の利益に対して株価は割高であり、PERの値が低いと企業の利益に対して株価は割安であることを意味する。

実際にPER値をもとに株価の分析を行う場合は、対象企業の過去のPER値や同業他社・業界平均値などと比較分析を行うことが大切だ。

また、PERの数値が高めであるとき、低めであるときは、「なぜそのような数値が導き出されたのか」を株価の動き・企業の将来性などを踏まえて検討する必要がある。さらにPERと同じく株価の割高・割安を分析できるPBR(株価純資産倍率)も指標として利用すると、より適切な評価ができるだろう。

PERに関するQ&A

Q.PERで何が分かる?

A. PERは、現在の株価がその企業の利益と比べて割高であるか割安であるかを判断できる指標である。PERは「株価÷1株あたり当期純利益(予想値)」で計算し、株価がその企業の1株あたり当期純利益の何倍になっているかを示す。なお実際に利益の分配方法は、会社方針などによって異なる。

しかし株式会社の純利益は、基本的に株主のものとなるため、同じ計算式によって「投資資金を何年で回収できるか」を測ることが可能だ。仮に当期利益のすべてを配当金として株主に還元する会社があるとしよう。同社の株価が1,000円、1株あたり当期純利益は100円でそのまま株主配当還元するなら株主にとっては10年(1,000円÷100円)で投資資金を回収できる。

一般的に投資家にとっては、早く投資資金を回収できるほうがお得(割安)であるため、算出された数値が小さいほうが割安といえるだろう。このようにPERによってその時点における株価の割安・割高を判断できるというわけだ。

Q.PERは高いのと低いのではどっちがいい?

A.買い物をするときには、おそらく多くの人が「お得に買いたい」と思うだろう。株式投資も同様にお得な価格で購入したいはずだ。PERは「株価がその企業の1株あたり当期純利益の何倍になっているか」を示し、計算式は「株価÷1株あたり当期純利益(予想値)」となる。つまりPERの数値の高低には、次の仕組みがある。

  • 株価が高いとPERが高い
  • 1株あたり当期純利益が小さいとPERが高い
  • 株価が低いとPERが低い
  • 1株あたり当期純利益が大きいとPERが低い

株式で得をする基本は「利益が大きい銘柄に投資する」「割安に株を買う」といったことだ。つまりPERが低いと割安、高いと割高であることを意味し、数値だけで判断するならPERは低いほうがよいだろう。しかしPERは、数値だけでなく高くなっている理由や、低くなっている理由を十分に確認することが大切である。

成長性が期待できるほど株を購入したい投資家が増えるため株価は上がる傾向があり、つられてPERも高くなるのが一般的だ。逆に株価上昇への期待が低いとPERも低くなる。割安と思って投資しても利益が見込めるとは限らないため、注意が必要だ。

Q.PERどれくらいがいい?

A.日本取引所グループのデータによると2022年9月期の平均PER(単体、プライム市場)は、製造業全体が13.9倍、非製造業全体では15.6倍となっている。しかし業種により高い業種と低い業種がありPERに絶対的な基準はないことは押さえておきたい。「PERが何倍であれば割高」「PERが何倍だと割安か」は、比較を通して判断することが必要だ。

まずは、同業他社と比べてどの程度であるかを比較してみよう。業種ごとのPERは、日本取引所グループのサイトで平均値をチェックできる。また時系列で同じ会社のPERを分析してみることも大切だ。過去のPERの推移を踏まえて現時点のPERがどのように変わったか、今後の企業成長の可能性を考えながら今のPERが割安か割高かを判断するようにしよう。

Q.PER高いとどうなる?

A.基本的には、PERが高いと株価が割高であると解される。割高ということは、その銘柄への投資で儲ける余地が少ないことを意味する。「なぜ割高であるか」という理由によっては、投資で儲ける余地が少ないとは限らない。なぜならPERが割高になる理由は、大きく以下の2つあるからだ。

  • 利益予想値が小さいから
  • 利益予想値に対して株価が高いから

現在は、利益が小さくても今後の成長性が期待できれば「その株を買っておきたい」という投資家が増えて株価が上がる傾向がある。つまりPER値が高くても将来的に大きな利益を期待できるため、逆に割安といえる場合もあるのだ。

金城寛人
監修:金城寛人
中小企業診断士・株式会社エルニコ執行役員

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