PERとは? 目安となる数値や計算式について詳しく解説!
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PERはその会社の株価が高いのか安いのかを判別する際に使う代表的な指標のひとつだ。PERは企業の業績と株価の関係に注目して算出されるため、企業の成長性を分析する上でも役に立つ指標といえる。今回はPERとは何か、数値の算出方法や分析方法について詳しく解説する。

目次

  1. PER(株価収益率)とは?
    1. PERは利益に対する株価の割高、割安を測る指標
    2. PERの計算式
    3. PERは成長中の企業ほど高くなる傾向
  2. PERは相対的な投資尺度
    1. PERには何倍なら妥当という水準はない
    2. 同じ企業の過去のPERと比較する
    3. 同業他社のPERと比較する
  3. PERを株価の指標として見る際のポイント
    1. PERだけで株価の割高、割安を判断しないようにする
    2. PERとPBRの違い
  4. PERとPBRを理解して適切に評価
  5. 事業承継・M&Aをご検討中の経営者さまへ

PER(株価収益率)とは?

株式投資を考え、個々の株式をいざ購入しようという場合、何を基準としてその株価が高いか安いかを判断すればよいだろうか。たとえば、その企業の株価が昨日よりも上がったからといって、安易に「高い」とはいえないだろう。

そんなときに役立つのがPERの指標である。算出することで業績と株価の関係から株価の高い、安いが見極められる。

PERは利益に対する株価の割高、割安を測る指標

PERはPrice Earnings Ratioの頭文字を取った用語で、日本語では「株価収益率」と呼ばれている。株価収益率とは、一株当たりの当期純利益に対して、一株当たりの価格(株価)が何倍であるかを示す指標である。

ここでいう「当期純利益」とは一会計期間、つまり1年間の企業活動によって生み出された利益のことだ。企業がビジネス活動の中で得た全収益からすべての費用を差し引き、さらに法人税なども差し引いた上で算出される。いわゆる黒字とは当期純利益がプラスの状態を指し、赤字とは当期純損失が発生している状態を指す。

一株当たり当期純利益は、当期純利益を発行済み株式総数で割ることで計算できる指標だ。算出して数値を見ることで、株主が持つ一株ごとに、一会計期間においてその企業がどれだけ成果を上げたかを分析できる。一株当たり当期純利益の上昇は企業が業績アップをして成長していることを意味し、株価の上昇にもつながる。

この一株当たり当期純利益で、株価を割って算出されるのがPERだ。

PERの計算式

PERを計算式で表すと、次のようになる。

PER(倍)=株価÷一株当たり当期純利益

この計算式からもわかるとおり、PERは株価の値が大きくなるほど、一株当たり当期純利益の値が小さくなるほど、数値として大きくなる。つまり、PERの数値が大きいということは、会社が上げている利益に対して株価が割高であることを意味する。

一方、株価の値が小さくなり、一株当たり当期純利益が大きくなると、PERの数値は小さくなる。つまり、PERの数値が小さいほど、会社の利益に対して株価が割安であることを意味するのだ。

PERは成長中の企業ほど高くなる傾向

PERは一株当たりの当期純利益が大きくなり、株価が変わらないままだと数値として小さくなっていく。しかし実際には、業績が上がり続けている成長中の企業の株価に対しては買い注文が殺到するため、株価もともに上がるのが通例だ。

特に将来にわたって成長が見込まれる企業は投資先として魅力があるため、一株当たり当期純利益の上昇率よりも、株価の上昇率の方が高くなることも多い。そのため、将来有望な企業の場合、PERは高くなる傾向がある。

PERが高いと株価には割高感があり、成長企業であれば、それを補って余りあるほどの投資成果を今後得られる可能性もある。投資家がそう考えてニーズが殺到すれば、よりPERの数値は上昇するだろう。

たとえば、現在、銘柄AがPER20倍だったと仮定し、他の同業他社は平均で5倍だったとする。銘柄AのPER20倍は業界内では明らかに「割高」であるが、その企業が新規事業の成功により今後も成長し続け、10年後に今よりも数倍の利益を出すと予想されるとしよう。この状況であれば、現在の銘柄AのPER値は、今後の業績アップを踏まえるとむしろ「割安」とさえ感じられるかもしれない。

すなわち、PERが高めになっている銘柄は、株価としては「割高」に見えるものの、当期純利益を安定的に出している企業であり、今後さらにPERが高めになる可能性を持つ企業であるともいえるのだ。

逆にPERの数値が低く、株価が割安である企業は、将来的な利益の成長性が低いと見られていると判断できる。この場合、PER値が低めで株価に割安感があっても、今後の不安定感を踏まえると必ずしも投資がお得とはいえない。

こう考えると、PERの数値が高く株価が割高だから買い控え、PERの数値が低く割安だから買うべき、とは一概にいえないわけだ。企業の業績の推移などを見ながら、総合的に判断することも必要である。

PERは相対的な投資尺度

一企業の一時点におけるPERの数値だけを見て、その企業の株価の割高感や割安感を判断するのは早計である。PERは比較検討を行うことによって分析指標として活用できる。ここでの比較検討とは、時系列分析と同業他社の比較分析の両方を行うことを指す。

PERには何倍なら妥当という水準はない

PERは絶対値としてその時点だけの数値を見ても、高いか低いかは判断できない。PERが何倍であれば高くなり、何倍だと低くなるのかは、比較を通して判断する必要がある。

まず重要なのは時系列分析だ。PERの計算式で用いる「一株当たり当期純利益」は、あくまで今期予想の利益ベースの数値である。つまり、将来的な安定性や成長性、さらには過去の利益の推移を表しているわけではないのだ。

PERはあくまで直近の利益予想値に対して、株価が何倍買われているのかを計算するものであり、株価の割安感や割高感は、その企業の「これまで」と「これから」を踏まえて判断することが重要になってくる。

同じ企業の過去のPERと比較する

PERの数値から株価の割高感、割安感を判断する上で一番簡単なのは、その企業の過去の数値と比較することである。

たとえば、PER値が2014年に95倍、2015年に90倍、2016年に60倍、2017年に55倍、2018年に60倍、2019年に55倍、2020年に80倍となったC企業について考えてみよう。

2016年~2019年までの平均値に比べると、2020年のPER80倍は数値として大幅に上昇しており、そのまま見ると割高であると感じざるを得ない。

しかしこのとき、C企業の当期純利益が、2019年から2020年にかけて、新型コロナウイルスの影響により3分の1程度に落ち込んでしまっていたとしよう。そうなると、今後ウイルスの拡大が落ち着いて再び事業活動が軌道にのれば、2014~2015年のPERは平均で90倍を超えていることも考えると、将来的にまた利益が増えて株価が上がる可能性もある。今後のことを踏まえると、80倍は必ずしも割高とはいえないとも考えられるだろう。

つまり、過去のPERの推移を踏まえ、今後の企業成長の可能性を考えると、その時点でのPER値だけでは割安、割高と明確に判断することは難しいのだ。過去と比較し、これから企業がどのように変化していくのか診断・分析することによって割高・割安を判定できるともいえる。

同業他社のPERと比較する

PER値は業種ごとによって平均値が異なる傾向がある。そのため、その企業の一時点でのPER値だけを見るのではなく、業界内の同業他社の平均値と比べて、株価が割高か割安かを判断することが必要である。

たとえば、日本取引所グループのデータによると、2021年11月期の平均PER(単体、市場一部)は、建設業が10倍、繊維製品が80.1倍、石油・石炭製品が6.5倍、水産・農林業が13.3倍、輸送用機器が56.9倍、銀行業が8.8倍、サービス業が174倍となっている。製造業全体では25.4倍、非製造業全体では27.7倍だ。

11月期のデータを見ると、建設業とサービス業とでは17倍もの数値の開きがある。業界によって大幅にPERの平均値は異なるわけだ。

ある企業のPER値を元に株価の割高、割安感を判断するには、一企業における時系列分析に加えて、同業他社の動向・業界の動向などとも比較して判断する必要があるといえる。

PERを株価の指標として見る際のポイント

PERは株価の割高感、割安感を判断する上で重要な指標であるのは間違いないが、単純にその数値が高ければ割高、低ければ割安とは言い切れない部分がある。PERを株価指標として分析する際に注意すべき点について以下で紹介する。

PERだけで株価の割高、割安を判断しないようにする

PERでは「一株当たりの当期純利益」が指標として利用されるが、その時点での利益額が一時的なものなのか、今後も引き続き同様の利益水準が続くのかを判断することが重要である。PER値が低く割安だと感じたとしても、短期的な数値の変動にすぎなければ、必ずしも当てにすることはできない。

実際にPER値を指標として使う場合は、先述の過去の分析や同業他社との比較に加えて、以下の点に注意する。

・PERの数値が大きいとき
なぜ数値が大きくなったのかを考える。株価が大きくなって数値が上がっているなら、なぜそのような現象が起こったのかを分析する。たとえば、企業の今後の利益アップ・成長が見込まれてのことであれば、何を根拠としてそのような判断が行われているのかを調べることが大事となる。

また、PERは一時的な利益の低下によっても大きくなる。もしそうであれば、今後どのくらいの期間で利益が回復するのかを調べる必要もある。

・PERの数値が小さいとき
PERの数値の低さが株価の伸び悩みによって生じているならば、なぜ利益成長への期待が持たれないのか=株価が伸び悩んでいるのかを分析する。たとえば、利益を出していても過去のデータから業績が不安定であり、投資先として魅力を感じないのかもしれない。

実際に株価の指標として利用する場合、ただ数値の良し悪しを見るのではなく、その背景にある経済の動き、株式市場の動向、今後の企業の業績予想などを分析することが重要である。そうすることで、PERは指標としての有用性を持つことが可能となる。

PERとPBRの違い

株価の割高・割安を測る指標としてはPERのほかにPBR(株価純資産倍率)がある。PERは「その企業の利益から見て、株価が割高か割安かを判断する」指標であるが、PBRは「その企業の純資産(自己資本)から見て、株価が割高か割安かを判断する」指標である。

PBRは「株価÷一株当たりの純資産」で計算され、一株当たりの純資産は「純資産÷発行済み株式総数」で算出される。つまり、現在の株価が一株当たり純資産の何倍であるかを示すのがPBRである。

PBRの値が低いと、株の価値よりも純資産の価値が高いことを意味し、いわば株を購入することは「お得」である。一方、PBRの値が高いと、株の価値の方が純資産の価値よりも高いことを意味し、株価に割高感がある。

実際に株価の割高・割安を評価する場合は、利益を元に評価するPERとともに、純資産を元に評価するPBRも指標として利用すると、より適切に株価を分析できる。

PERとPBRを理解して適切に評価

PERとは株価収益率のことで、株価の割高感、割安感を判断する上で用いられる指標である。「株価÷一株当たり利益」で算出され、PERの値が高いと企業の利益に対して株価は割高であり、PERの値が低いと企業の利益に対して株価は割安であることを意味する。

実際にPER値を元に株価の分析を行う場合は、対象企業の過去のPER値や同業他社・業界平均値などと比較分析を行うことが大切だ。

また、PERの数値が高めであるとき、低めであるときは、「なぜそのような数値が導き出されたのか」を株価の動き・企業の将来性などを踏まえて検討する必要がある。さらにPERと同じく株価の割高・割安を分析できるPBR(株価純資産倍率)も指標として利用すると、より適切な評価ができるだろう。

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金城寛人
金城寛人
中小企業診断士・株式会社エルニコ執行役員
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